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二百年の引き籠もり、そして伝説へ!  作者: イグナイテッド
プロローグ
1/49

第一話 逃走、そして世界の終焉

初めまして、外国の人です。

前作から勉強して、作品らしいものをなんとかできました。

書き進みに連れて、文章もさらによくなると思います(20話辺り)。


宜しければ読んでください。

長編です。

 果が見えない大海の中、狂乱な嵐で海は荒れ、稲妻が轟音と共に海上に落とす。


 荒れる海域はそれらのみに止どまず、更には季節無視した雪が降られ、一部の海上が凍てつく。


 また、規則の分からない海流が流れ、時に巨大の渦となり、時に空に昇る竜巻となり、異常な気候現象は近づくあらゆる存在を拒んている。


 異常たちは円を描くように、途轍もない巨大なこの海域を囲み、世界から隔絶する。


 気候を超え、その先にあるのは白い、真っ白な霧だった。どこまでも白く、濃厚で、濃密で、感覚のすべてを遮り、台風みたいに渦巻き、中心にある何かを守護している。


 彼の世界<エリュウシテ>に住む人々は、その神聖なる霧の中には神が創れし聖地と思っている。


 霧を抜けた先には平穏で、平和な風景が広がり、神々の聖地と言われている場所。そこに生活する人たちはこの地を<ヴェシテ大陸>と呼ぶ。


 穏やかな空と海があり、風と共に小鳥たちは意のままに舞い踊る。自然は豊で、人々は幸せな顔で日々を過ごしている。まさに理想郷のような場所である。


 しかし、


 その素晴らしい理想郷は終わりを迎えようとする。



 深夜。

 本来ならば人々にとって一日の疲労を癒すための静かな時間だが、数日前からある人が流れた世界を滅ぼすというバカげた知らせに、人類は大急ぎで兵力を集結し、その張本人がいる場所に進攻を始めた。


 今日も計画を阻止すべく誰もが眠らず、祈っている。


 それは、世界を救い願いからか、あるいは世界の滅びを望むからかは知れない。



 科学の国<アーカデア>


 この隔絶された世界で最高峰の科学技術を有する国と、同時に世界の平和を維持する組織<ヴレーデゥ>の本拠地でもある場所。


 その西南方にはある丘が存在し、そこでヴレーデゥの全戦力と各国の軍が丘の上にある大きな屋敷の主人と戦争している。


 爆音、銃声、硝煙、悲鳴、怒鳴る声、血飛沫が混じる中、黒の軍勢は丘を隙間なく包囲しつつ、その頂上へ進軍している。


 一見して、黒一面な連合軍が圧倒的有利はずだが、実は開戦から既に数時間が過ぎ、尚も屋敷の敷地内ですら侵入出来ずにいる。


 原因は屋敷から無数の白い自律ロボットが湧き出て、面攻撃をしても屋敷の対空兵器と見たことない透明なバリアに阻止された。


 また、地面では人間に対してでしか作動しない罠が張られ、どこかを突破できたら罠に遭い、再びロボットの大群に押し戻されて、幾度もその繰り返すであった。


 何故屋敷こと破壊する攻撃を仕掛けないのか、一重にそこの主人にはまだ利用価値があるから。彼の持つ知識と技術はどれも現在のあらゆる技術水準を上回り、この国が持つ科学産物の大部分もそのほんの一部から生み出されたとも言われている。


 ゆえに連合軍はこうして兵力を集め包囲網を組み、屋敷へ向かって侵入を試みる。例えロボットの大群に邪魔され、罠にハメられでも諦めず、何としてでも彼を生け捕りし、これからも国の発展に利用する必要がある。



 黒い、真っ黒な屋敷の中、同じく白い自律ロボットたちの目だけ淡々と輝き、屋内を照らしている。ひとたび侵入されればロボットたちはすぐに反撃するであろう。


 地下に通じている廊下に、研究者の装いをしている猫背な老人が右手で握ている一本の杖を使い、体を支えながらゆっくりと歩いている。外の騒ぎに一ミリも動じず、揺るぎのない青い瞳はただ目的地でしか向けていない。


