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23話、判明

――――エルドラン王城――――


「オドリー、オドリーを呼びなさい」


アヴューレは予定のオークが揃わない事に、苛立ちを露にしていた。

あれから更に1週間が経ち、予定数の50匹も目前かと思われたが、

あれから生まれてきたオークは殆どが未熟児で成長する所か、弱る一方。

女子生徒の中には出産と共に、死ぬ生徒が続出しだした為であった。

結果、使えるオークは5日前の22匹と10匹の32匹で止まっているのであった。


「はっ、御呼びでしょうか?アヴューレ様」

「あぁ、いったい何時になったら予定数の50匹を越えるのですか?」

「はっ、それが……女達の中から死亡する者が多数出てきておりまして……このまま続けますと、数を揃える前に母体が居なくなってしまいます」

「ポーションは与えておるのであろう?」

「はい、毎回与えているのですが……過度に与えすぎたせいか……それでも出産と同時に死ぬので御座います」


短期間でポンポン産めたなら苦労はしないのである。

鼬は結構、短期間でも出産をするらしいが……。

それでも3ヶ月は間が空く事を考えれば、1週間や10日で2度も妊娠させるのは無謀であった。


「うーん、ポーションも案外、役に立たないのね」

「仕方ない、現在の32匹と勇者2名の構成でヤマト皇国へ進軍させましょう」

「その数で、覚醒遺伝の王女を仕留められるでしょうか?」

「あの勇者達も、遊んでいた訳ではないのでしょう?」

「はい、最近では大河のワニをも殲滅しておりますれば……」

「なら問題なかろう!ヤマトへ進軍させるのです!」

「はっ、畏まりまして御座います」


身の程を知らぬ王女は、ヤマトへの進軍を開始させた。












「今日、二人に来てもろうたんは、エルドラン王国内に忍ばせておる忍びの報告で、遂にエルドランがこの国へも進軍を開始させたそうどす。更に、アルドバーン王国戦の折、見かけたオークがざっと30匹はおるらしいんよ」

「30匹のオークですか!」

「人数が合わないような……」

「恐らくやけど、1人に2匹ずつでも産ませたんやないか?とおもっとります」

「こんな短期間でそんな事したら――」

「ええ、まず生徒さん達はもう生きていないかもしれまへんなぁ」

「つっ……」

「そんなに心配なら、このオークを殲滅した後にこちらからエルドランに攻め入ったらええんと違います?」

「俺達にそれが出来ると?」

「ええ、既にかなり強くなっていると思いますよって」

「アオイさんには全然歯が立たないのに?」

「何言ってますのん。私が覚醒して既に10年は立っておるんやで?」


10年もレベル上げを行ったアオイと、たかだか2週間の秋人達では、未だに差は歴然であった。


「それもそうですね」

「では、オークが国境を越えたら、こちらからも打って出る手筈でいきましょか?オークを殲滅後にエルドランへ攻め入る為の援軍もこちらから出しますよって」

「それは、助かります」

「では、国境からの早馬が来たら出ますよって、支度だけはしといてな」

「「はい、わかりました」」













一方で岬達は、リーン王女の滞在している代官屋敷で、風呂に入っていた。


「岬って思ったよりも胸大きいんだな!」

「エレンさん程では無いですよ」

「あたしのはどっちかと言えば筋肉だからな!がはは」

「私にもそれだけの力があったら、あの時にオークから逃げずに戦えたんですけどね……」

「あーさっき言っていた、好きな男の所へ逃げたって話かい?」

「ええ。あの時逃げなければ、私もオークに犯されていたかも知れないんで……」


あれ?オークに犯される……。


岬がそれに気づいたのは、本当に偶然だった。エレンとの会話の流れで、

オークから襲われそうになっていた自分は秋人君の方へ逃げてしまったから、今の自分がある。だが、もし、オークから逃げなかったら――どうなるって正人さんが言ってたんだっけ?

確か……オークは繁殖力が強い為に、ほぼ確実に妊娠する??

妊娠?

