第95話 紛訌の世界
釣り目の僧侶に率いられた交易都市の旅団が都市エローエへ向けて進軍を開始をし、魔王の領域リザーディアを通過する時がやってきた。本来はかつての山を越えた先の帝国領だが、魔王の攻勢によって帝国がガタガタになっている以上、安全のためにも交渉を持つ必要があった。この時は、魔王よりこの方面を任されている独眼マッチョが対応する。
「都市エローエを攻める人間の兵士たちが安全な通過を求めているって?」
「どちらかというと、通告です。偉そうな連中ですな」
「今、ダメ、と突っぱねた時、俺たちの手勢で阻止できるかな」
「今、陛下からご指示があった平定作戦と同時並行でこなすのは無理ですよ。主力は各地に展開していますし、この国は無駄に広いし」
「そんなら許可するか。俺たちに手を出したらただじゃおかん、という事と、あと伝えるべき内容はあったかな」
「人間相手の略奪には言及しない方がよいでしょう。連中が勝手にやる分には」
「やるかね?」
「やるでしょう。勇者黒髪が居ないんですから」
「そうだよなあ」
独眼マッチョと側近の怪物は爆笑しあった。
こうして交易都市の旅団は、領域リザーディアを進み始める。長き戦乱で実に荒廃した国だが、帝国の滅亡が決定的になるとともに、人間達も町や村に戻ってきた。彼らは僅かな財産を蓄えて居たが、交易都市の商売人達は、こんな彼ら相手にも実に阿漕な取引を行う。
「薬草が金貨80枚だと!十倍……」
「食料品もあまりに高すぎる。手が出ないい。なんとかなりませんか。家では飢えた家族が待っているのです」
「ああ……有り金全てをはたいて僅かな物資しか買えなかったよ。今日明日はともかく、来月からどうすれば……」
独眼マッチョが予想したような略奪行為はさほど無かったが、経済的な収奪は容赦無く行われた。こうして、食えない人々がまた発生するが、ここで狙ったように釣り目の僧侶が困窮した人々の前で演説を行う。それが精神の救済を助ける僧侶本来の役割とは全く異なった誘導になったのは、釣り目の僧侶の資質によるとしか言えないだろう。曰く、
「我々は都市エローエの自由と独立を取り戻すために帰国をしている。そう、都市エローエ、今や魔王の領域に対して唯一高貴な独立を維持する豊かな都市だ。怪物達と戦って勝利を続けてもいる。だが、独裁者によって政治が誤った方向へ進んでしまっている。あの独裁者は市民を脅迫して合法的にその権力を獲得した。故に、正義を正すためには、実力を持ってするしかないのである。帝国の諸君ら。亡国の民となることが決まってしまった迷えるそなたたち。私たちと歩むか。正義の確立に功績があれば、また新しい展望も開けてくるだろう」
帝国の貧しい民に、他に道は無かった。故郷に残って居ては魔王が怖かったし、戦乱は農地や住居といった生活の基盤である不動産を、徹底的に痛めつけていたからである。
「食う物も不足しているし、故郷もボロボロだ……やむを得ない、我ら台下に従います」
こうして難民の群れが釣り目の僧侶の配下となった。またまた難民の発生だが、後にこれを伝え知った魔王曰く、
「難民の発生防止に心を配った勇者黒髪との違いはどうだね」
と呆れ返った。
釣り目の選択した非常に非情な作戦は、兵力の増強にはなったのかもしれないが、三つの点で過ちがある、と魔少女は魔王に報告する。
「まず、兵力といっても、練度の低い難民のではものの役に立つかも怪しいということ。次いで難民が向かう先となる国は、略奪暴行を恐れて、政治的立場の違いも捨てて、まずは一致団結するだろうこと。さらに、道中、彼ら難民を食わせねばならない。きっと略奪暴行が多発し、釣り目の僧侶は無数の敵意を買います。どうやら、交易都市の旅団は相手にするほどではありませんね。我らには目もくれず、都市エローエへ向かうでしょう。やはり警戒するべきは……」
