帰還
村に門が見えると、人影が走って来るのが見えた。
直ぐにそれがフィーナだと分かった。
だだだ、と走ってきて抱きついてくる。
「フィーナ、よく俺が戻ってきたって分かったな」
そう言うとフィーナはむっとした顔をする。
「もしかして、門のところで一晩ずっと俺を待ってたのか」
フィーナはこくこくとうなずき、そしてカラフの片腕が無いことに気づく。
「……っ! ……!!」
「ティカの仇を討ってきた。大丈夫、もう、どこにも行かないよ」
フィーナは悲しみと安堵とで衝撃で自分でも訳の分からないくらい混乱しているようだった。
フィーナは襲撃のあったあの日、首を剣で貫かれた。
だが、奇跡的に一命を取り留めたのだ。
ただ、彼女の声だけは元に戻らなかった。
「フィーナ、大丈夫だ。腕は無くしたけど。もう、誰と戦うこともしない。ずっと君のそばにいるよ」
フィーナは目に涙を浮かべ、それでも嬉しそうにこくこくとうなずいた。
そして、カラフが左手に握り締めているペンダントをちょんちょんとつつき、恐る恐ると言うふうに、妹のことを尋ねてきた。
カラフは昨晩のことを話すと、フィーナはまた涙を浮かべ、声無く泣いた――。
村に戻ると、村人が家々から出てきてカラフの無事に安堵していった。
だが、それと同時にティカの知らせを耳にし次々と涙していった。
それでも、最後には幸せに消えていったことを伝えると皆涙ながらに
「良かった良かった」と、口々に言った。