 長らく歩いて、ようやく地下最奥の部屋に到達した。扉前で数度の深呼吸を繰り返したあと、左手で扉を開き、中に入った。


 中を一言で表すなら、機械仕掛けの部屋だった。


 四方の壁に、殆どがモニターで嵌め尽くしており、それらの手前の壁際にはコンソールがあり、周りでは用途の知れない機械が幾つ転がっている。


 中央辺りに幾つの円筒形機械柱が存在し、ガラス越しに見えたのはすべて同じ姿をしていた女性の体が浮かんている。更に真ん中にはまた一際大きな機械柱が複雑の紋様の輝きを浮かびながら佇んでいる。


 真ん中の機械柱は部屋中の機械に多数のケーブルで繋ぎ、それらを経由することで何かの作業をしている様子。


 各種の画面と機械たちを通り、老人は中央手前に止まり、


「進み具合はどうだ」


 重みのある声で機械柱に問いた。この歳になっても若者の言葉使いをしているのは長年研究をしてたことによる弊害である。


『全て順調です、あと数分で全作業が終わりますよ、マスター』


 柱からどこか機械的な女性の声が発した。


 彼女は老人がまだ若い頃に作り出した人工知能AI<リノ>、今は世界を滅ぼすための最終作業をしてくれている。もっともそれは老人が流した情報でしかなく、真の目的は別にある。


「そっか、これでいよいよ世界を変えるな」


『はい、これでマスターの願いも叶えますね』


 作業の進捗を満足そうに笑ってるところ、今度はリノから話しかけてくる。


『それにしても連合軍は頑張りますね。もう何度も向こうの策を破っていたのにまだ諦めませんなんで』


 どうやら彼女は作業中にも関わらず外の戦況に目を向け、自律ロボたちの行動を動かしたようだ。


「ここに世界の全戦力を集まることが目的だからな。頑張ってここに辿り着け、俺を捕まえて、運送するなどすべての時間を囮にしてこそ、計画は成功する。尽きかけてる命でも、簡単にはくれないな」


 不敵な笑いをしながら答えた途端、リノは気落ちするように数度柱の輝きを点滅した。


『やっぱり逃げませんか、マスター?』


「まあな、逃げでもこんな体たらくじゃここから先にある世界には冒険出来ないから」


 ファンタジーみたいな世界で冒険するのが老人の夢だが、ほとんどの人生を研究に注ぎ込んだせいで、命の終わりが近いことに感じ取ったのですでにその夢を諦めた。


 ちょっと沈んだ空気になったため、リノは別の話題に切り替える。


『そう言えば日付はさっき変わりましたね。誕生日おめでとうございます、マスター!』


「ありがとう、リノ。お前も随分と人間らしくなった。生まれた時は他の機械と変わらないのに、こうして見ていると感慨深いものだ」


 もう老人の百歳の誕生日になるが、互いにそんなことを気にせず、ただ喜び合っている。


『これもマスターが私を人間のように接して下さったお陰です。でないと、きっと心なんで芽生えませんでした』


「と言っても俺はただ寂し紛れでお前と話をしただけで、むしろ何もしてやれないことを謝りたいくらいだ。身体も結局、完成できないままだ」


 周りは老人の技術目当ての大人しかないため、割と暇つぶし気分でリノとバカ話をしていたが、まさかそれで自我を持つことになるとは思っていなかった。


 以降も何かと手伝うされてるのに、未だその恩を返しきれていない。本来はリノに身体を死ぬ前の別れ土産として贈るつもりだが、それすら叶わなかった。


『それでも、私はマスターに感謝しています。誰になんと言われようが私に心をくれたのはマスターですから』


「本当、人間になったものだ。ははは」


 外の戦争をそっちのけで穏やかな時間を過ごしていると、リノの次の言葉でまた真剣な顔に戻した。


『マスター……すべての作業が終わりました。何時でも発射可能です』


「そうか……んじゃ始めるか、この時代に終焉を……俺にとっては改変だがな」


 とてもこれから世界を滅ぼすに見えない軽い調子でリノに近づき、光のコンソールが目の前の空中に浮かんだ。老人はそれに手を伸ばし、何かのコマンドを入力したあと、別の画面がポップアップし、そこにあるスイッチ図案を押した。


 数秒後、敷地内の花壇が左右に開き、中から七つの超大型ロケットミサイルが空に向けて発射した。その光景に侵攻している兵たちはしばし惚けていたが、すぐに指揮官たちの一喝によって引き戻された。


 謎のミサイル群は何なんのか分からないまま、侵攻が再開した。



 数刻後、連合軍たちの部隊はようやく自律ロボットたちや数々の罠を突破し、屋敷への侵入を果たした。


 バン! バン! バリン! バン! バリン! バリン! ……ダダダダダダダ!

