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This dog kills racist(1)

 シュダーガートへの道は平坦なものだった。スタスオーグから東へ向かい、川を越えてしばらく歩くと、地図の上では、そこはすでにアルマーニュ連邦共和国だ。といっても、スタスオーグのような街があるわけではない。やはり荒野が広がっていた。


 アルマーニュ連邦共和国は大陸でも随一の工業国として知られていた。その発展の背後には、ドワーフの尽力があった。彼らが作る美しい宝石細工と優れた技術は、アルマーニュを大いに潤したのだ。中央議会はその功績を認めて、北西部の鉱山地帯にドワーフ自治領を置くことを許した。非人間のコミュニティとしては、エルフの王国に次ぐ規模だ。


 ドニたちの当面の目的地はそこだった。自分とファニアの爆弾を外すため、旧世界に詳しいドワーフの力を借りるために。


 途中で、旧世界の遺物を狙う何者かが放つ刺客が現れるかもしれないが、ドニはマックスを信用していた。年齢はさほど変わらないが、自分が十人いても倒せないだろうと思わせるほどの強さを、彼は持っている。


 今日は野営だった。ドニは焚き火の前に腰を下ろす。マックスはライフルを軽く点検し、ファニアは夕食の準備を始めていた。そこでドニは、改めて旧世界について聞いてみた。ファニアは自分の仕事の片手間に答えていく。


 旧世界は第四紀、すなわちいまから数百年前に崩壊したと言われている。第三紀以前についてはある程度の記録が残っているが、第四紀について記したものはほとんどない。少なくとも、世に出回ってはいなかった。歴史書は言う。神の稲妻を生き延びた人間たちが、現在の世界を作ったと。しかし、世界を焼き尽くしたとされる神の稲妻の被害を、どのようにして逃れたのか具体的に記述した書物は一つもない。一神教会のかつての記録によれば、生存者たちは滅びた世界を取り戻すため、遺物の回収を始めたということになっていた。廃墟から、遺跡から文明の燃えさしを拾い集め、大きな火で再び世界を照らし出そうとしたのだ。現在もそうした活動は続いていた。世界各地の有力者たちはトレジャーハンターを支援し、まだ見ぬ旧世界の遺物を、技術を我が物にしようとしていた。ファニアの知っているドワーフも、そうした者の一人だった。


 いい匂いがする。ついさきほど、自分たちを夕食にすべく襲い掛かってきた、ドニの腰ほどもある蟷螂たちの肉が焼ける匂いだ。鋭い鎌の一撃を意力障壁で止めて、斧で首を刎ねてやったのだ。マックスは障壁を使わず、ナイフ一本で三匹を仕留めていた。銃は使わなかった。弾がもったいない。


 戦闘が終わると、丁度いいからこいつらを夕食にしようとファニアが言い出したときには、ドニも流石に驚いた。話を聞くと巨大蟷螂の腕肉は結構な珍味ということだった。外骨格を叩き割り中の肉を捌いていくと、たしかに歯ごたえのありそうな肉質をしていた。死骸の尻から出てきた寄生虫には大きく食欲を削がれたが、肉が焼ける匂いを嗅ぐと生理的嫌悪は吹き飛んだ。胃袋は素直だ。


 肉が焼き上がるのを待ちながら、ドニは口を開いた。


「遺物の奪い合いは起こらなかったのか? 誰も彼も旧世界の技術を独り占めしそうなものだが」

「その辺は、調停者がいたから」と肉の様子を見ながら、ファニアが言った。

「調停者?」

「そう、他でもない一神教会。彼らは世界各地に人を派遣して、旧世界の技術が人々に適切にいきわたるよう配慮している。必要なら、彼ら自身が発掘した技術を提供することもあるわ。飢饉に見舞われた街がそれで息を吹き返したなんて事例は結構あるもの」


 いくら宝を独り占めしたくても、大陸中に信徒を持つ一神教会を敵に回すのは避けたいところだろう。だから彼らは渋々と教会の言うことを聞かなくてはならない。そういう意味では、世界で最も力を持っているのは一神教会だと考えながら、ドニは次の言葉を繰り出した。


