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ロリっ娘女子高生の性癖は直せるのか  作者: きり抹茶
第1章 幼馴染姉妹の暴走は止まらないのか
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1-3 「もしかしてコイツ……!」

 昼休み。午前中の授業をほとんど居眠りで過ごした俺だが、正直まだ眠い。

 大きな欠伸を一つ拵え(こしら)、自分の机をいつものポジションへと移動させる。


「うわぁ宮ケ谷……。お前っていつも眠そうにしてるよな」

「ん? まぁな」


 机を向かい合わせにくっ付けた相手、平沼海人が溜息混じりに言う。


「堂庭ちゃんは何でこんな宮ケ谷に惹かれたんだろなあ。もっとお似合いの相手がいるだろうに」

「だから俺と堂庭はただの友達だって言ってるだろ?」


 平沼とは去年からクラスが一緒になり、仲良くなったのだがこいつはいつも俺と堂庭の関係をネタにしてからかってくるのだ。


「またそんな事言っちゃってー。だったら俺が堂庭ちゃんを口説いて寝取ってもいいかい?」

「言葉が如何わしいぞ。ってかお前じゃ堂庭は絶対に口説けねぇだろ」

「お? 正妻の余裕ならぬ正夫の余裕ですかな?」

「……そこの窓を開けて飛び降りてこい。大体、愛川さんに振られた奴が大口を叩いてるんじゃねえよ」

「な! そのネタでイジるのはもうやめてくれ。あれはマジで辛かったんだからな……」


 参りましたと右手を挙げて降参する平沼。

 実はこいつ、隣のクラスの愛川(あいかわ)理沙(りさ)という女の子に先日告白していたのだ。

 結論から言えばボロ負け。愛川さんはとても美人で心優しく学校内でも有名な存在なのだが、平沼が彼女へ告白した際、こう断られたらしい。


 汚らわしい。


 いやぁこれはダメージきますわぁ。あの柔和な笑顔が評判の愛川さんが冷め切った目をしていたというのだから、平沼の印象はドン底に落ちたに違いない。

 基本へらへらとしている彼も愛川さんに振られてから数日は別人かと思うほどに顔の色が失われていた。


 以後、俺はこの話を持ち出す事で平沼の厄介な口を封じる事ができているのだが、いつまで効き目があるのかは分からない。

 まあ平沼の性格のことだ。またすぐに武勇伝を持ってきてくれるだろう。


 それから俺は平沼とくだらない雑談を続けて昼休みを終えた。




 放課後。


「晴流ー。帰るわよー」


 帰りのホームルームが終わり、ざわざわと賑やかになる教室の中、堂庭がこちらへ駆け寄ってくる。


 堂庭と二人で帰るのは日常だ。そして……


「ヒューヒュー! お二人さん、お熱いですねぇ!」


 平沼がいちいちうるさいのも日常だ。


「…………殴るわよ」


 堂庭が平沼に対して態度が冷たいのもまた日常である。


「平沼よ、お前はいい加減自重というのを覚えるべきだな。というか堂庭はもう帰れるのか? 仕事はもう終わった?」

「それなら問題ないわ。今日は頼まれ事は無かったし」


 堂庭はあっさりと質問に答える。

 俺が聞いた『仕事』とはクラスの仕事。

 そう、実は彼女はうちのクラスの学級委員長であったりするのだ。

 だが成績は平均的な俺より悪い上にリーダーシップもあるとは思えない。

 でも何故か堂庭は毎年委員長の役へ立候補してその勤めを果たしているのだ。

 気になった俺は以前彼女へ何故委員長に拘るのか聞いた事があった。

 その時、堂庭は何の躊躇いもなくこう即答したのだ。


「私のキャラを維持するためよ」


 ここで言うキャラとはクラスの注目を浴びる人気者という意味だろう。

 なるほど、これには納得できる。

