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狂イユク夏ノ日ハ延々ト  作者: 大亀
18/30

第十八話 混雑している春風

あらすじの注意通りでよろしくお願いします

俺は洗い物を乾燥機の中に入れて、手を拭く。あー、疲れた。これだけで疲れるんだからさらに風呂掃除、朝昼晩の飯を作ったりしてる茜はすごいな。そのうち過労で倒れるんじゃないか?


「風呂掃除ぐらい、やっとくか」


俺は風呂場に行き、浴槽を洗う。ゴシゴシと洗剤とスポンジを使って。これくらいならお兄ちゃんを頼ってくれても良いんだけどなぁ。俺は泡を流して、風呂掃除を終わらせる。蓋をして、風呂場から出た。


「明日に備えて早めに寝るとしよう」


俺は階段を上がって自室に入る。と、そこで歯を磨いてないのに気付いた。母親が生きてた頃、「歯磨きはちゃんとしなさい!」って怒っていたなぁ。仕方ない、磨きに行くか。2階の自室に入ったのだが、俺は1階に下りて、洗面所に行く。


「シャコシャコシャコシャコ」


しゃこ…シャコ…シャコ食べたい。あれ?シャコって食べれたよな?テレビで一年前ぐらいにシャコを食べてるのを見て、美味しそうだと思ったけど、生きてる姿がちょっと気持ち悪くて食欲が失せたのを覚えてる。そして頭の中で海老とシャコが一緒になって1ヶ月ぐらい海老が食べれなかった。


「クチュクチュ…ペッ」


効果音が雑。ま、いっか。歯を磨き終えた俺は今度こそ自室に行く。そしてベッドにダ―


「お兄ちゃ~ん!教えてほしいところあるんだけど」

「わかった。行くよ」


ダイブする直前でそう言われて、ギリッギリで止まれた。んで、茜が教えてほしいって何の教科だろう。国語は文法もほぼ全て無理だぞ?そう考えながら俺は茜の部屋に入る。


「この不定詞の名詞的用法と形容詞的用法と副詞的用法がよくわからないから教えて欲しいんだけど」


まさかの英語の文法かよ。でも、これならどうにか教えれそうだ。俺は一応覚えてる内容を茜に教える。すると茜は


「ほうほう。なるほど」


と頷いて聞いている。あっぶねぇ。覚えてて良かったぁ。もう少しで兄としての威厳が…。


「わかったよ。ありがとうお兄ちゃん」

「どういたしまして。ところで茜、お前国語のことで聞いてくることないよな?なんでだ?」


これは俺にとっても賭けだ。これで「実はわからないところがあったの。教えてくれないかな?」なんて言われたらどうしようもなくなる。


「大丈夫だよ。私、国語は結構理解できてるの。わからないところがあってもすぐ理解できちゃうから」

「そ、そっか」

「心づかいありがとねお兄ちゃん」

「ああ」


俺は茜の部屋から出て自室に戻る。今度こそダーイブ。はぁぁぁ。ベッドって最高だよねぇ。


「ポツ、ポツ」


ん?水が落ちる音?ひょっとして。ベッドの近くにあるカーテンの外を覗く。すると小雨だが雨が降ってきた。洗濯物取り入れないと。またもや俺は自室から出て1階に下りた。しかし、すでに洗濯物は中にあった。茜がやったのか?仕事早すぎない?俺の出番無くない?そう思いながらとぼとぼ階段を上がって自室に戻る。もうダイブする余力はない。そのままベッドの上に寝転び、眠りについた。あー、ほんとに明日のバイトに支障がでないと良いけどなぁ。


――――――――――――――――――


「まこ坊2番テーブル注文聞きにいくにゃ」

「はい!」


バイトは午前9時から午後5時まで。昼休憩は11時半から30分。もちろん終わるとお昼時になるので結構混んでいた。


「ご注文お伺いします」

「このナポリタンとシーフードパスタで」

「かしこまりました」


俺はメモした注文を厨房に届ける。はあ。いつもはこんなに混んでないのに。なんでだ?


「パシャッ」


!?あー、そういうことね。あの写真見て来たやつらもいるのか。


「お客様。こういうことのために席に座るなら、先にご注文してからにしてくださいにゃ」


猫田さんがそんな迷惑客の対応にあたる。ありがとうございます猫田さん。そんな猫田さんを横目に見ながら俺は料理を運ぶ。そういえば渚さんの姿がないな。毎日昼はここに居るのに。ちょっと周りを見渡す。あっ、外で並んでる。すみません渚さん。俺のせいで客が多くなって。


「ほら!ぼーっとしてないで注文聞きに行ったりしなよ!」

「すんません!」


そうやって声をかけたのは福川(ふくかわ) 彩音(あやね)さん。高校2年の先輩でこの店のバイトの唯一の現役女子高生。顔も可愛いし面倒見がいい。新曰く、母性の塊だから彩姉さんがあだ名があるらしい。


「ご注文お伺いします」

「このハニーパンケーキを一つ」

「かしこまりまし…って霙!?」


思わず大きな声を出してしまい、近くに座っている客はこっちを向く。幸いなことに少し大きいぐらいの声で、周りには俺を撮るために来たやつは座ってなかった。そして猫田さんのお陰ですべての盗撮に来たやつらが鎮圧されて静かに注文を待っている。


「?注文、もう一度言った方が良い?」

「いや、そう言う事じゃなくて、距離を置くんだったよな?」

「うん。でもここのスイーツ、とっても美味しかったんだもん」

「…そっか。それじゃあ今後ともこの喫茶店春風をよろしくお願いします」

「ふふっ、なにその口調」

「真琴~!何とろとろしてんの!」

「はい!じゃあな霙」


俺は霙の注文を厨房に届けに行った。盗撮に来たやつらで猫田さんに対応させてしまって、申し訳なくなって少し落ち込んでいたが霙に会えて少し元気になれた。ありがとう霙。

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