人間とオークの子は人間?それともオーク?


「エレンさん、つかぬ事をお聞きしますが……」

「なんだい?藪から棒に――」

「えっと、人間の女性とオークが交尾した場合、生まれてくるのは人間ですか?オークですか?」

「そんなの決っているじゃないか!オークだよ!」

「つ゛っ……つまり、人間は生まれて来ない?」

「ああ。確実にオークだね。たまに旅人や商隊がオークに襲われたりして、攫われた女を救出する為に、冒険者が雇われる事があるんだが――女を救出した所で既にオークの子を孕んでいてね。過去にも何度もあったが人間が生まれた事は一度も無いね」

「やっぱり……」

「何がやっぱりなんだい?」

「後で皆が揃ったら話します」

「なんだい、水臭いじゃないか!」


エレンの事は信用しているが……この問題は正人も交えて話した方が良いと、岬は判断したのである。


「なんか気持悪い話をしているのね……あなた達――」


田辺繭は召還されてから、リーン王女によって大切に保護されていた為、オークやモンスターの類と戦闘した経験は無いのであった。


風呂から上がり、ティールームで皆が揃った頃合を見て、岬が話し始めた。


「さっき、エレンさんと話していて気づいた事があるんですが……」

「なにか大事な事なのでしょうか?」


リーン王女は岬の雰囲気から何かを感づいた様だが、岬の話は終わらない。

「アルドバーン王国を襲撃した多数のオークは、私達の学校の女子生徒が母体となった可能性が高いのではないかと……」

「一体何を。てか、なんでそうなるんだ?」


アルドバーン王国に召還された正人は、岬の発言に食いついた。


「前に、正人さんが教えてくれましたよね?オークに犯された女性は、ほぼ確実に妊娠するって――」

「ああ、言った。かな?」

「それで思い出したんです。私の学校が転移して直ぐにオークがやってきました。そのオークに女子生徒の多くが犯されていました」

「うえぇ~私キモイ話はパスするわ」


田辺繭だけ部屋へ戻っていった。


「だからといって……そのオークだとは限らないんじゃ?」

「ええ、でも普通のオークでは有り得ない力に魔法まで使うんですよね?」

「ああ。あたしが見たオークは確かに魔法も使った」

「勇者の血が混ざったオークだからじゃないかと思ったんです、生徒達が産んだオークならもっと数が多くても不思議じゃないですし……」

「あくまでも生徒が生きていた場合の話だけどな。でも可能性は高いか」

「私達の学校を召還したのは――」

「なるほど、エルドラン王国の女狐って事ね。あ、ちょっと待って……緊急の連絡が来た見たいだわ」


リーン王女が窓を開けると、鷲の様な鳥が部屋の中へ入って来て、その足に紙が巻かれてあった。

王女がその紙を足から外すと、その鳥は外へ飛び出し何処かへ飛んで行ってしまった。


「どれどれ、どうやら岬さんの考えが当った様ですわよ?今朝方、エルドラン王国からオーク30匹以上を乗せた馬車が、ヤマト皇国方面へ向って進軍を開始したらしいですわ」


ヤマト皇国から早馬を貰って直ぐに、エルドランに諜報部隊を送り込んだ甲斐があったわね……そんな事を呟いていたが……皆は話しに夢中で聞いていなかった様である。

王女の功績なのに……。


「リーン王女、申し訳ありませんが……」

「やっぱり行っちゃうのね?――繭が寂しがるわね……」

「俺も行くぜ!」

「んじゃ、あたしも!」


どうやら3人は行くつもりらしい。


「でも繭は貸さないわよ?」

「お気持だけで結構ですから」

「そ、そう。ならいいのだけれど……」


もしかして……リーン王女――凹凹なのか?


そんな事はどうでもいいとして……。


リーン王女からまともな服と、武器一式まで貰って4人でヤマト皇国へと旅立っていったのである。


もう1人は……影の薄くなったレミエルである。


レミエル、凸凸が見られなくてただ今。凹み中なのであった。



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