第96話 メタ・メタフィジカ
釣り目の僧侶は難民の群れを率いて引き返し始める。心中、回天の策を探していたが、それを妨害する如く、彼に寄り添い馬を進める東洋人が傍にいた。
「みな、先頭を見ていますな」
下手に逃げられはしないぞ、と言う訳だ。身を正し馬を進める二人。ここまで無言を貫く釣り目の僧侶の殊勝な姿は見かけだけと感じた東洋人はしゃべり続ける、彼を非難するように。
「思えば私と台下が最初に会話をしたのは、とんがり殿が統領であった時でしたね。といっても台下が扇動したクーデターの最中、私は事前に台下が根回しした一団にすら入っていなかった。今、この地位にあるのも、とんがり殿と翼軍人を私が倒したため。それを思えば、チャンス現出の一助となった台下には感謝しています」
「そう言えば、あの時に私が声をかけた傭兵らはみな、いつの間にか都市を去っていった」
「白状すると私が画策して追放したのですよ。台下と傭兵の繋がりを私一本に絞るために。今日の日があるのもその為です」
「彼らは今、何をしているかな」
「魔王の締め付けで都市に逃げて来た戦士・冒険者の群れに知った顔が何人かいましたよ。そう、結果的には台下に殉じたわけですね。台下に人を惹きつける魅力があるためでしょう」
その口調は明確な皮肉が混じっている、と釣り目の僧侶は感じただろうな、と東洋人は自身の発言のキツさを自覚した。この人物は不快な存在だ—と。背後の難民たちの苦しみの行軍は、呻き声を伴っている。
「希望の道を歩んできたのに、その道を逆戻りして絶望の地へ向かうのです。あの嘆きはむしろ当然でしょう」
「どこまで付いてくるのか」
「台下が私との約束を果たしてくださるまで」
「この者共を元いた国に戻せば良いのだろう。造作も無い」
「台下、この者らの国はもう無いのです。国を失い溢れ出た者たちに今の場所で頑張れ、と説得することが、造作も無いと?本当に?」
「……」
再び沈黙が続く。雄弁ではないが、必要な時に必要な言葉を持たぬ釣り目ではないはず。沈黙すると言うことは、心底観念しているのではないか、そう感じた東洋人は、先方へ少し配慮して話しかける。
「台下に伺いたい事もあるからついて来ている、とお考えを。台下はあの勇者黒髪とパーティを結成していた時期もあった。その時の事をお聞かせ頂きたいのです」
「黒髪の次の勇者に名乗りを上げるつもりかね」
釣り目の僧侶は怪訝な表情を浮かべるが、東洋人は構わず話し続ける。
「いえ、彼の事績を理解するためですよ。大それたことは考えていません。それに、勇者の立場より独裁者の立場の方が色々とやりやすいのです」
「そうだろうな」
「勇者黒髪氏とは、そう、仲間であったのでしょう。なぜ仲違いを?共に手を合わせていれば、今、このような事にはなっていなかったかもしれません、台下も勇者黒髪も自身も」
「黒髪か……」
釣り目の僧侶は馬上で過去について語り始めた。
「人間思いがけずに足場を自覚するものなのかもしれないが、気付いた時、私は都市にかなりの地位を持っていた。等しくはないがなかなかの地位を持っていた腕の良いカルヴォと仲良くなった頃、黒髪に声を掛けられたのだ。怪物を倒して名を挙げよう、ってね」
予想に反して語り始めた釣り目の僧侶に、東洋人は馬を近づけて質問を投げる。
「それは洞窟でですか、それとも都市で?」
「都市の酒場で。あの金がうなる洞窟にたどり着いたのはそれから半年位経ってからだ。最も腕の立つ戦士カルヴォ、サポートに長けた私に比べて、まあ筋は良いが半端な戦士だった黒髪が勇者と称えられるなんて、予想もしなかったがね」
「一つ良いですか、私も面識があった三つ編み。それにとんがり殿彼らを引き入れたのはやはり勇者黒髪ですか」
「そう。都市に縁のあるカルヴォも私も、素性の知れぬ戦士の参加は拒否したのだが、徒手で戦う三つ編みは我らのパーティと相性が良かったからしぶしぶ認めたのだ。すぐに戦死しちまったがね」
