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Blow me away(4)

 逃げ回る無力な一般市民がポリクラブの銃撃でなぎ倒される。パトロール中だったドワーフ自警団員が撃ち返す。市民の死体の上にポリクラブの死体が重なった。必死の形相で応戦する自警団員たちは耳慣れない音を聞いた。ばらばらに吹き飛ばされながら、彼らはそれが迫撃砲弾だったのだと悟った。砲弾が次々と着弾する。道路が砕けた。民家の屋根が崩れて瓦礫が落ちてくる。抵抗を続ける自警団員が肉片に変わった。砲弾の何発かはポリクラブをも巻き添えにしていたが彼らはそんなことを気にしてはいない。ドワーフやグラスランナーを夢中でぶち殺していく。女子供も容赦せずに。いや、むしろそうした弱者たちから餌食にしていった。


 ドワーフの自警団員に混じってドラゴンボーン傭兵も抗戦を開始していた。多くはマンデインだったが、それはポリクラブも同じだ。歴戦の傭兵が素人に毛が生えた程度のポリクラブたちを撃ち殺す。


 だがドラゴンボーン傭兵とて無敵ではない。数を頼みに襲い来るポリクラブの凶弾の前に一人、また一人と倒れる。


 ポリクラブの意力使いがドラゴンボーン傭兵隊に躍りかかる。意力強化された脚力によるものだ。剣が踊り、一度に三人の首が飛ぶ。突撃してきたドラゴンボーンの意力使いが彼の腹に銃剣を突き立てた。赤黒い血と一緒に腸が零れ落ちた。ドラゴンボーンの意力使いも八方から大量の弾丸を打ち込まれて穴だらけになる。降ってきた迫撃砲弾が死体も生者も一緒くたに吹き飛ばした。


 ドニたちは戦場になった街をフンベルトの邸宅へ向かって走る。大通りを避けて裏道を行く。時折襲ってくるポリクラブを撃ち、切り殺しながら。ダンケが匂いで敵の存在を教えてくれるのはありがたかった。


 フンベルトの邸宅ではドラゴンボーン傭兵たちが守りを固めていた。門には即席のバリケードが構築され、銃を構えた傭兵たちが険しい眼光を周囲に投げかけている。まだ戦闘には巻き込まれていないようだが、それも時間の問題だろう。そう遠くない場所から銃声が聞こえている。


 周辺住民を邸宅内に避難誘導していた赤鱗のドラゴンボーンがドニたちを見つけて手を振った。


「ご無事でしたか、少尉」


「ヨハン軍曹、状況はどうだ」とバルドゥイーンが聞く。


 長い首を振ってヨハン軍曹は答えた。


「警備に出ていた部隊も、傭兵団主力とも連絡がつきません。ドワーフ自警団も似たような具合です。うちの小隊は全員そろっているのが不幸中の幸いです。いまはフンベルトさんの指示で周辺住民の受け入れを行っていますが――」


「軍曹、軍曹っ」屋上で周囲を見張っていた兵が怒鳴った。「敵兵多数接近っ。敵の目標はここのようですっ」


「わかったっ」ヨハン軍曹が怒鳴り返す。「外は危険です。少尉、それから、客人たちも中へ」


 避難民たちに混ざって、ドニたちは邸宅に入る。中には逃げ場を求めてきたドワーフとグラスランナーたちがいた。一様に不安げな表情を浮かべていた。負傷者も混じっている。怪我人、女子供、老人を優先して地下へと誘導するドラゴンボーン傭兵や邸宅の使用人たち。


 ドワーフたちを不憫に思う一方で、ドニはなぜこんなことになったのか、思いを巡らせた。ポリクラブの目的はここ、フンベルトの邸宅……おそらくは、マルティンを連れ戻しにきたのだ。いや、そうに違いない。だとしたら、自分たちが彼を連れてこなければこうはならなかったのではないか。自分がこの状況を引き起こしたのではないのか。そんな感情に捕らわれる。