「そういう、人を幸せにする技術もあるんだな」

「結構いろんなところで、旧世界の技術は使われてるもんだ。このラジオだって旧世界由来だ」とマックスが言った。「物騒なものもあるがね。俺の銃も、ファニアの銃も、原型は旧世界の第四紀のものらしい。遺跡から掘り起こした武器を元にして作られた。まあ、銃にしたって人を幸せにすることはあるか。撃たれた方は大体不幸せだが」


 弾だけでも幸せになれる奴もいるが、とマックスはどうでもいいことを付け加えた。「弾頭を引っこ抜いて火薬を吸引するとクるらしいぜ。俺は絶対にやらないけど」


 そう言うマックスの銃は、ドニのショットガンよりも長い。銃身と、握把から後ろに大きく突き出した銃床のためだ。銃身の下にナイフを取り付けて槍のように使うこともできる。


 ファニアの銃はそれと比べるとずっと小さくて軽そうだ。ドニが持ったら玩具に見えるほどだったが、しかし黒く平たい金属の箱を組み合わせたような形のそれからは、無骨な印象を受ける。


「神への信心を引き換えに、楽園みたいな生活をしてたって言う奴もいるけど、武器があるってことはそれが必要だったってことだ。そんな世界が楽園だったとはとても思えない」


 マックスはそう零しながら、焚き火に枯れ枝をくべる。


「旧世界にも山賊はいたのかな」とドニは言った。


 今日の昼下がり、マックスは待ち伏せしていた山賊を撃ち殺していた。全部で三人。道を歩いていると、不意にマックスが伏せろと言い、次の瞬間には発砲していた。全速力で走っても四十秒近くかかるであろう距離に潜んでいた山賊たちが、それで頭を撃ち抜かれて即死した。三人とも左右の頭髪を剃り落とし、中央部分だけに残った髪を逆立てているという、奇妙な髪型だった。


「そりゃあ、いただろ。山賊というか、似たような犯罪者は。お前の腕輪だって、もともとは犯罪者につけるためのものだったわけだし」


 世界には恐怖と危険が転がっている。程度の差こそあれ、旧世界でもそれは同じだったらしい。危険と、恐怖、そして苦痛。それらを乗り越えた先にこそ求めるものがある。自分がまだ知らないもの、きれいなもの、美しいものが。それを掴み取るためには、力が必要だとドニは痛感していた。力、意力。意志の力だ。


 意力が使えるようにはなったものの、完全に使いこなせているか、自信がない。自分にできるのは若干の筋力強化や意力障壁の展開だけだ。ファニアのように声で敵を吹き飛ばしたり、マックスのような尋常ならざるほどの能力強化には遠く及ばない。たった一つの取り柄といえば、不可視であるはずの意力が見えるということだけだった。これだけでは、さすがにマックスほど強くなったとはいえない。


 いくつかの戦いを経て、ドニはマックスのようになりたいと思うようになっていた。強く、気高く、恐れもせず敵に立ち向かい、己を律することができるように。たまに出てくる笑えもしない皮肉や冗談についてはさておくとしても。だがまあ、そう一朝一夕で強さが身につくはずもない、少しづつ強くなっていけばいいのだ、とドニは前向きに考えることにした。


 それにしても、彼はどこで戦いの技を磨いたのだろう。マックスについてわかっていることは、まだそれほど多くない。ふとドニは、彼も自分なりの"美しいもの"を追い求めるために、力を身につけたのではないのかと思った。


 蟷螂の腕肉はいい焼き具合で、こりこりとした独特の食感があって、美味かった。



 夜眠るときに、ファニアは女性ということもあってか、不用意に近づいたらぶっ放すと銃を手放さなかったりしたものの、さしたる障害もなくドニたちはシュダーガートへ到着した。ちなみに、マックスは「わたしに嫌らしいことしないでよね」とドニを見ながら言ったが、ファニアもドニも突っ込むことはしなかった。おかげで静かに眠れた。


 このあたりまで来ると、マックスのラジオから流れる声はエレクサゴンとは異なる言語になっていた。小さな変化から異国の雰囲気を感じる。わずかな感動と共に、これから自分ひとりになった場合、どうやって街の人とコミュニケーションをとるべきか、不安に思う。が、ファニアはそんなドニの心境を見透かしたように口を開いた。