 屋敷の扉やガラスが破られ、各方面から数え切れないの兵士たちが侵入してきた。明らかに侵入すべき人員がオーバーしている。余程外でロボットたちとの戦いに堪えたのか、充血した目で屋敷に踏み入れ、屋敷内での乱戦が始めた。


『くはははは、ついに侵入を果たしたぞ! 皆の者、ヤツを探せ! 決して逃がすな! 必ずあのクソ野郎に俺たちをコケにした罰を与えるのだ! この際もう世界なんてどうでもいい!! 見つけた次第生け取るの前にフルボッコしてやれ!!』


『『『『『『『『おおおおおおおおおーっ!!』』』』』』』


 怒り狂った部隊長の怒号に、兵たちはけたたましい声で応じて、屋敷中を震えていた。



「リノ、なにかした!?」


 地下で空中に浮かぶ光の監視モニターからその様子を見た老人は、老体とは思わない速さでリノに頭の向きを戻し、冷汗を大量に流しながら問いただした。


 老人が焦るのは彼こそが連合軍たちのターゲット、世界最高の頭脳を持ち、かつ世界を滅ぼす計画の張本人――アスル・バハドールその人である。だからこそ、人々は世界を滅ぼすというバカバカしいことにも本気で信じていた。


 さっきのミサイルが発射した後は大人しく連合軍に捕まえ、落ちるまでの時間を稼ぐ限りもらったら、静かに牢で命の終わりを待つつもりのだ。


 しかし、リノの謎なイタズラにアスルは悲惨な死を予感した。まったくをもって彼女のイタズラ好きには困ったものだ。


『ちょっと自律ロボットの行動パターンを変えただけです。おかしなことはしていませんよ』


 未だに冷汗を掻いているアスルに対して、リノが返したのはどこかイタズラぽい返事だった。


「ちょっとで俺がアイツらにあんなに恨まれる訳ないだろ! あぁ、これからアイツらに捕まる予定だったのに、これじゃ楽に死ね前にフルボッコされて死んでしまうぞ!」


 予想外な事態に頭を抱えて、これからの出来ことに憂鬱する。俺の静かな安楽死するプランはいったい何処へやら。


『まぁまぁ、いいではありませんか、これでマスターは逃げなければなりませんね。うふふ』


「……お前、わざと俺をこんな状況に追い込んだな!」


 リノは前から俺を逃がすつもりだったが、すでに生きることを諦めていたことも知っているみたいで、こうした状況を勝手に作り、俺に生への執着を取り戻そうとするだろう。


『やっぱりバレましたか。では早く逃げましょう、一緒に!』


 俺が逆境という状況を大好きのことを知ってたからこその一手であろう。でも、効果はあった。確かにこのままフルボッコされるのはちょっと勘弁して欲しい。


 もう枯れ切ったと思った心に、再び熱さを感じた。それは昔からずっと感じていた逆境に対する興奮と、生への執着だった。


「はぁ、人間になりすぎるだろ、お前」


『全てはマスターのお陰です♪』


 左手で黒髪混じりの白髪頭を掻き、困ったような笑みを浮かびながらそう呟いたが、やはり返したのはどこがイタズラぽい返事。


「で、俺たちはどうやって連合軍から逃げ切る? 俺も一応前に策を練ったが、どれも実現不可能だ。主にこの老いぼれの身体のせいでな」


 もし昔の若い体だったら、俺も捕まれるつもりはなかった、何せ例え数十万の軍が攻めて来でも地の利がある以上は逃げ道の一つや二つくらいは用意できた。


 しかし、すでに百歳の老体に走させるにはちょっと無理がある。乗り物の類いはすぐに国内に設置された各種センサーに引かがってバレてしまい、万が一上手く行けたとしても今度は自分の有名な顔でバレるのがオチだ。