魔王も頷いた。
「この後に来る未來都市の軍団だな。あちらさんの敵は我輩らと決まっているからな」
異形が魔少女に尋ねる。
「このまま進むと人間世界、怪物世界それぞれが内乱を戦うことになる。それぞれの勝者同士が争うことになるのだろうな。我にとっての最後の敵は、都市の東洋人かな」
魔少女も戦いの後の事に思考を進めていたが、
「東洋人が勝利すると予測して、都市と領域リザーディアが敵対するかどうかはまだ分からないわね。彼が閣下と交渉をまとめるために来た時の感じだと……」
「聞けば、なかなかの種馬男らしいな。どうかね、奴を屈服させ、そなたの下僕にしては」
あの時、東洋人の男ぶりの見事さに僅かながら動揺した事を異形に見抜かれていた魔少女はその事を恥ずかしく感じ、顔を紅くしつつ冗談を飛ばした異形を睨みつけ、追い払った。あの時、東洋人に話しかけられた感触だと、彼となら何らかの妥協は成り立ちうる、とも感じていた魔少女であった。
その後、未來都市の軍団が、交易都市を陥落させたという知らせが、独眼マッチョのコロニーを目指し旧帝国領付近を進むと魔王の下に届いた。一方、この知らせは、釣り目の僧侶の元へは届かなかった。
都市エローエへ交易都市の旅団の進軍が既に伝わっていた事を情報網から得ていた魔少女は、きっと臨戦態勢が整えられているはず、と予測していた。だが、東洋人は誰もが考えていなかった道を選んでいた。それは非情な手段であり、彼が異邦人であるからこそ、とれたものかもしれなかった。
魔少女によるギルド強制加入の指示により、都市エローエには数多くの戦士や冒険者達が避難しており、魔王との布告決闘に臨む覚悟を決めていた。だが、急に起こった戦雲に、彼らは動揺した。
「なんてこった。この後に及んで人間同士で争うのか。釣り目の僧侶は何を考えているのかな」
「治安が良い町で、魔王の命令に従わなくてよいからここに来たっていうのに。どうする」
「だがよ、この内乱に加わって立身を目指すという手もあるぞ。東洋人殿だって、そうやってのし上がったんだぜ」
戦士達による不穏な空気が都市に広がり始めていた。そして、人間の感情の変化には敏感な釣り目の僧侶の事、工作員を送り込んでくるに違いない、と東洋人は判断していたし、事実、釣り目の僧侶の手の者は送り込まれていた。
東洋人は自分の邸宅を持っているが、帰ってこない時は、大体女達の家で過ごしていた。この時、噂された東洋人の愛人の数は、なんと十五人。
「マメでなければあんな事は出来ないだろう。狙ってやっているとは思えない。だって頭も疲れるし体力ももたないだろう?」
市井の噂には注意を怠らない東洋人も、こんな評価は無視して捨てていた。その日、東洋人は戦争未亡人の家で安寧な夜を過ごしていた。翼軍人の愛人であり、その死後東洋人に保護された女とはまた異なる女だ。未亡人が尋ねる。
「この嵐は朝まで続きそう。ただでさえ町の気配がピリピリしているのに、怖いわ」
「今は荒くれが集まって来ているからね」
「でも、統領閣下さまは既に手をうっておいでなのでしょう?」
「はは、俺は市民に委託された身。異国人だしね。手を打ったとしたらそれは市民の意だよ」
「訳のわからない争いが避けられる事を祈っているわ。戦争はもうコリゴリよ」
「貴女の御主人は立派な戦士だったね。私はそれほど立派ではないから、きっと長生きするよ」
「お願い、死なないで。私をもう独りにしないで」