「ドニさん」


 バルドゥイーンが言った。


「あなたが悪いわけではありませんよ。あなたはただ、自分にできることを精一杯やっただけなのですから」


 バルドゥイーンはドニの内面を見透かしていた。そして、彼は微笑した。


「今度はわたしたちの番です」


 近くにいた兵からライフルを受け取り、ヨハン軍曹に指示を飛ばし始める。


「住民の誘導はそのまま続けろ。迎撃準備はどうなっている」


「はっ、屋上に機関銃座と射手を配置してあります。外の兵は引っ込めますか」


「無論だ。篭城する。傭兵団主力が混乱から回復するまで耐え切るんだ」


 部下を掌握し、下士官を使う。バルドゥイーンはただの傭兵ではない、士官なのだ。


 ドニはファニアとダンケと共にホールで立ち尽くしていた。周りには避難民たち。どうしてこんなことにと嘆いたり、神よお救いくださいと祈るドワーフ。子供の泣き声が響く。窓が割れる音。敵の銃撃らしかった。


「そちらの方も、こちらへ」


 ドラゴンボーン傭兵がドニたちへ声をかける。順番が回ってきたのだ。ファニアが袖を引く。


「ちょっと、ドニ……あなた、なに考えてるの」


 咎めるような、引き止めるような口調でファニアは言った。どうしたの、とでも言いたげな顔でダンケが見上げてくる。人間たちの醜さとは無縁な瞳で。


「君は避難してくれ。ダンケを頼む」


 それだけ言って、ドニは歩き出した。ファニアの指が離れる。震えそうな足を叱り付けてバルドゥイーンに歩み寄る。不思議そうな顔でバルドゥイーンが見返してくる。


 ドニは宣誓するように、言った。


「俺も、戦います」


「ドニッ、あなた本気なの」


 引き止めようとするファニアに、ドニは苦笑しながら振り返った。


「本気だ。止めないでくれ」


「どうして、そんなことをするのよ。敵は銃を持っていて、意力使いだってたくさんいるかもしれない。あなた一人が加わったところで、どうなるっていうの」


 耳に痛い指摘だった。自分は意力使いとしては未熟な部類に入るだろう。ドラゴンボーンたちでも敵を防ぎきれるかわからない。バルドゥイーンたちの緊迫感に溢れた表情がそれを物語っている。そして、マックスも、いないのだ。


 いや、なにを考えているのだ。他人の力を当てにするなど。


「どうして、か」


 言いながら、ファニアの顔を見た。紅潮した頬と涙ぐんだ目。唇が震えている。自分を心配しているという気持ちが伝わってくる。有難かった。それを無駄にはしたくはなかったけれど、どうも、それは、できないらしい。


「ごめん、俺にもよく、わからない。ただ、ここでじっとしているのは、違うかな、って、そう思う。それだけだよ」


 ファニアは思い切り眉を吊り上げた。


「じゃあ、もう、知らないっ。勝手にしたらいいんだわ、勝手に戦えばいいのよっ」


 背を向けて、大股でファニアが離れていく。少し考えてから、ダンケはそれについていく。それでいい、とドニは思った。自分の勝手な都合に彼女を巻き込むわけにはいかない。


 何故戦うのか、という問いにドニは答えを持っていた。だが、あえてはぐらかしたのはそれが理由だった。


 ドワーフたちのため、という気持ちがないわけではない。フンベルトやバルドゥイーンには世話になった。だがそれ以上に、自分自身の、自分が信じる世界観のために戦わねばならないのだ。世界は残酷なもので溢れている。だが、それだけではないはずだ。努力すれば報われて、人々が幸せに、平和に生きていけるような。世界はそうであるべきだ。それが安っぽい願望に過ぎないことは理解しているし、目の前の残酷さに立ち向かっても、大した意味はないのかもしれない。だからといって逃げ出すような真似だけはしたくなかった。残酷さから目を背けてなにが変わるというのか。