「言葉のことだったら心配しないで。アルマーニュ語はそれなりに喋れるし。なんなら、日常会話程度のことは教えてあげられるわよ」

「それは、ありがたい。エレクサゴン語にアルマーニュ語まで使えるなんてすごいな。生まれはロムルスだろう」

「まあ、仕事柄、情報収集は必須なわけだし、慣れないうちは苦労したけどね」

「仲がよろしいこって」とマックスが茶化すように言う。「その調子だと、お勉強もはかどりそうですなあ」


 少し声を低くして、ファニアは「どこかの誰かが困っても、私は口出ししない」と言うと、マックスは流暢なアルマーニュ語で返した。なんと言っているのかドニにはわからなかったが、ファニアが眉をひそめるのを見て、大方の予想がついた。またなにか下らないことを言ったのだろう、と。


 シュダーガートはなだらかな広陵地帯に囲まれていた。そこでは農業が行われているらしく、青々と茂る植物たちが陽光に照らされていた。街並みはスタスオーグとさほど変わらない、というよりも、ひどく似ていた。距離が近いために、お互いの文化が影響しあった結果だろうか。ただ、スタスオーグのような壁はなかった。聖堂のように高い建物も、ない。そのためか、どことなく開放的な雰囲気がある。


 空は晴れていた。天気がいいと気分もよくなるものだ。ドニは浮かれた気分で街を見回す。アルマーニュ連邦共和国はその内部にドワーフ自治領を持つため、街中でも彼らをよく見かけることができた。が、どういうわけか、街を歩くドワーフたちに笑顔はなかった。それどころか、ドニたちをみかけるや眉をひそめ、足早に立ち去る始末だ。ドワーフは気難しい者が多いと聞いていたが、さすがに異常ではないかとドニは思う。よそ者を快く思っていないにしても、限度があるというものだ。


 居心地の悪さを感じながら、都市中心部にある駅に向かう。そこから北へ、ドワーフ自治領行きの列車が出ているという。ファニアによれば、何事もなければ数時間ほどでつくとのことだった。


「歩いて行くとどれぐらいかかる?」

「どんなに急いでも二日はかかるかな。……最悪、一生辿り着けない場合もあるけど」とファニアが答えた。

「どういうことだ」

「シュダーガートからドワーフ自治領との間に、治安がひどく悪い一帯があるから」

「オークでも出るのか」

「いいえ、もっと性質の悪い連中」

「なんだ、それ」

「……人間よ」


 意外な言葉にドニはファニアに視線を向けた。隠し切れない嫌悪感が表れている。口ぶりからすると、ただの人間――山賊の類ではないらしいというのはわかるが、詳しく聞いていいものだろうか、とドニはためらう。


「アルマーニュにいれば絶対に一度は目にすることになる」とファニアは続けた。「あなたたちが彼らに対してどんな感情を抱こうと勝手だけれど、個人的には近づいて欲しくない。それだけ」

「あー、気持ちはわかるが、そうカリカリすることはないだろ。一応同じ人間なんだし。俺たちには無害だ」と訳知り顔でマックスが言う。「それとも機嫌が悪いのはあれか、まさか月のものか」


 ひどい音がした。本気で平手を見舞ったらしく、マックスの頬は真っ赤に腫れていた。意力を使わなかったのは彼女の最低限の優しさだろう。


「最っ低!」


 言い捨てて、ファニアは足早に歩き去っていく。


「おぉ、痛ぇ。なんだよ、ちょっとした冗談でここまでするこたないだろ、なあドニ?」

「いまのはマックスが全面的に悪い」


 いくらなんでも配慮が足りなさ過ぎだ。強くなる近道は彼から学ぶことだと思っていたが、それ以外については反面教師にしたほうがよさそうだ。ドニはファニアに置いていかれぬよう、後を追う。マックスはファニアが言ったことについてなにか知っているようだったが、いまここで聞く気にはなれなかった。ファニアがあれほどの嫌悪感――いいや、あれは憎悪だ。ドニは歩きながらそう思った。話題にするのも嫌なくらい、憎んでいる。あれはそういう目だった。