東洋人がこんなメロドラマを演じている間に、彼の配下の傭兵隊が動き出していた。それを率いる司令塔は鉄仮面、その下に槍使い、二刀流の隊長達。特に訓練され、実戦で勝利を続けている彼らは、士気でも技術でも、そして戦術でも圧倒的な優位にあった。嵐が収まり雨が上がると、戦士達が市庁舎前に集まりつつあった。釣り目の僧侶の計画では、この戦士達が都市内部で騒動を起こし混乱に包まれた都市へ、自分が秩序の回復者として帰還する、というものだった。だが、相手は知略に長けた東洋人であった。全てが順調に進んでいたと考えていた釣り目の僧侶だが、その挑戦を受ける立場の東洋人も同様に考え、行動していたのだ。その結果はどうなったか。
凄惨な殺戮となった。扇動と情報操作により広場へ集められた戦士群へ、すでに攻撃準備を整えていた傭兵隊による容赦ない攻撃が加えられた。巧みに配置された弓隊の攻撃後、騎馬隊が突入し、最後に出て来た歩兵隊が戦士達の抵抗を許す間も無く、全てをなぎ倒した。広場の敷石は血に塗れた。
だが、相手は歴戦の戦士や冒険者たち。自由ギルドを結成して成功を掴む者達もいるのだ。ただの難民が殺されるのとは違う、と考えるところだが、単純な結果だけなら難民の惨めな死となんら同じだった。指揮官も無く、作戦も無く、扇動者の拙い根回しで集まっていた烏合の衆では、例え戦闘のプロフェッショナルでも、戦争を生き抜けるはずもなかったのだ。鉄仮面の司令官は戦闘後、血糊も拭わずに復命した槍使いに語った。
「愛国心や忠誠心の拠り所を持たぬ敵の始末は容易だったのではないかね?」
この処置に対する市民達の意見は概ね、沈黙、となった。
「……」
「凄い死体の数だ。彼らを埋葬するため、新たな墓地を都市の西に建設するそうだ」
「さすが怪物をも寄せ付けない東洋人、と言いたいところだが、これは不意打ちの虐殺でしかないんじゃないか」
無論、肯定的な意見もある。
「あの余所者どものせいで、都市は窮屈、汚され物価はうなぎのぼりだった。それが静まる。さすがは東洋人だ」
「これで町の運営が落ち着いてくれるのは助かる」
「戦士達の遺品は競売に掛けられるそうだぞ、儲けのチャンスだ!」
意見が割れているとはいえ、嫌悪を示す意見もある中、東洋人は市民達に考える隙を与えるつもりはなかった。頃合いを見、未亡人の家を出て部下達の報告を受けたのち、直ちに出陣したのである。
「もう出撃の準備を終えている。東洋人の動きはなんという速さか!」
「向かう先は交易都市の旅団だというぞ」
「黒髪がした事だとはいえ、交易都市は同じ同胞だろう……きっと降伏させるに違いないよ」
交易都市の旅団が領域リザーディア旧帝国領を越えて旧河むこうの王国領へ、すなわち穏健都市の領域に入った時に、東洋人部隊の先発隊による攻撃が加えられた。短時間の矢の応酬と騎兵戦があっただけで、戦いは長引かなかった。
だが、次の日も同じ攻撃が加えられ、その次の日も攻撃があった。イラつく交易都市の旅団が警戒を強めて、進軍速度が遅くなるうちに、東洋人の本隊が打ち捨てられた丘の上の塔に陣取っている、という情報が入った。
「相手の陣取りは我々にとっては不利だが、数で優っているではないか。総攻撃をかけて踏み潰すぞ」
これは釣り目の僧侶だけでなく、ここまでほぼ無傷で進軍してきた交易都市の兵士たちに共通する意見であったから、総攻撃も戦略を欠き、無闇、士気に頼るものとなった。総攻撃によって丘の上の陣地は落ちなかったが、東洋人の本隊は撤退した。これに喜んだ交易都市の面々は、この初戦を大勝利と位置づけ、進軍速度を大いに早めた。
その途中、交易都市の旅団は怪物の群れと遭遇する。双方予想せずおどろきとまどい、特に旅団は士気が高まっていたので問答無用で衝突が発生する危険もあったが、それを恐れた釣り目の僧侶の必死の指揮統率によって、戦いは避けられた。だが、せっかくの勢いは挫かれた。
