雪山到着
異世界転移のタグを付けずに投稿してしまい、誠に申し訳ございませんでした。
・・・う、ううん、
「お・・・し・・・う!」
・・・あ・・・・・・う、ううう、ん?
「起きて!凍死しちゃうよ!」
ハッ!死ぬう!?
「うあああ!?」
「ああ、よかった!目を覚ました!」
え、あ、え?
「大丈夫?自分の名前分かる?」
え、えーと?あ!そうだ!転生したんですね!
「あ、そうか転生したのか!」
「転移ね。まだ寝ぼけてる?」
ああ、そうでした。ちょびっと恥ずかちい。…って!どうわあ!?眼前いっぱいのドアップ美少女で、全て思い出し、一気に覚醒しました。かなり顔が近い。わたし史上ナンバー1の近さです。チョップの手一つ分こっきりです。
「ち、近い・・・///」
「あ、ごめん、必死だったから。」
女の子に謝られるとは・・・普通逆ですよね。女の子が顔を遠ざけます。・・・口臭くなかったかな、心配です。
「ふう、起きてくれて安心したよ。このまま死んじゃうかと思ったよ。」
「いやあ、すいません。ありがとうございます。」
「こんなところじゃあ、助け合わないと生きていけないからね、あとそんな他人行儀じゃなくて大丈夫だよ。」
この女の子、すごい美少女ってだけじゃなく、性格もいいんだなぁ。こんな、見ていて不快になる顔をしているわたしに親切にしてくれるんだから。
「とりあえず、周囲の情報を確認しよ!」
女の子が片腕を上げて、オー!というポーズをします。
「そうだね!えーと、」
笑顔で返答して辺りを見回します。まず眼前に広がるのは雪の降っていない雪原。右側には割と近いところに頂上の見える、坂道があり、左側には雲のかかった緩やかな坂道、大体自分を中心に半径20mくらいの範囲がテラスのような突き出した部分になっています。うん?雪?
「あれ?寒くない。」
「え、気づかなかった?ほら服装。」
「あ、分厚いコートと手袋だ!いつの間に。」
正しくはフードコートです。
「女神も一応こういう気遣いはできるんだね、自己中だけど。」
「そうだね。あんな女神だけど一応気遣いできるんだね」
二人揃って苦笑します。うん、初対面で緊張してるけど女の子のおかげでなんとかいい感じの雰囲気です。
「あ、あれ見て!あれ!」
女の子がある一点を指差します。その先には斜面に突き出た家が見えます。大体100mくらいでしょうか?そこもここと同じようにテラスになっていますが、地面に接している部分がコンクリのような材質でできています。
「あれが女神の言ってた一軒家かな?」
「そうじゃない?行ってみようよ」
早速行ってみることにします。一歩踏み出すと、長靴も装備していることに気づきました。
結構雪が深く、雪に足跡が付きます。雪を踏む時の音が良いです。僕の住んでいる地域はあまり雪が降らないので楽しいです。坂道は緩やかなので、そこまで登るのは苦労しません。
「ハイキングみたいで楽しいね。」
「そうだね、学校に行って勉強ばっかりだったから、こういうのはいいね。」
「うん、俺も学校で勉強ばっかりだったから、気持ちがリフレッシュするよ。」
ふう、この女の子性格が良くて助かりました。積極的に話しかけてくれるおかげでなんとか話せます。これで性格悪かったら、今頃雰囲気最悪だったでしょうね。
そんな感じで話していたら、あっという間に家に着きました。
近くで見ると、現代日本にあるような一般的住居です。外装は乳白色、屋根は赤色、二階建てで、横幅縦幅がそこそこ長い、一階には大きめの窓と玄関、排気口にお風呂の窓があります。二階は窓が一辺に二つほどあります。ただ、不可解なことに屋根に雪が乗っていません。なぜでしょうか?
「しっかりした家だね。私もっと小さいかと思った。」
「俺ももっと小さいかと思ったよ。」
「よし、私が先に入るよ。」
「あ、本当?ごめん、よろしく。」
「いやいや、全然大丈夫だよ!」
女の子に任せてしまうのはどうかと思いますが、ここでいざこざが起きるのもどうかと思ったので、任せることにしました。
女の子がドアを開けて、中に入ります。
「え、どうしたの?」
「・・・」
・・・完全に女の子が停止しました。
・・・トラップですか?これ。
肌寒い空気が急に吹き始めました。風の音がフードの耳あたりを掠めていき、静寂が一層深まります。女の子が止まってから、体感時間は既に3分を経過しようとしています。
「よし、把握」
・・・女の子の第一声は把握でした。