「覚悟は、ありますか」


 こちらをじっと見据えて、バルドゥイーンは問うた。


「あります。自分は、意力使いです。少しは役に、立てると思います」


「わかりました。止めはしません。ですが、無理はしないでください……ヨハン軍曹、彼を頼んだ」


 ドニは自分が、世界観を賭けた戦いの場に踏み込んだことを自覚した。



 屋上に出た。へりには機関銃が据え付けられ、ドラゴンボーンたちが配置についている。長いライフルを持った兵は狙撃要員だ。彼らの目には怯えや不安はなく、ただ義務を果たすという一点のみを見据えていた。


 高い場所から見渡す自治領は火と煙で彩られていた。家屋に火が放たれ、そこから煙が伸びて空を舐めている。その下にあるものは想像がつく。破壊と死だ。自分はこれから、望んでその中に飛び込んでいくことになるだろう。


 そしてドニは、マックスはまだあの中にいるのだろうか、と思った。彼もまた戦っているのだろう。それだけは確信を持って言える。いつだって彼は、自分の意思で戦うことを選択してきたのだろうから。


「ドニといったか、スムーズスキン」と少し錆のある声でヨハン軍曹が言った。


「はい。その、スムーズスキンというのは」


「俺たちドラゴンボーンが人間を呼ぶときに使う、まあ綽名のようなものだ。人間の肌は俺たちのそれより固くないからな。ああ、誤解しないでくれよ、ルートイーターほど酷い呼び名じゃあない」


 ルートイーター……"根っこ喰らい"はエルフの別称であり、蔑称だ。彼らは肉よりも野菜を好むことからそう呼ばれている。対して、スムーズスキンは人間の肌の柔らかさ、暖かさ、滑らかさに対する憧れから来ていた。もちろん、人間にはドラゴンボーンの強靭な鱗を羨む者もいるのだが。


「しかし根性のある奴だ。図体は見掛け倒しじゃあないんだな、気に入ったぜ」


 ドニを屋上まで連れてきたヨハン軍曹というドラゴンボーンは、バルドゥイーンと比べると言葉遣いや仕草がさほど洗練されていない、ありていに言えば粗野な感じがした。だが、親しみやすさも感じる。それが士官と下士官の違いなのだとこのときのドニはまだ知らなかった。ただ、頼れそうではある、と思っただけだ。


「一緒に戦う以上、お前は俺たちの仲間だ。覚えておけよ」


 頷くと、ヨハンはすぐに指示を飛ばした。


「あそこの機銃につけ。お前は補助だ」


 すでに別のドラゴンボーンがいる機銃だった。そこでドニが与えられた役割は、機関部から伸びた弾の帯をうまく給弾されるよう持ち上げておくことだった。あまり派手な仕事ではなかったが、機関銃に触れたこともないのだから、それぐらいしかできない。


 それでも役割は役割だ。ドニは全身全霊でそれを果たすよう自分に命じる。


「来ました、敵歩兵部隊です」


 傭兵が声を上げた。


 銃を持った人間たちが邸宅に近づいてくるのを認める。数十人規模。街で見かけた連中とは違い、無駄に撃ったりせず、粛々と、油断せずに歩を進めている。ポリクラブの中で錬度の高い者たちを集めたようだ。