その話を聞きながら、東洋人は自身が釣り目に向けているだろう冷たい視線を一層自覚する。
「当時、魔の噂を聞きましたよ。台下は彼の亡骸から金目の物全てを奪ったでしょう。そして売って金に換えた」
悪びれずに釣り目の僧侶は答える。
「当然だよ、新しく金を作れれば、洞窟探索のたしになる。君は私を非難するのか」
「いいえ、もう済んだことですから。ただ我らの傭兵の習慣では、遺族がいれば遺品は手渡すものですし、いなければその金は埋葬のために費やすものなのです。だから、問題があるとすれば洞窟に亡骸を捨てたその行いにあります。どのような世界にも」
「礼節は必要だ、と言うのだろうが私は僧侶だ。その場で死者の安寧のため、祝福を与える事も出来るのだ」
「死体が怪物の腹に収まろうとも、ですか」
「死ねば全てが土塊に還るのだ。そんな事を気にしてどうする。その点では、人間も怪物も変わらない」
「台下ですら、死ねば同様に、土塊になるのですよ」
「どうかな。私は特別なのだ。死ぬ事はないよ」
東洋人、狂人を見る目で釣り目を眺めていたが、この話しはもう結構とばかり、釣り目から視線を外す。が、そんなことは気にしないように、釣り目は続ける。
「……怪物と言えば、魔術師とんがりが我らを裏切るとは思っていなかった。無論、ヤツを引き入れたのも黒髪だった。鍵を開ける魔法を使える、というのが参加を許した理由だ」
「あれは魔法じゃなく技術だという話でしたな」
「都市に流れてくる前はかなりの悪事に手を染めていたらしい。魔法使いではなく、実際は犯罪者、盗賊だったわけだ。つまりはあれも移民で、カルヴォと私は不満を持ったものだ。でも黒髪に面と向かって言われると断れなかったよ」
「彼のあの特質なら、それは私も良く判ります。勇者黒髪は相手を説得するのが誰よりも上手かった。心地よい話し方をした」
釣り目の僧侶は渋い表情で東洋人を一瞥し、すぐに正面を向き直して曰く、
「だが、とんがりが行方不明になり、いつの間にか我らを裏切り怪物の一味、代理人として都市の独裁者になった時、カルヴォも私も黒髪に怒ったものさ。もう素性の知れぬ輩はパーティに入れるな、と」
「しかし、台下も戦士カルヴォも黒髪と別れたのはその時だ。引き留めたりはしなかったのですか」
「引き止めたとも。だが、ヤツは聞かなかった。まあ袂を分かったということだな。その後やつはアルディラ王国へ向かった。後は知っての通りだよ」
「……なるほど、今から思えば、パーティから外されたのは台下らの側だったのではないですか。その後黒髪は勇者になったのですから」
釣り目は一層苦々しい表情をして曰く、
「……そんな事はない」
「生まれながらの勇者はいない、と私は考えます。黒髪も戦士の一人には違いない。ただ、彼は勇者と呼ばれるように至る実績を積み上げた。その才能があったと言ってもいいでしょう。台下も惜しいことをしましたね。移民嫌いを我慢していれば、今頃は勇者のパーティとして、モストリアに君臨できたかも知れません」
「……誰もが将来を見通せるわけではない。それに、黒髪が行なった遠征がどのような結果になったか、よく見てみろ。あれで成功と言えるか。結局、殺されたのだろう、ヤツは」
「まあそれは……しかし怪物どもが口にしているだけで、誰も死んだ場面を見たわけではありませんよ」
「いいや、死んでるよ」
「何故、断言できるのですか」
「今の未來都市の動きが黒髪的ではないからさ」
「まあ、それは確かに」
「珍しく意見があったじゃないか。黒髪はもう確実に死んでいる。いま、未來都市を率いているのはニセモノだ」
人間世界へ公式には魔王からのみ伝えられていた勇者黒髪の死について、人間世界が苦境にある中、頑なに信じない人々もいたが、この二人の間では結論がでた。その後しばらく無言が続いたが、東洋人、さらなる質問がまとまり口を開く。