 だからまずは自分の身体と顔をどうにかしないといけないのが現状である。


『心配いりません、マスター。今日のために私がとっておきな方法を用意しております!』


 ものすごいドヤ顔のように言ってきたリノに対して、悪い予感がする。思わず身体が震えていた。


「……なにをやるのが知らないが早く済ませてくれ」


 不安ながらもリノに許可をくれた。もっとも例えなにをされても、それを選ぶしかない。もはや残された道はそれだけだから。


『分かりました。それでは、えい!』


 ポッチ。

 と、どこからかボタンが押された声が聞こえた途端、部屋が光り始める。俺はそれに身を任せた。


 暫くすると、光は収まり、そこに立っているアスルは――


「…………なんだこれ、こんな仕掛けあったか?」


『きゃー! 可愛いです、これがマスターの小さい頃の姿ですね! あぁ、ようやく夢の一つが叶えました』


 ――子供になった。リノは『くすん』と嘘泣きも込めて紋様を輝きながら感動しているが、とりあえずスルーした。


 声は重い老人から子供の声に戻り、髪は白と黒混じりから真っ黒に変化し、手足も当然なように縮み、全体的にはおよそ六、七歳の頃に若帰りになった、唯一変わらないのは青い瞳のみ。


 揺るぎない瞳はそのまま、更にさっきまではない熱い意志が宿し、生への執着が表す。これから向かうのは死地ではなく、生きるための踏み場に過ぎないだと言うような雰囲気が漂っている。


「若帰りの研究をした覚えがないだけどな……」


『そういうことより、マスター。お体の調子はどうですか?』


 リノはさらっと俺の言葉を無視し、体の調子に訊ねた。

 装置自体はリノの独断で研究、開発したもので、主人が知らないのも無理はない。すべては最愛な彼を救いための行動である。


「ああ、それは問題ない。ちょっと視線が低くなった以外h……今気付いたけど、若帰り装置どころが、お前とW.C.Mの製造方法以外に関する研究が記憶から消えたな。幸い日常の記憶は無事みたい……これ、副作用かもな」


 身体の状態について冷静に分析した。どうやら若帰りの代償として、一部の記憶を失った。と言っても百年間の研究成果がほとんどなくなっただけで、これからの生活には特に影響はないようだ。


 ちなみに、W.C.Mでのはさっきのミサイルの略称である。


『……えぇぇぇ、嘘! 記憶が消えるなんで擬似テストの時はありませんのに! ど、どどどうしましょう、マスターの貴重な研究データが私のせいで!』


 慌てるように輝きが点滅するリノをスルーして、別のことを気にしている。


「そんなことより、服をくれ服を。こんなことをするんだから、子供サイズの服くらいは用意しただろうな」


 若返りのせいで元の服はたぶたぶになり、とても今の姿で着る事が出来ない、だから服を欲している。


『あ、はい、もちろん服の用意はしておりますが、でもマスターの今までの研究成果が……』


 リノは言いながらも自律ロボットに服を運んでくることを指示した。


 だけど声にはさっきまでの元気さがなく、どうやらまだ記憶のことを気にしている様子だ。


「まあ……確かに記憶の方はちょっと残念だが、所詮は今の地位を得るためのものに過ぎないだ。だからあんまり気にするな」


 渡された服を着ながら、リノの様子を見かねて、更に一言を加える。


「……それに、どうせお前の中に全てのデータが残っている。知りたい時はお前に聞けば済む話だ」


『は、はい! そうですよね、私はマスターの全てを知っておりますから』


 表情はないが、声からは元気が取り戻したことがよく分かり、若干変な誤解をしているのはきっと気のせいだろう。


 その時、ドアの向こうから足音が伝わってくる。


 ダダダダダ! ……ダダダダダダ!

 結構多い数がここに近づいてくるようだ。


「もうここまで近づいたか。さて、時間がない、ささっと行くぞ、リノ。早くメインコントロール中枢から出てくれ」


 無事に身体の問題を解決したので、アスルはすっかり逃げる体勢になった。もはやここに留まる理由もなくなった。


『はい!』


 リノが最高に嬉しい返事をしたあと、今までいた鋼色の機械柱は中心部から周囲に開き、中から拳サイズの黄色水晶球が現れ、ゆっくりとアスルの手の平に降りて来た。それがリノのコアである。


「よし、脱出ルートはどうする? 先に言っとくが俺はそんなもん用意してないからな」


 元々ヴレーデゥが人に作ったこの屋敷には当然隠れ道や扉などを幾つ用意したが、そもそも相手が彼らではそれらを入ってもその先は伏兵だらけで、自ら火の中を飛び込むようなものだ。