 まだこちらに気づいた様子はない。しかし警戒はしている。各人員が銃を向け、全ての方向に気を配っている。


 やがて、彼らは邸宅の門に到達した。鉄柵でできた門扉が爆薬で吹き飛ばされる。ポリクラブたちが庭に侵入してくる。門だけではなく煉瓦塀を乗り越えて四方からも。


 ヨハン軍曹は「まだ撃つな」としつこく念を押すように言った。傭兵たちは鉄の意思でそれに従っている。


 撃たないのか、まだ。弾帯を支えるドニの手が汗で湿り気を帯びてくる。敵はもうすぐそこにいるのに。


 機関銃を握っているドラゴンボーンがドニの肩を叩いた。緊張が伝わってしまったらしい。落ち着け、と言っているようだった。


 ポリクラブたちが庭の中ほどに達すると、ヨハン軍曹は大音声で命令を発した。


「撃てっ」


 機関銃とライフルが一斉に火を噴いた。手の中の弾帯が踊り始める。銃声と硝煙の匂いがドニの感覚を塗りつぶしていく。


 死がポリクラブたちを貫いた。それまで生きていた人間たちが人間だったものに変わっていく。ポリクラブたちの悲鳴。足を撃たれて倒れて呻く男に駄目押しの銃弾が叩き込まれる。恐慌を起こして逃げようとした男が手足と腹と頭を弾丸に叩かれて下手糞なダンスを踊る。咄嗟に伏せた男が狙撃兵の狙いすました一撃で頭を吹っ飛ばされた。血が青い芝生を赤黒く染め上げた。


 それでもある程度のポリクラブが身を隠すことに成功していた。植え込みや庭を飾る造形物の裏に逃れて撃ち返してくる。


 ドニは意力の輝きを目にした。白い、意力だった。庭の中ほどに無造作に積み上げられた木箱に集まっていく。そして、爆発した。木箱には爆薬が仕掛けられていたのだ。


「少尉だ、バルドゥイーン少尉の意力攻撃だ」


 ヨハン軍曹がライフルを撃ちながら叫んだ。


 爆風が数人のポリクラブを吹き飛ばした。顔面に破片が突き刺さった男が悲鳴を上げながら転げまわる。数秒後には鉛弾を喰らってそれもできなくなった。


 植え込みが燃えた。その後ろで伏せていたポリクラブも一緒に燃えた。人肉が焼ける臭いが屋上まで届きそうだった。


 突入からまだ数分と経っていないが、敵は数を大きく減らしていた。ドラゴンボーン傭兵側の死傷者はほとんどない。大陸中にその名を響かせるドラゴンボーン傭兵団と比べれば、ポリクラブの戦闘部隊など烏合の衆に等しい。


 だが、まだ戦いは終わっていない。バルドゥイーンのそれとは別の意力を見つけて、ドニはそれを悟った。もとよりこの程度で終わるとは思っていない。戦闘音楽に麻痺しかけた耳が、かろうじてドラゴンボーン傭兵の声を拾った。


「敵、第二波、来ますっ」


「ふん」とヨハン軍曹は鼻を鳴らした。「戦力の逐次投入とはな。兵が素人なら指揮官も素人か」


「いや、何人か意力使いが混じっています」とドニは言った。自分の声が遠くに聞こえるのを感じながら。「アデプト級とまではいかないでしょうが危険です」


 その言葉にヨハン軍曹は目を白黒させた。意味を掴みかねているようだ。


「お前は、誰が意力使いなのか、わかるのか」


 少し考えた末に、ヨハン軍曹は搾り出すようにそう言った。


「はい。意力を発動させていれば、ですが。敵はそういう能力を持った相手がいるとは考えもしていないでしょうから、意力が駄々漏れです。はっきりとわかります」


「……やるなっ、スムーズスキンッ」子供を褒めるような勢いで、ヨハン軍曹は言った。「どれが意力使いか教えてくれ。そちらに火力を指向させる」


 ちょっとした満足感を覚えながらドニは頷き、配置に戻る。この感覚は戦闘によるものだろうか。戦場の音と匂いに酔っているのかもしれない。頭がくらくらする。


「次、くるぞっ」


 傭兵の怒号にドニは酔いから覚める気分だった。


「索敵に専念しろっ。意力使いはどこだっ」


 ドニは下を見回して意力使いを探す。見つけた。マンデインに混じって、意力を纏った奴がいる。他の連中を盾にするつもりなのだ。


「正面やや右、赤い服を着た奴ですっ」


「撃てっ」


 複数の火器が一つの目標に向かって火を吹いた。近くのポリクラブが血を撒き散らして倒れる。が、意力使いは一瞬早くその場を飛びのいていた。当たった弾もあるはずだが、意力障壁で弾かれたのだろう。なおも突貫してくる赤服の姿が炎に包まれた。甲高い悲鳴。狂ったように地面に転がった男は、すぐに動かなくなった。