「移民嫌いの……台下が私と組む事もありましたが、よく我慢されましたね。さぞ嫌だったでしょう」
「だが君は我慢しなかったな。早々に私をお払い箱にした」
予想していなかった返答に、東洋人は苦笑して曰く、
「台下は手勢を持たぬ方ですからね。僧侶とは兵を持ち難いという点がある、と野心溢れる台下の行動を見て痛感したものですが。あの勇者の代理人であった商人と台下が結んだのは、移民ではなく外国人であれば耐えられたからでしょう、違いますか」
「まあ、そうかもな。あれも哀れな最期だったが」
「思えば台下は、あのデブの商人と同じ方法を取ってしまったのでしょう。後ろの難民たち、デブの商人がグロッソ洞窟を攻めた時に率いた民衆と、出身地はほぼ同じです。これで成功を見通せたのですか」
「主力は交易都市の指導層だった。私と同じ上流階級の。君のような移民出の独裁者に負けるわけがないと」
「安寧の中にいた交易都市の人々を説得するのはさぞ骨が折れたでしょうね」
「まさか、容易だったとも。彼らは交易都市に移り住んだのではなく、稼ぎに出ていただけだからね。移民の君なのにわからないかな。やはり人は、住み慣れたより安全な土地を故郷として思い描くものだ。彼らも本心では危険な土地に居たくないのさ」
「そうですか……台下はそこまで理解しているのに、それなのに難民たちを扇動した。それがあの時の台下の立場を、強化すると本当にお考えのことですか。敵に向かっていくらでも投げることができる、雑兵が欲しかっただけなのではありませんか」
「……何が言いたい」
「いいですか。だとすれば、台下は最もまずい策を選択したことになります。兵としては弱い、それを使えば非難され得る、勝るものは行き場所が無いという彼らの悲劇だけ。黒髪はもちろん、あの戦士殿ですら、兵は自分の手足となる男たちを使った。それが上策だからです。いったいどこで、台下は歩みを止めてしまわれたのか」
「止まってなどいない。死ねば止まるとすれば、黒髪もカルヴォも歩みを止めている。私はまだ生きているのだ」
「いいえ」
東洋人は強く否定して、話し始める。それもこれまでに無く断定的な強い口調で。
「勇者黒髪は立ち止まりませんでした。お仲間だった戦士殿は未来都市の軍勢に戦いを挑み討たれたと聞きましたが、一説によると美しい妖精への愛に殉じたということです。二人とも、台下とは違って立ち止まらなかったのです」
「いいや」
東洋人の発言を強く否定した釣り目は続ける。
「私は歩みを止めてなど居ない。私はある一点で誰よりも優っている。特別なのだ。それが失われていない以上、必ず……」
東洋人、それを冷たくいなす。
「必ず、なんです。私はもう台下を、二度と表舞台へ上げるつもりはありません」
「や、やはり殺すのか」
東洋人の凄味のある言葉に、さすがの釣り目もたじろいだが、東洋人の首を振って曰く、
「いいえ、殺しはしません。ですが、監視付きのまま永久に軟禁させてもらうぐらいの事は考えています」
釣り目の僧侶は、東洋人のこの発言に慄いた。それは生きたまま死んだ者として扱う、という事だ。
「そんな扱いを受けた人物の話を聞いたことがある。二十代で野心を抱き行動するが失敗し、牢獄に入り、恩赦によって娑婆に復帰できたときはすでに八十代の高齢、世界は自分の孫たち相当の世代に代わっていたという。そのような目にあうくらいなら、狂い死にした方がマシだ」
馬を止め、東洋人を向き直して、抗議する釣り目を、難民たちは一層不安な表情で見つめる。
「狂気も一つの世界である、という見方もあります。罪人にはふさわしいでしょ」
「おかしいではないか。私はそなたにはともかく、都市エローエに対して罪を犯した訳では無い。なぜこのような目に?」