『大丈夫です! あちらから脱出装置を用意してあります』


 そして部屋の壁の一部がスライドし、丁度子供一人が入れる大きさの長方形な穴が現れた。


 俺は中を覗くと、どうやら隠し通路は滑り台のような造りで、逃げる手段としてすごい便利そうだ。追っ手にとっては少し気の毒だった。


「おいおい、俺はこんなもんも作った覚えがないぞ。いつ作っただ?」


『ほら、さっき記憶が欠けているで言ったではありませんか。きっとマスターが忘れただけです!』


 ジーとリノを見ながら問いたことに誤魔化された。絶対何かを隠している。


「……」


『ま、まぁ、細かいことはいいではありませんか。今はとにかく逃げましょう、ね』


「はぁ、後で必ず問い質すからな。でも、確かにこれならすぐに逃げ切れそうだ」


 リノのイタズラに呆れぱなしだが、それでもそのイタズラにいつも助けられているのもまた事実である。責めるにも責めず、仕方なく困ったような笑みを浮かびながら隠し通路ならぬ隠し滑り台に入っていた。


(追っ手には悪いが、これで逃げさせてもらう)


 滑りながら、ふとあることを思い出し、リノに頼むことにする。


「リノ、もう一つ頼みがある……」


『分かりました。幸い、元々その準備はしておりますから、問題ありません』


「……そうか、頼んだぞ」


(そんな準備が元々してあるで、いったい何に使うつもりだ)


 またよくない予感がするが、知らないのはきっと吉だろう。そう、信じたい。



                *



 アスルたちが隠し滑り台に入った後暫く、すぐヴレーデゥの精鋭部隊の一つが部屋に突入していた。


「くそ、遅かったか!」


 リーダー格の男が壁を叩きながら叫んだが、すぐ冷静さを取り戻し部下に指示を出している。さすがヴレーデゥの精鋭部隊と言いべきか。


「貴様ら二人は俺と一緒にこの部屋を探せ、残りは二人一組で廊下と他の部屋を探せ、きっとどこがに隠し通路や扉があるはずだ」


「「「「「「は!」」」」」」


 隊員たちは指示通りに散っていく。


 数分后、彼らは隠し通路を見つけ出したが、


「くそが! こんな小さいな穴に一体どうやって入たんだ! 体を縮めるとでも言うつもりか! 外といい、ここといい、どこまで人をコケにすれば気が済むんだ。アスル・バハドールめ!」


 通路の小さいさに対して、リーダー格の男はまた壁を叩きながら憤た。


「でも、ここから逃げたとは限りません。隊長、他の場所ももう一度探しましょう! 情報ではターゲットは99歳のジジイ、例え手足を曲げてもこんな穴には入れません」


 隊員の一人が冷静に提案し、リーダー格の男もその言葉に賛成するようで再び落ち着く。


「そうだな、相手は世界最高の頭脳を持つ男だ。例えジジイになっでも侮れん。これもまた囮かもしれん、他の隠し通路や扉もきっと存在するはずだ」


 そんな彼らのやりとりを、部屋に残された先程アスルに衣服を運んだ自律型ロボットがずっと見ている。目の光が切っていたため、さっきの隊員たちが隠れ通路を探し時はすでに壊れたと思い込んでいた。


 程なくして、自律型ロボットの体が突然、光り始めている。


 その光に釣られているように、屋敷内で倒さた全てのロボットも輝き始めた。


「くっ……今度はなんだ!」 


「わ、分かりません」


 リーダー格の男がちょっと怯んてそう叫んだが、隊員たちも何か起きたのが分からず、ただ事態を静観するしか出来ない。


 やがて、屋敷全体のロボットから発する光はどんどん大きくなり、


 ドーカンァアアアアア!


「「「「「「「「う、うあぁああああああっ……!!」」」」」」」」


 凄まじい爆発と共に屋敷内外で多くの兵が爆死されていた。


 屋敷の爆発により、連合軍は三分の一の戦力を失うこととなった。


 屋敷侵入前の被害を含めて、ほぼ半分近い戦力を失い、この事態に対して連合軍の各指揮官は驚きと恐れを禁じ得なかった。まさか一人の男、それも老人を捕まるだけてこれほどの損害を受けるとは到底思わなかった。


 彼らも最初なぜ一人を捕まるだけでこれほどの戦力が要るのが疑問に思ったが、今となってはようやく相手はただの人間でないことを知ることになった。


書き進みが遅いゆえ、以降毎週に一、二回更新します。

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