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15話、同衾

食事を食べた後、布団に包まりシルバーと共に寝ていた所。

突然、外の廊下から声をかけられた。


眠い目を擦りながら扉を開けると……。

申し訳無さそうな仲居さんと、その後ろに――。

あれ?何処かで見た様な……。

背は俺より7cm位低い160?

髪が茶髪でロングヘアー。

瞳はくっきり二重の茶色い目。

あれれ?

この胸の大きさには見覚えがあった。

教室でも大きい方で走ると胸が揺れる子だ……。

えっと……名前が。


「秋人君!秋人くんだ~」


俺が思い出す前に、何故か俺の胸に飛び込んで抱き締められた。


ちょ、胸が……柔らかい。


そうじゃなくて……女の子ってこんなに温かかったっけ?


それも違うな。


あ、思い出した。


学力優秀、スポーツ万能。毎回、廊下に張り出されるテスト優秀者の――。

上位の常連。で弓道部期待の新人。


クラス委員長じゃん!


名前は……。


「会いたかったんだよ……秋人君」


俺に抱きついたまま泣き出した。


こんな可愛い子に抱き付かれる様な事、何かしたっけ?


秋人が呆けていると、仲居さんが気を利かせてくれて――。


俺の布団の隣にもう一組の布団を敷いて『ごゆっくり』

そう言って静かに出て行った。


あれ?

これって……。

同衾?


突っ立っていても仕方ない。

彼女が泣き止むまで抱き付かれているのは、

とても魅力だ!

大切な事なんで2度いいます。

アンダーとトップの差が大きいので胸が当ると気持いいんです!

とても魅力です。


でも……抱きつかれたまま、チークダンスでも踊るかのように。

テーブルまで移動して……。

座布団に座らせた。

はぁ、これで体は密着していない。


にしても、凄く温かく、気持良かった。

名前は確か……五十鈴たまきちゃんだ!

有名な企業の経営者一族を親に持っていて、才色兼備な女の子。

男子の憧れの的。

俺も岬ちゃんが居なかったら惚れていたかも?

そんな美人にさっきまで抱き付かれていたなんて……。

これは夢か?

そんな事を考えていたら。


「クウゥーン!」


シルバーが俺の浴衣に噛み付いて環と引き離そうと必死に引っ張り出した。


「シルバーこれ宿のだから、引っ張っちゃ駄目だって」


そう声を掛けているのに気づいた環がシルバーを見た。

そして……。


「きゃぁー可愛い!なにこれ!なにこの可愛い生き物は!」


そう言ってシルバーを抱き締め出した。

シルバーは逃げ出そうともがくが……さすが勇者だ。

逃げられそうになく……シルバーがぐったりしだした。


「ちょ、環ちゃん。シルバー死んじゃう!死んじゃうから!」


離してあげて。

俺がそう言ったのに気づいて漸く、離した。

シルバーが俺の後ろに逃げてきてゼイゼイ言っている。


「秋人君、久しぶりね。4日ぶりかしら?」

「その位だな。五十鈴さんも元気だった?」

「あっ」


何かに気づいた様にちょっと顔を赤らめ――。


「私も呼び方は名前がいいかな?」

「じゃぁ環さん」

「同級生でさん付けはちょっと……」

「それなら環ちゃん」


それなら。呼び捨てでもいいのに……。

最後の方は聞こえなかった。


「で、環ちゃんはどうしてここへ?」

「秋人君と同じ理由よ!」


なるほど……逃げてきたのか。じゃ他の生徒も危ないのか?