士気が特に高まった敵を誘い込み打ち倒す作戦を敷いていた東洋人にとっても、思わぬ足踏みとなったが、この状況を活かせないか、頭を巡らせるとやはり名案が浮かぶ。傭兵なのに、もしかすると傭兵だからこそ戦いが全てではないという発想を持ち得たのかもしれない。
また襲撃と離脱の応酬が始まるが、怪物の群れを警戒する交易都市勢はなかなか士気が上がらない。指揮する釣り目の僧侶の戦略眼にも問題がある事を証明しているが、それが原因で先手が取れない以上、その進軍ルートも東洋人部隊の出現を避けえる可能性の高い側へ傾いて行った。これは、東洋人の手の内に収まった事を意味するが、釣り目の僧侶は気がついていない、
戦場は小高い丘に囲まれた窪地のような場所に旅団が差し掛かった時に、激変した。この場所へ敵を誘導していた東洋人は敵を囲むように一斉に味方を出現させたのである。そこに槍使いと二刀流が率いる部隊が突入する。小競り合いではともかく、合戦では優勢を得ていないため、ここで優位に立とうとした東洋人の確信を得た攻撃であった。
槍使いも二刀流も、前線で刀を振るって指揮する事を厭わない武将であるし、確かな腕を持っていたからその練度で敵を圧倒する。送り込むたびに数を減らしてしまう味方の不甲斐なさに、慎重な釣り目の僧侶は後背の難民の群れを突入させようとするが、勝てぬとわかっている戦いに挑む事を、彼らは嫌がった。難民を兵力として連れて行った彼の計算は、ここぞという場で裏切られた事になる。さらに窪地の背後に回った鉄仮面の部隊が方位を完成させると、俄かに戦場は静かになった。
一斉攻撃を恐れて息を飲む交易都市側に比べて、東洋人部隊は命令を待っているようである。だが、命令は無い。丘の上に組まれた台に姿を現した東洋人は大声を張り上げて、釣り目の僧侶を呼び出したのである。
「責任者よ姿をみせるのだ!内乱の責任者に呼びかけているのだ!」
当然、前に出る事をためらった釣り目の僧侶だが、兵士たちが自分を見つめる視線に耐えきれず、止む無く前線に姿を見せる。ただし、いつでも行動できるように馬上で。その釣り目の僧侶に、東洋人は語りかける。
「人類世界が危険な今、なぜ、このような相食むが如き挙に及んだのか。」
おずおずと口を開いた釣り目の僧侶曰く、
「それは……市民を独裁の汚辱から救うためである。都市エローエは独裁者の町であっては……」
「都市には議会もある。あなたはその席も持つ。なにより聖職にある身で影響力も大きい。正当な手続きをもってすればよかったではないか。なにも戦争に訴える必要はないではないか」
言い訳を始める釣り目の僧侶に、東洋人は、これを許さず追撃の論を張る。
「怪物の群れと遭遇した時、これと談合して我々の追撃を優先したと聞いている。人間世界の聖職者が、怪物と談合し、祖国の同胞を付け狙うとはどういうことか」
「それは必要に迫られた冷徹な戦略の一環であり……」
みなまで言わさず、東洋人は釣り目の背後の旅団参加者へ話しかける。
「進んでこの遠征に参加した交易都市市民諸君よ。今、攻撃の号令をすれば、おもに諸君らの流血をもって戦いの全ては決するだろう。だが、そなたらの指導者である台下のお身柄を都市エローエへお任せ頂ければ、それは回避される。私はそれだけで、帰還することができるからで、つまりは諸君らも母国に帰る事が叶うというわけだ。事業の成功はならずとも、豊かな自国へ無事に帰れるのだ。悪い話ではあるまい!」
顔を見合わせる旅団参加者たち。彼らは兵士である前に事業者でもある。故にここでの敗北を認め、方針を転換するのも速かった。
