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狂イユク夏ノ日ハ延々ト  作者: 大亀
11/30

第十一話 カップルに見えるまこ坊達

あらすじの注意通りでよろしくお願いします

「んー!んー!」


霙が高さのあるハニートーストを一口食べた瞬間、口に手を当てて何かを言った。だが、口が塞がれているから全然聞こえない。パフェを口に運んでいた手を止め、霙に言う。


「霙、喋るなら口の中空にしてから喋ろうな?」

「モグモグ、ゴクン。おいしいねこれ!」


目をキラキラさせて霙は言った。店長の料理はスイーツが一番美味しい。もうなんて言ったら良いかわからないぐらいの美味さで、たいていの女性客はこれ目当てで来る。


「パフェも食べてみるか?」

「うん!食べてみたい!」

「じゃあ、あーん」


俺は口に運ぼうとしていたスプーンを霙に向ける。霙は照れて一度拒否したが、「食べないのか?じゃあ俺が食べよう」って言ったら悲しそうな目をしたからもう一度スプーンを向けたら、パクっと食べた。


「これも美味しい!」

「俺も、もらって良いか?」

「うん!はい、あーん」


霙は俺にスプーンを向けた。くそっ、めっちゃ良い笑顔で「あーん」してくるから照れがヤバイ!さっきのお返しとでも言いたいのか?倍になって返ってきたよこんちきしょう。


「いただきます」

「ふふふ、何それ」

「では…あむ」


うんま。え、美味い。めっちゃ美味い。取り合えず美味い。美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。美味い以外の言葉が出てこない。いやー、パフェも良いけどこれも良いね。


「どう?美味しい?」

「美味い。死ぬほど美味い」

「なんか私が作ってないのに美味しいって言われると嬉しいな」

「それは俺もだよ」


あはははと俺と霙は笑う。良いねこういうの。友達とこんな変なことで笑いあえるのって。


――――――――――――――――――


あそこで真琴君…だっけ?その子と女子の友達が笑っている。良いよね。青春してるなぁ。


「う、うにゃあ~」

「ん、起きたね菜那」

「寝ちゃってたのかにゃぁ?…あ!まこ坊の注文!」

「俺が運んどいたよ。菜那も店長も寝てるからね」

「にゃにぃ?!アッキーニャも寝てたのかにゃ?」

「うん。厨房で気持ち良さそうに寝てるよ」

「厨房は結構寒いのにゃ。風邪引いちゃうかもにゃから、布団かけに行ってくるにゃ」


菜那は厨房に行った。そしてすぐに戻ってきて、レジの下から布団を取り出し、また厨房に行った。レジの下に布団がある理由は知っている。店長が厨房で寝ちゃうことが多いからそれですぐに布団をかけれるようにだ。菜那も優しいんだなぁ。


「アッキーニャぐっすりだったにゃ」

「だろうね。毎日料理作ってるから疲労がたまってたんだよ」

「そうにゃねぇ。アッキーニャは疲れてるのかにゃ。じゃあ私が作ってやるのに―」

「ストップストッォ~プ。菜那が作るとここの店の看板である料理の美味しさが…ね?」


無言の圧力!


「そう…にゃね」

「にしてもあそこ、楽しそうだよね」

「まこ坊かにゃ?まこ坊は心の底から楽しんでるにゃ。私とかといるときの笑顔と全然違う笑顔にゃもん」

「そうなんだ。いやぁ若いって良いねぇ。青春してるなぁって感じがあって」

「にゃぎさも若いにゃよ?」

「いやいや、最近の若者には負けるよ」

「でもまこ坊たち、カップルじゃにゃいにゃよ」

「え!?」

「おさにゃにゃじみらしいにゃ」


ええ、にしてはめちゃくちゃ仲良くない?あの頃の男女の幼馴染ってちょっと距離とったりするもんじゃないの?なんなの?何であーんとかしてるの?


「でも、私も年かにゃあ。あのまこ坊達を優しく見守りたくなるのにゃ」

「それは母性じゃないか?」

「母性かにゃ。私はまこ坊達を母親目線で見るようににゃったのかにゃぁ。でも、やっぱりにゃぎさと一緒で、若いって良いにゃねぇ」


菜那もかぁ。って俺は心で思う。あの青春してる感じ、良いよね。おじさんもほしかったよ。おじさんちょっと変な感じの生活だったからなぁ。


「さっ、私は仕事に戻るにゃ」

「うん。仕事頑張れ、菜那」

「ニャイニャイサー」


――――――――――――――――――


あー、美味しかった。霙との会話も楽しかったし、今日はとてもとても良い日だ。


「それじゃあ、今度こそ」

「ああ、そうだな」

「「ごちそうさまでした」」


俺はそう言うと残っていたコーラを飲み干す。そして伝票を持ってレジに向かった。


「猫田さん。会計よろしくお願いします」

「えーっと、ミートソースパスタとカルボナーラとハニートーストとパフェ、2740円にゃ」

「えー、はい」

「ちょうどお預かりしますにゃ。レシートはいるかにゃ?」

「いらないです」

「そうかにゃ。にゃら、ご来店ありがとうございました。まこ坊、また明日にゃ」

「はい。渚さん、注文運んでくれてありがとうございました」


俺は頭を下げる。渚さんは笑顔で手を振る。そして口パクで何か言ってる。「が・ん・ば・れ」?どういうことだろう。


「真琴、帰ろっか」


霙が俺の腕に抱きつく。まさか渚さん、俺と霙がカップルだと思ってるんじゃ!?俺も口パクで「違いますよ」と言うするとまた笑顔で「しっ・て・る・よ。な・な・か・ら・き・い・た」と口パクをする。ななっていうのは菜那、つまり猫田さんのことだろう。じゃあ何で知ってるのに頑張れなんて言ったんだ?渚さん、謎の多い人だ。


「真琴?行こうよ」

「あ、ああごめんな。それじゃあ猫田さん、また明日」

「ハニートーストの感想、明日聞かせてやりにゃよ~」


俺は猫田さんの言葉を聞きながら、扉を開けて店から出る。ハニートーストの感想か、美味い以外の言葉が出ないんだけど…。

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