「本気でおっしゃってるのですか、台下」
「私はこの世界で成功したかっただけだ。認められ、褒められ、尊敬され……それを望んでいただけなのに。なぜこんな目に」
ついに現実が腑に落ちてしまったのか、釣り目の僧侶は悩乱する。
「ああ、いろいろな世界があってもいいはずなのに、よりにもよってなぜこんな……」
「この世界も、台下のおっしゃるそんな世界の一つですよ。ですが狂気に落ちても、あるいはそれを装っても、もはや役に立ちませんよ」
釣り目の僧侶は弾かれたように、急に馬を駆り、走り出した。ここで逃げられる事を考えていなかった東洋人は、刹那虚を突かれた。その彼を幾人かの難民が目で追った。
「逃げた、台下が逃げた!」
「逃げる気だ、追え!」
「絶対に逃すな!」
難民たちが武器を手に駆け出すと、東洋人はもはや彼の伴をしない。駆け出す直前の彼の目に浮かんだ色に、狂気の影を認めたからだ。振り返ってなにやら考えた後、都市エローエへ向けて引き返していった。難民の群れにはすでに帰宅命令を出してある。
「勇者黒髪ほどではないせよ、努めは果たしたと言えるな。戻ろう」
騎手の滅茶苦茶な操縦に恐れをなして足を止めた馬を、釣り目は捨てて走り出した。山野を駆け木藪を潜り、頭から聖職の冠は転げ落ち、マントも破れ千切れる。駈け続けながら、釣り目の僧侶は考える。
「人は役割をもってこの世に生まれる。定まった役割を掴む事こそ、勝利であり栄光。俺はこの見知らぬ世界で恵まれた環境にあった。階級、資金、背景、そして知識。この世界に秘められた知識を、俺だけが知っていた。だからこそできる事もあった。世界を革命によって救済する力を持った者に近づく事、不要な仲間を身ぐるみはいで打ち棄てる選択がある事、人気を博する選択肢の正解、それなのに。どうしてこうなった。この世界は俺が嫌という程に知っている筋書きを辿る世界の一つでしかないはず。俺の世界ではあり得ない奇跡に満ちているこの世界は。それとも俺以外にいるのか。奇跡に愛された奴が」
他者がみれば狂気と正気が入り混じっているかのような感想を持ったに違いないこの精神状況。だが、釣り目の僧侶は確信していた。心が乱れても、まだ自分の思考は狂気に落ちてはいないと。
「世に溢れる怪物と支配者魔王、それと戦う王国や諸国、勇者、仲間たち、傷を治す力、魔力……天使は……いない、いやいるのかもしれない。女神……も会わない。妖精は洞窟にいたな」
誰かに秘めていたこの考えを認めてもらいたい。その一心で、息を切らせて走る。
「そうだった。俺は都市国家で目覚めたのだ。それが全ての間違いだったのか……国際問題、暴動、難民問題、いや違う、違う!煽動やクーデター、物価の乱高下……」
刹那、放たれた矢が釣り目の僧侶の後頭部に突き刺さった。鏃は眼窩を突き抜けた。突如襲い来た激痛と視界の不良に、釣り目はうずくまってしまった。
「当たったぞ!」
「殺したかな」
「逃げなければこんなことにはならんのにな。おい、確認してこい」
追っ手が釣り目の体に触れると、死への強い恐怖から、刹那痛みも何もかも忘れ、釣り目の僧侶は再び走り出した。だが、引続く激痛が彼を苛む。
「ああ痛い、痛い。頭が割れそうだ。この世界にあって、こんな痛みは初めてだ。でもわかった。俺は世界の主役ではなかったんだな。そうであれば、こんな目にはあわないはずだし。でも勇者黒髪は死んでしまった。誰がこの世界の主役なんだろう。東洋人か、それとも魔王か、他にまだ見ぬ連中なのか……」
さらに降り注ぐ矢が、釣り目の体に突き刺さる。
「か、回復だ。回復しなくては」
釣り目の僧侶は回復のための文言を呟く。だが、すでに全身を負傷しているため、その奇跡が効果を発揮しているか、彼自身にもわからない。
「そうだ、俺はこの世界では回復ができるんだ。自由に体を回復するぞ。それでこの危機を逃げ切って、やはり俺が主役の働きを……ああっ」
