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魔女と銀狼  作者: guju
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第4話 謀反

「ハク……疲れ、、、た」


あれから1時間ほど歩き進めたシャルは早くも欠伸をして眠たそうにしていた


シャルの「疲れた」と言うのはは体力的にではなくて精神的にという事だ。普段から鍛錬を行い狩りをしてほとんど自給自足で生活をしていた彼女は体力だけでいえば彼らの遥か上を行くであろう。


だが、同じような風景の道をただ歩き続けると言う単調な作業にシャルは飽きているのだ


先程まではハクに乗って本を読んでいただけの為コーヒーを飲む為の休憩はしたものの特に飽きたりはしていなかった。


だが、今回はマァシ達に合わせて歩いている。マァシ達と話したりはしていたがやはり時が経つと少しづつ静かになっていくものだ


「シャルさん、街まではもう少しよ! 頑張りましょう」


ロシャンが は振り向き拳を上にあげながら言う


「そうであるぞ、シャルよ時には我慢という物が「ハク……乗る」ある……」


ハクの言葉を遮りシャルはハクの上に飛び乗る。そして、多容量鞄から詠唱に関する本を取り出し読み始める。


先程のミスで少し学んだのか昔に母から渡された教本読んでいる


「悪いな」


「いやいや、シャルらしいじゃないか」


ハクの謝罪にマァシは笑い飛ばす。


最初はハクが喋ることに驚いていたマァシ達であったがシャルの魔術の腕前とどこか不思議な感じから直ぐに慣れたようだ



そんなこんなで森を歩いていると ヒュ〜 と風が吹きシャルが読んでいた教本のページが3、4ページめくれる


それと同時に20匹程の小鬼に囲まれた


「クッ、数が多いな……それに前衛の俺とシノの武器は一角狼との戦いで使い物にならん」


「私は魔力残ってるけど''炎槍''を2度使える程度しか残っていないわ!」


「俺の武器は使える……早々にリタイアしたから刃こぼれ程度しかない」


4人は一角狼との戦いでなかなかに消費していたようだ。


そもそも一角狼はシャルが住んでいた森「ロスの森」と呼ばれる森の奥に住む魔物で、なかなかに強力である。


「チッ、タイミングが悪いな」


マァシはそう言いながらも拳に布を巻いている。拳で戦うつもりらしい。


小鬼程度ならば可能だろうが数が数だ、それに相手も剣や棍棒を所持している。素手では辛いところもある


小鬼共は口から唾液を垂らしながら「ギャギャギャギャ」と笑っている


剣を抜かず拳に布をまいた時点で分かったのであろう。


自分たちが優位であると


だが、所詮は小鬼。シャルとハクの存在を脅威とは見なしていないようだ。


小鬼は目の前の武器を持たない人間程度と判断する、知性の低い魔物だ


ロシャンは右手で持った杖の先端を小鬼に向け、左手を自身の胸に当てる


「燃える炎よ 敵を貫け ''炎槍''」


杖の先端に取り付けられていた赤色の魔鉱石が光、魔法陣が展開され1本の炎で形成された先の鋭い三角円柱が小鬼目掛けて一直線に飛ぶ


その炎の槍は、1匹の小鬼を貫き2匹目に当たる。そして、周りにいたさらに2匹を巻き込んで鎮火した


小鬼は地面に倒る。その姿は小鬼のものとは分からないほどに変わっており、炎に燃えた皮膚が爛れ、身にまとっていた腰巻は跡形もなく消えている。


本来、炎槍の威力はここまで高くないのだが、小鬼から出る体液がガソリンと似た性質を持ち合わせており、その体液が炎の威力を上げたのだ


だが、その分制御は難しくなる。炎槍で言えば2度ほど打てる魔力は残っていたのだろうが、森に日が伝染らないように上手く制御するための魔力が必要になるからだ。


その為、ロシャンは方で息をしている。恐らくもう魔法は使えないだろう。


「きぎゃぁ!」


ロシャンに二匹の小鬼が襲いかかる。


ロシャンは咄嗟に頭を腕で守る体制になるが相手は錆びているものの剣を持っている。このまま行けば確実に死ぬだろう。


「させる……かっ!」


「てりゃぁ!」


マァシが左の小鬼を殴り飛ばし、右の小鬼の首をハウェンが剣で切り落とす


「はぁ、はぁ。無事か、ロシャン」


「あ、有難……助かった」


マァシは小鬼を殴った右手を振りながら言う。いくら布を巻いているとはいえ、魔物を殴ったのだ。


人よりも硬いそれはマァシの拳に痛みを与えている。


「だが……」


そう言ってハウェンは右手に持った、半分ほど上のない剣に視線を送った。


元々一角狼との戦いで消耗していたのであろう。彼らが持っている武器は小鬼程度でどうにかなる武器では無い。


これで彼らの武器は尽きた。剣も無ければ魔力もない。だが、小鬼は14匹程残っている。武器無しでは流石にきついだろう


「シャル、行かぬのか?」


ハクは自身の上で傍観しているシャルに問う


「そろそろ……かな」


シャルはハクからおり、左に腰掛けていた短剣を引き抜く


柄の部分と、鞘の部分は何者も染めてしまうような漆黒である。だが、その刀身は漆黒の鞘や柄からは想像出来ない程に白い。


名を白夜叉


何者にも染まらぬ純白の刀身は僅かに差し込む夕日が反射し輝いて見える。


「いく……よ」














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