「こりゃ、失敗だな。釣り目の僧侶もなさけない奴!」
「ああ、こんな奴の口車に乗った我らも大したもんだぜ」
「出費に見合った収入が得られないのであれば、もうここいらでやめようか」
こうして交易都市の旅団は降伏、解散となった。東洋人は一切の罰則を貸さなかった。まだ、自国が未來都市の軍勢によって陥落してしまっていることを彼らは知らない。このしばらく後に知る事になるが、この東洋人の温情は、この時に生きる事となる。
そして、ここで釣り目の僧侶に温情をかけたり温存をしたりする必要を全く感じていなかったらしい東洋人は、実に残酷なことを彼に強いるのだ。
去っていく旅団参加者を引き止めようとも、その言葉すら見つからず、絶望的な表情を浮かべる彼に、東洋人は近づいていく。そして語りかける。
「台下、交易都市の果敢なアントレプレナーズは去りました。閣下の手に残ったのは、閣下が不用意に連れてきた難民たちだけです」
狼狽しながら、釣り目の僧侶は反論する。
「……都市エローエに集った対魔王の戦士たちがまだいる。そう、そうだ!彼らがきっと今頃、都市エローエをおさえているはず!」
馬上から首を振り、釣り目を冷たく見据える東洋人。
「彼らはみな去りましたよ、この世から。あなたが送り込んだ代理人とともに」
「……」
「……」
沈黙が続く。陰謀と扇動で将来を切り開いてきた、釣り目の僧侶にとっては、最大の危機である。危機にあって、人は盛んに打開策を脳内の引き出しから探し当てようとするものだ。
「台下、ご存知ですか。かつて貴方の仲間であった者についてですが」
「なんのことか」
「台下に従ってグロッソ洞窟を探検していた移民の戦士について、私は話しています。もう覚えていない?怪物の手で斃れた彼の身ぐるみを剥いで、死体を捨てるくらいだから、覚えていないのでしょうが」
それは三つ編みの武闘家の事だ、と釣り目の僧侶は思い出した。
「なんだというのかね。まさか、彼が君の家族であった、とでも……それで私を恨んでいるとでも……」
首を振る東洋人。
「いいえ、それほど関わりのない男です。都市エローエに流れてきたばかりの私に若干の世話をしてくれたぐらいです。酒屋で話を聞いてくれたのは彼だった。親しかったわけではない。しかしですな、同じ移民として、傭兵として彼の無念を思えば、今、ここで台下とこうしているのも運命だと思うのです」
「移民にも色々います。祖国に追われた者、祖国を自ら捨てた者、祖国を無くした者……きっと私と同じ領域領域から来た彼の鎮魂を願います」
釣り目の僧侶に課せられたのは、難民たちを彼らの祖国へ連れ戻す事、であった。それをせずに都市エローエの領域に足を踏み込めば、極刑に処す、と宣告した。
「そのようなこと……できるわけが」
「国を亡くした者たちをいい加減な話でここまで連れて来たその責任を、台下はお取りにならねばなりません……かつて台下の仲間でであった勇者黒髪は、現在彼に向けられている批判とは別に、自分の起こした戦争の結果で流れ出た怪物に対して、それを行い、見事にやり遂げました。勇者黒髪の道徳性を批判する台下であれば、当然彼の到達した美徳を上回る姿勢を我らに見せてくれるものと確信していますぞ」
その言葉とともに、鉄仮面、槍使い、二刀流の戦士が左右に兵を展開させた。都市エローエへ至る道を塞がせたのだ。
正面は塞がれた。それにここで討ち死には出来ない。しかし、と釣り目の僧侶は後ろを振り返る。そこには不安な表情を浮かべ自分を見つめる無数の民がいる。
もはや自分に残された道は一つしかない、と覚悟を決めるしかない釣り目の僧侶であった。