「他に生き残った生徒は?」

「それは……」

「何か言い難い事でもあったの?」

「それが……」


環ちゃんから話を聞いて俺は吐きそうになった。


さっき気分良く食べた和食もすっきりした喉越しのお茶も全部。


俺がオークを殺す前に襲われていた女子の15人が射精されて妊娠。

内、7人は話を聞いた翌日には自殺。

残りの8人もいつ死んでもおかしくないらしい。

射精を逃れた2名は1名は気が狂い幼児化。

もう1名も精神的に弱っているらしい。


幸い環ちゃんは俺の一番近くにいた為に、服を破られただけで済んだと。


あの時、岬ちゃんが逃げて来なかったら……。

俺の手で死ななかったら……。


岬ちゃんも15名の女子と同じく、オークの子供を妊娠……。

そう思ったら……さっき我慢した吐き気が再発し完全に戻した。

吐き出す瞬間にこの部屋の裏手の窓からどぶ川に顔を出して吐き出したので。部屋には被害は無い。


大丈夫?と言いながら優しく俺の背中を環ちゃんが擦ってくれる。


「ありがとう」


そう言うと……。


「私もあの時、15人と同じ運命を辿る筈だったの。それを秋人君が助けてくれたのよ」

「それはたまたまだって……」

「でもね、秋人君には感謝しているの。それこそ私の全てを捧げても足りないくらいにね」


すみません、下半身立っちゃいました。


俺の中で異性への興味とかさっきの胸の感触が思い出されたが……。

俺はオークとは違う。


「感謝するのは勝手だけど、環ちゃんこれからどうするんだ?」

「あの国には戻れない、戻ればどうなるか分らないもの」

「それは俺も同感だ。俺、あの時1階の昇降口であいつらが召還の犯人で、何で生徒全員がオークに見えたのか?その理由を話しているのを聞いたんだ」


それで逃げ出した。

そう言うと……。


「あの場合、仕方無かったと思うわよ。私も同じ立場なら逃げ出すもの」


ただ、俺と違って逃げたら復習なんてしようとは考えないらしいが……。


「ここの王女様とは会ったんでしょ?どんな人だったの?」

「う~ん、いい人ではあったよ。先輩2人に殺される寸前に助けてもらったし」

「そうなんだ、やっぱり先輩達、秋人君を殺そうとしたのね」

「それも仕方ない事なんだけどな。隷属の腕輪が腕に嵌っていたし」

「まさか……それって……」

「そう、自分の考えじゃなく相手の言なりにさせられる腕輪、その話も昇降口で聞いたんだよ」

「そう、先輩達の本心では無いのね」

「だと思いたいけどな。勇者3人いれば天下も取れるとか……」


本当にアヴューレ王女の隷属の効果なのか?と疑う部分もあった。


「それで秋人君はこれからどうする気なの?」

「取り敢えずは、アオイ王女と明日会う事に成っているからそれで決ると思うよ」

「そう、私も一緒に行ってもいいかしら?」

「大丈夫だろ。多分だけど……アオイ王女。めちゃめちゃ強いぞ。先輩二人が一瞬で無力化されたからな」

「そんなに凄い人なんだ?」

「うん。あの王女様は例外だね」


その後。どうする?と寝室をチラリと見ながら聞いたら、さっきお風呂前に秋人君の洗濯物見て気づいたから……。体まだ洗っていなくて――。

お風呂に入ってからね。

そう言って環ちゃんは風呂に入りに行った。


俺は、まだ戻した気持悪さが口の中に残っていたんで、お茶を入れて飲んでから――布団の中に入って待っていた。


瞼が明るくて起きたら、隣の布団に環がシルバーを抱き締めながら寝ていた。

彼女の浴衣の足元が少しだけ捲れていて、妙に色っぽかったのが気になって朝から元気になった。










『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁー』


遠くで糞王子の悲鳴が鳴り響いていますが関係ありません。

後宮も、本日3度目の絶叫なので別に大きく騒いでいない様です。


さて……サーチでも使いましょうか。

『サーチ』……随分遠くまで逃げましたね。こっちの方向はっと。


フェスリシア王国の方角ですか……また想い人と離れていきましたね。

その方がざまーみろですが。

嘘です。

恋は障害がある方が燃えるのです。

私も男の娘と男の方が萌えます。


地上では私の使える能力がかなり抑えられています。

そのハンデが無ければこんな国、一瞬で消し飛ばしてやるのに。


え?この国に何か恨みでも?

大有りじゃないですか!

私の楽しみを知っていますか?

私はあのモニターで男×男の娘の動画を見るのが楽しみだったのですよ。

それがあの糞王子のお陰で1万年もお預けになったんですから。

この世界で凸凸の営みを探すしか楽しみがないのですからね。


そもそも人間はおかしいのですよ。

最近の法律では近親婚が禁止されていますが、神でさえ普通に近親婚していますよ。しかも近親婚なんて1700年位まで当たり前に世界中で行われていましたからね。医学が発達して禁止されましたが。

愛に近親の差は無いのですよ。


さて準備も出来た事なので『テレポーテーション』


あれ?発動しませんでしたね。


まさか……無尽蔵な私の魔力が……なくなっている!


神様酷いじゃないですか!


レミエルはフェスリシア王国へ向って伸びる街道を走って向ったのでした。


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