 理由はどうであれ、堂庭は委員長として仕事を全うしているのだから文句も言えまい。


 しかも彼女のキャラ維持も重要だ。

 奴は学校では見せない裏の顔も持っているからな……。

 想像するだけで身の毛も弥立つ彼女のロリコン属性……。




「なんかお前やけに機嫌がいいな。なんか良い事あったか?」

「えへへ? そう見える? デュフフ」


 学校最寄の駅から横浜駅で横須賀線に乗り換えて鎌倉駅へ。

 電車から降りると堂庭は終始ニヤニヤしていて何やら嬉しそうだ。

 怪しい。気持ち悪い程のニヤケ具合だ。

 良い予感がしない。俺は堂庭に対して少し警戒しながら歩くことにした。


 そして約五分後。俺の予想は見事的中することとなる。


「もしかしてコイツ……!」


 行く先には保育園がある。

 そして近づく毎に大きくなる園児達の賑やかな声。

 この時間だと間違いない。

 そう……(どうにわ)は今が園児達のお迎えのタイミングだとわかっていたのだ!

 しかし俺が気付くのが遅かった。

 既に保育園は目の前。道端には多くの園児達とその保護者が集まっている。


 ロリコンの堂庭にとってお迎えの時間は園児達を間近に、そしてごく自然に見ることが出来る絶好のチャンスともいえよう。

 そんな分かりやすい彼女の思考を見抜けなかったとは……。俺もまだまだだな。


「堂庭、お前には刺激が強すぎる。道を変えよう」


 と言ってみたものの、無駄な気がした。

 堂庭は既に興奮モードへ移行しており、顔はニヤニヤ。実に気持ち悪い。


「うっひょおぉぉぉ! マイちゃんだぁ! 今日も可愛いなぁグヘヘ」


 何故名前を知ってる!?

 この保育園には堂庭の知り合いがいるのだろうか。

 ……ってそんな事を考えている暇は無い!

 すぐにでもこの場から遠ざけないと……。


「いいからこっちこい!」


 か弱い園児達を舐め回すように見つめる堂庭の腕を掴み、来た道へ戻るべく引っ張った。だが彼女はまるで石像のようにその場から動かない。

 小柄な体型をしてるくせにいくら引っ張っても微動だにしない。そう、堂庭が暴走モードへ移行すると彼女はとんでもない力を発揮するのだ!

 ってかマジで動かないんですけど。


「マイたそぉ〜。今日もふくらはぎがたまらんのぅ……ウヘヘ」


 俺の方には目もくれず数メートル先に集まる園児にロックオンしっ放しだ。それにしてもキモい。うん、気持ち悪い。

 それでも俺はめげずに引き上げるよう説得するが、一向に言うことを聞いてくれない。それ以前に話を聞いてすらいない。

 しばらく堂庭の暴走が続く。すると園児の周りにいる母親と思わしき女性達がこちらの様子に気付いた。

 ちらっと俺達を見て何かヒソヒソと囁き合っている。これはマズイ。絶対に変な人だと思われたはずだ。


「おま、離れろ! 周り見てるから!」

「キャー! ユリカたん大好きぃ」


 マイちゃんはどうした!?

 って違う違う。とりあえずここから離れてくれ。

 周りのママさん達の目が怖いから。


 このまま時間が経っていけば事案として通報されかねなくなってしまうので、俺は奴の興奮を一撃で抑える事にした。


「言うことを聞け!」

「ふぎゃあ!?」


 空いていた左手で彼女の頭をチョップ。

 堂庭の暴走モードはこれで止めることができるのだ。


「なっ!あ、あたしってばまた……!」

「とりあえず移動するぞ」

「う、うん……」


 母親達の冷たい視線を感じつつ、俺達はその場を後にした。

数ある作品の中から当小説をお読みくださり、誠に有難うございます。

お時間に余裕がございましたら評価・感想をつけてくださると幸いです。

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