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二百年の引き籠もり、そして伝説へ!  作者: イグナイテッド
第一章
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第十二話 遥か昔な夢、そして〇〇狩り? 終

「はい、リムは私がちゃんと説教していました!」


 戻ってすぐ、リノはさも自分の手柄な風に自慢げで言ってきた。


「……いや、お前は戦いに手伝えよ」


 思わずリノにツッコミを入れたが、よく考えたらこの程度の敵ならリノの出番はなさそうだ。


「ご主人、ごめんなさい……ちょっと油断した、です」


「油断くらいリノがフォローするから平気だろ。だから、元気出せ」


「あぅ~」


 謝ってくるリムの頭を撫でながら宥めると、彼女は気持ち良さそうな声を出している。


 さっきの言葉でツ星されたのか、リノは頬が赤くし、顔を逸らした。こういう時の彼女は割と可愛く感じる。


「あの、それでワームたちは――」


 ドォオオー!

 リムの言葉を遮り、また砂塵が起こし、何かが砂から飛び出した。


 ワームの次は長さ十メートル超えの土色サメのようだ。頭先にある長い角でこちらを突き刺そうとする。


「また面倒な――」


「あら、これはデゼール大砂漠の特産の一つ、砂サメではありませんか。凶暴な習性からはとても考えられない美味しいさを持つ食材、かなりレアな珍味魔物ですよ」


 自分の言葉も遮られ、リノは砂サメについて解説してくれた。


「よし、捕まえよう!」


 美食の前では抗えないアスルだった。


 飛び込んできた砂サメはいきなり空中に止まり、見えない円錐型な空間障壁によって口から串挿された。登場してからまだ数秒しか経っていないにも関わらず、空中で挿し殺された砂サメは実に哀れである。


「さーて、強化した気配探知で巣の場所も分かったところで、ワームの回収が終わったら狩り尽くすぞ!」


 邪悪な笑みを浮かびながら物騒なことを言い出した。


「……やっぱり回収する、です」


 虫に苦手なため、リムはいままで回収しなかった。しかし、主人は回収気満々みたいで、仕方なく自分も渋々とワームたちの死体をストレージに詰み始めた。


 逆にアスルは乱暴にワームたちの死体をストレージへポイポイと投げ込み、終えたあとはいよいよ砂サメの巣へ向かう。


「さあ、狩りの始まりだ!」


「うふふ、砂サメをどう料理しましょうか。楽しみですね」


 今までにないほど気持ちが昂ぶり、リノはもう調理法について考え始めた。


 すっかり本来の目的を忘れていた。


「もうっ、早くレイクシスへ向かうべき、です!」


 しかし、リムの願いが虚しく、それからは延々と砂サメ狩りに付き合わされ続けていた。


 この日を境に、デゼール大砂漠の砂サメの数が激減し、やがてレイクシスでのレア食材としてどんどん株が上がっていくが、それはまた別の話。



                *



 日が完全に暮れるギリギリ、アスルたちはなんとかレイクシスの近くにたどり着いた。


「いや~、まさかこんな時間になるとは思わなかったな、ははは!」


「仕方ありませんよ、狩りがあんなに楽しいなんて思ってませんから!」


「だよな!」


「はい、うふふ!」


「もうっ、二人ども全然反省してない、です!」


 まったく反省の色がない二人にすかさずリムが窘める姿は、いつもの立場とは逆転していた。


 バカな話をしながら、やがてレイクシスの北東門に到達した。


 外周はベージュな城壁に守られ、上空には都市ごとを覆う結界らしき膜が内側にある。


 もうすぐ門を閉じる時間なのか、この砂漠と似た白い分厚い門は人一人通れる隙間しか開いていない。


「皆さん、入城ですね。もしギルドカードなどの身分を証明できる物がお持ちでしたら提示してください。ないでしたら隣の役所で臨時な物を作ってください」


 さらに近付くと、褐色肌な門衛がそう丁寧に言ってきた。


 了解の意としてアスルたちは軽く頷いて、それぞれのストレージからカードを渡した。


 門番はそれらを受け取り、名前、職業、そしてカード機能の一つである犯罪履歴をチェックして、問題がないだと確認したのち、返してくれた。


 ステータスなどの類は本人でなければ呼び出せないので、プライバシー保護は万全である。リノのステータスはともかく、自分とリムのでは大騒ぎになるだろう。


「ようこそ、首都レイクシスへ、初めての観光ですか?」


 悪い人でないことが分かったすぐ、彼は歓迎してくれた。この機に、いろいろと訊いてみたいとおもっている。


「ああ、丁度お腹も空いているので、観光名所と一緒にどこかいい店も紹介してくれると助かる」


 こういった話が大好きなのか、若干興奮しながら門衛は詳しく話してくれる。


「分かりました。まずは観光名所でしたらやっぱり一番は我が国が誇る巨樹<ペルグランデ>ですね。他の名所はブロックことにいろいろと種類が分かれているため、道端に設置されている地図でお好みの場所を選んだ方がいいと思います。食事は門を抜けたあと、左側にある小橋から二十六番ブロックに向かってください。そこのラーメン屋<ドンミャン>がお薦めです。あっ、宿も丁度隣の二十五番ブロックにたくさんありますので、よかったらそちらもご利用ください……」


 門衛をしているだけはあって、かなりのことを聞けた。しかし情報の中に一つだけ分からないものがあった。


「もう一つ聞いていいか? ブロックでのはいったい何なんだ?」


「あぁ、そう言えば初めて来たでしたね……それは国に入ったからの楽しみでことで」


 微笑みながら門衛はそう答えてくれたが、結局は何も分からなかった。どの道彼の言葉通りなら入れば分かることで特に問題はない。


「そうか。いろいろと教えてくれてありがとうな」


「いえいえ、どういたしまして。皆さんが楽しい観光になることをお祈りしております」


 そして、門衛と別れて門をくぐる。


 門の内側から流れてくる涼しい空気を求めるように中に入ると、凄まじい巨大さを持つ樹が目に映った。

次回は土曜です。

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