坂で足を滑らせた釣り目の僧侶はそのまま谷底まで滑落していった。落下をするたびに体を打ち付ける痛み、刺さった矢が肉体深くにめり込む感触、全てが彼を絶望に叩き落とした。
陽光すら届かない谷底で、体を横たえた釣り目の僧侶はまだかろうじて意識を保っていたが、それは今にもきえさりそうであった。独り呟く。
「回復……」
追っ手の声も聞こえない。谷底に住まう虫のわななきが耳障りなだけであった。
「誰か……助けて……この世界から」
暗闇の中、釣り目の僧侶の前に一人の人物が現れた。
「神さま……」
その人物、色黒伝道師は探究心豊かであったから、語りかけたのだ。そして、死に行く者の言葉を受け取った。
「なるほど、お前は別の世界からどうしてかこの世界へ来たというのだね。私は信じるよ。死を前にした狂気の沙汰ではあるまい。この世にはそういうこともきっと、ある」
「……信じてくれて……ありがとう」
「この傷ではもう助からん。私が最期までつきあおう」
「嫌だ……死にたく無い……主役でなくてもいいから……生きたい…………もう一度……」
「そうかね……よし、こうしよう。私はがいこつ製造の技術がある。お前が死んだら、屍体を立派ながいこつに仕立ててやろう」
驚愕した表情を浮かべた釣り目に、心安んじられたし、との慈悲心から、色黒伝道師は優しく語る。
「転生……した……い」
「これはまた不思議な言葉だ。転生か。生まれ変わるという事だな。ある意味で転生とも言える。正直、死んだ肉体から抜け出た魂、と言われるものがあるのかどうかも、あったとしてそれがどこへ行くかもわからん。だが、骨は残るのだ。それはお前が生きた証だ。無論、お前の言うこの世界で、という前提も付いている。どうだ、救いがあるぞ」
もはや言葉も出ず、血のあぶくに溺れる釣り目の命は、永遠に沈み消え行こうとしている。
「大丈夫、通りがかりだが、私の技術は間違いないと自負するところだ。お前の魂が去った後の肉体のことは、安心して任せろ。それでは安らかにな……」
都市エローエを率いる東洋人がこの時期の人間世界を代表するとすれば、人間世界は内乱の終結に成功したと言える。対する怪物世界を代表する領域リザーディアの魔王には、同様に混乱を収束させる責務があった。
交易都市の旅団の解散を知った魔王曰く、
「やはり東洋人めはやるな。大したものだ。我輩らが未來都市に遅れをとるようなことがあれば、都市エローエから仁義なき挑戦があるやもしれん。この戦い、これまで以上に負けられんぞ」
魔少女、異形、神官ら三重臣一同、凛々しく頷いて曰く、
「未來都市の軍勢が交易都市に対して凄まじい略奪行為を行った事が分かっています。この事実を、領域リザーディア内の諸都市に伝えています。無論、人間の口を通して」
「敵の軍勢にはかなりの数の怪物衆が参加しています。これを切り崩して見せましょう」
「勇者の残党どもがいなくなれば、怪物世界もついに統一を得ます。それも人間世界を従えるおまけつきで。この世に魔界が現出する事、疑いなしです」
魔王は笑顔で頷いて曰く、
「なるほど、それが世にも聞こえた魔界というものか」
そこにスコップが地面を掘り上げた、モグラの連絡兵が顔を出した。その輩は息を切らして曰く、
「未來都市の軍勢が独眼マッチョのコロニーに近づいています!数はともかく勢いが速く、すでに先発部隊は数里の距離まで到達しているかもしません!」
魔王は立ち上がり、威勢よく気合を入れた。
「さあ行こう!我輩が前線に立つことで、この戦いの勝利は容易になる!これは決まりきったような言葉だが、この度は事実勝利にこれが欠かせない。そして我輩は常に前線に身を置いてきた。つまりは勝利は約束されている!激動を条件にしてな。目標は敵首脳陣の撃破だ」




