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鋼鉄の夢  -Iron Dream-  作者: からす
第二章 明日への逃避
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第110話 準備

 事が決まれば、すぐに実行に移すための準備に取り掛かった。

 まずは戦うための準備。量産型であちらに殴り込みをかけるのは怖い。ご主人様からもらったアースの片腕を直すためにはさすがに機材が足らず、修理屋を呼んで直してもらうことに。ついでにトーマスの機体もメンテナンスしてもらう。さすがに腕一本まるごと移植となると時間がかかるので、その間手が空いているトーマスには、火器弾薬の買い出しに行ってもらった。 

 俺自身の左腕がないし、機体の腕なんていらないんじゃないか、という考えもあったのだがどうも左右どちらかでも欠けているとバランスが悪いらしいので、飾りでも必要なのだそう。

「おい。頼まれた仕事、終わったぞ」

「ああ、お疲れハ……」

 ついいつもの癖でハゲ、と言いそうになってしまったが、スパナを向けられたので口を閉じる。今殴られたら絶対死ねる自信がある。

「何も。ついでに武器と盾の装備も頼む」

「追加料金だ。金あんのか?」

「請求は頭に回してくれ。かわいい後継者候補からの頼みなら断れんだろう」

 引き受けるとは言っていないが、こういう時には立場を最大限に利用させてもらう。今まで散々働いてやったんだし、その貸しの分、少しくらいわがままを聞いてもらう。

「わかった。じゃ、左腕を固定して盾と。右手ライフルと、肩ランチャー。腰にブレードでいいな」

「ああ、それでいい」

 安定の使い慣れた万能装備。対アース戦闘にはもってこい。片腕じゃリロードできないが、それだけ弾を撃ち尽くすより早く事が済むか、俺自身が死ぬだろうし。


 その後だ。さあご主人様をぶち殺そうとアースの調整が終わったところで、頭に請求が行った件で呼び出された。

 できる限り迅速に事を進めることで、ご主人様に対策を取る暇を与えず仕事を達成する。そんなプランが台無しになってしまうが、さすがに無視するわけにもいかずに仕方なく出向する。

「トーマス、クロード。爆薬と弾薬大量に買い込んで、挙句アースの修理代をこっちに回すってどういうことだ。てめえらそろって何するつもりだ!?」

 ああ、困ったな。一体どう説明したもんか。ごまかすにも、頭は切れ者だ。隠し事はすぐに見抜かれる。ならいっそ……

「エーヴィヒに頼まれて、ちょいと叛逆しに」

「馬鹿かてめえら!?」

「引き受けないと発電所を壊すって言われたら、受けないわけにはいかんだろう」

「それでもだ、馬鹿者どもが!」

「じゃあどうすりゃいいんだよ頭」

「知るか……てめえで考えろ」

「考えるのは頭の仕事だろ。羽や足は指示に従うだけだ」

「ええい。糞が! どいつもこいつも正気じゃねえ……好きにしやがれ。俺はどうなっても知らん」

 俺たちが好きにして、何か起きた結果の責任を取るのが頭の仕事なんだが。まあ、それは突っ込まないでおこう。突っ込んで責任を取らされたら面倒だし。

「ただし、俺からは一つだけ命令だ。死ぬな。後が面倒だから」

「善処する」

 何とか頑張ってはみるが、こんな状態で生き残れるかどうかは怪しいものだ。まあ、難しいだろうなぁ。生き残る可能性をできるだけ上げるために先制攻撃という手を取るのだが。

 頭が俺たちを止めなければ、邪魔する者は誰も居ない。行動は家に帰ってからすぐに起こせば、情報が渡っていたとしても対処は間に合わないだろう。

 先手を取ることさえできれば、なんとかなるかもしれない。逆に取り損ねれば必ず負ける。バレていないことを祈ろう。

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