「やったかっ」


「まだいますっ」ドニは喉が潰れんばかりに叫んだ。「右方向、三人っ」


「撃てえっ」


 けたたましい銃声。意力による炎。量産される。死が。血まみれの死体と黒焦げの死体が奇怪なオブジェになる。


 と、ポリクラブたちが引いていく。生き残った者たちが塀の外へ逃れる。諦めたのか、とドニは下を見ながら思う。いや、どうもそうではないらしい。兵力の消耗を嫌ったのか、外から撃ってくるのだ。だが効果はほとんどない。堅牢なドワーフ風建築はちょっとしたトーチカにもなる。


 単に攻めあぐねているのか、それとも策があるとでもいうのか。


 ヨハン軍曹も同じことを考えていたようだ。渋い顔でポリクラブの様子を伺っている。


 そのとき、何かが降ってくる音が聞こえた。どんどん高くなる。そして隣の建物から轟音が響いた。屋根が崩れる。


 それを見たヨハン軍曹の顔色が変わった。


「まずいっ。迫撃砲だ。効力射が来る――」


 言い終わる前に再び落下音が。複数。ドラゴンボーン傭兵が叫ぶ。


「退避をっ」


「間に合わんっ」


 なにが起こっているのかわからなかった。さっきの爆発がここに降ってくるのか。あんな攻撃、意力障壁でも防げない。落下音が近づいてくる。あと数秒もしないうちに、鉄と火がここを覆うだろう。足がすくみかける。まずい、逃げられない、死ぬ――


 なにかに押されて、ドニは突き飛ばされた。屋上の縁から足が外れる。落ちていく前に見たのは手を突き出したヨハン軍曹の姿だった。


 ドニは落ちていく。地面に叩きつけられる前に斧を抜き、壁に叩きつける。意力を帯びた黄金色の刃が壁面に食い込み、いくらか引っ掻いてからようやく止まった。


 その直後に建物が震えた。屋上が爆発したのだ。壁にぶら下がったまま、ドニは頭上へ視線を向ける。ドラゴンボーン傭兵の、あるいはヨハン軍曹のものかもしれない千切れた手足や胴体が落下していく。


 ヨハン軍曹は自分を助けてくれたのだ。胸の中に熱いものがこみ上げてくる。それが彼に対する感謝なのか、理不尽に対する怒りなのか、自分でもよくわからない。ヨハン軍曹も、自分を励ますように肩を叩いたドラゴンボーンも、ばらばらになって地面に転がっている。全力で誰かを助けるために戦った者の末路が、こんな無残なものだとは。


 ポリクラブたちの歓声が聞こえてくる。なにが楽しいのだ、この畜生どもめ。歯軋りしながらドニは見下ろす。大勢のポリクラブが邸宅に殺到してきている。窓からの射撃だけでは対応しきれない。バルドゥイーンの炎が数人を焼き殺すが、勢いを削ぐことはできない。


 気づいた何人かが壁面のドニに気づいて銃を撃ちかける。壁が弾けた。ドニは手近な窓を割って身体を押し込む。


 まだ自分は、生きている。廊下に蹲りながらドニは呼吸を整えた。生きている限り戦わなくては。死んでいった人たちや、生きている人のために。それが彼らへの慰めになることを祈って。遠い、あるいは近い未来に自分がそうなっても救われるかもしれないから。


 斧を握り締めてドニは立ち上がった。 

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