 結局そのことについて触れることができないまま、シュダーガート中央駅に着く。


 円の中にひっくり返したY字を置いたオブジェを屋上に設えたその建物の入り口は封鎖されていた。しかめっ面の駅員が入り口に突っ立っている。ドニは不安に思いながらも、ファニアにちらりと視線を送った。神妙な面持ちで、ファニアは駅員に近づき、事情の説明を求める。


 駅員といくつか言葉のやり取りを交わすと、ファニアはため息をついてドニに向き直った。


「これは、駄目ね。列車は出せないって」

「どうして」

「……ポリクラブの連中が列車を爆破するって言ってて、駅は厳戒態勢。列車を動かすなんてもってのほか。おかげで、他の駅からの列車も通らないみたい」

「なんだって、あのポリクラブが?」と言ったのはマックスだ。

「知っているのか、マックス。ポリクラブって、なんだ」とドニは聞く。

「いや、まったく知らない」


 その言葉に、ドニは呆れかえってしまう。ファニアも同じような顔をしていた。


「あー、ごめん、うそうそ、ちゃんと知ってるよ。ファニアお嬢様の方が詳しそうですが、僭越ながらご説明させて頂いてよろしゅうございますかな」とマックスはファニアに恭しく頭を下げて聞いた。

「お好きにどうぞ」と憮然とした声音でファニアは答える。

「ではお言葉に甘えて……ポリクラブ、正式名称ヒューマニス・ポリクラブ。さっきファニアが言ってた連中さ。ここアルマーニュ連邦共和国で一番面倒くさい生き物だ。理由は単純明快、息が臭いから。いや、冗談だ、あながち間違いでもないが。ポリクラブはある主張を声高に叫び、その達成のために暴力行為をとることもある」

「その主張って?」

「ドワーフを含む、非人間種族の権利拡大阻止と彼らを管理下に置くことさ。奴隷にしてしまえ、と言う奴もいる。成員は全員が、俺たちと同じ人間だ。そんな奴らの息が臭くないわけがない」


 奴隷、人間を物として扱うことだ。エレクサゴンもアルマーニュも、奴隷の取引を禁止しているが、禁止されているからといって存在しないとは言えず、むしろあるからこそ規制されてるというのが実態だった。法の目が行き届かないところで、奴隷商人は暗躍している。すぐ東のエルフの国、ウィ・ノナでは奴隷制は健在で、奴隷商人たちの大手取引先となっていたりもする。


 ここから遠く南東の国では、もう百年近く、支配階級の者が捕まえてきた幼い奴隷に教育と訓練を施し、跡を継がせるといった稀有な制度が存続しているとドニは本によって知っていたが、そんなのは例外中の例外だ。格安の労働力として、奴隷は主人に使役され、また他の者に売り渡されることもある。女性なら別のことにも使われる。


 奴隷になるものは様々だ。人間もいれば獣人、グラスランナー、ドワーフ、などなど。その中でもっとも多いのは、オークだった。野生のオークは異なるクランのオークを襲撃し、幼いオークを自分たちの奴隷として死ぬまで働かせることが確認されており、そのため、奴隷向きの種族などと言われるほどだった。ドニが聞く限りでは、美しい翼を持つ翼人は見世物にされることもあるらしかった。


 人型知的生物を物として扱うその感覚が、ドニには理解できなかった。したくもないし、してたまるか、と内心で唇を尖らせる。奴隷という存在を知ったとき、吐き気を催したのを覚えている。なぜ、他者に自分と同じ権利を認めることができないのだろう。


 彼らには、人の心がないのだろうか。ドニは思う。誰しも多かれ少なかれ好き嫌いはあるものだが、平然と、嫌悪の対象を奴隷に貶めろと主張する彼らは、一体なんなのだろう。どのような憎しみがそうさせるのか、その理由はなんなのか。


 自分がドワーフだったら、とドニは想像力を働かせる。いや、ドワーフである必要はない。人間が、別の種族から迫害される状況を想定する方が、ずっと易しかった。人間であるという、ただそれだけで石もて追われる、そんなことあっていいはずがない。


 同時に、ドワーフたちの視線の理由が、それでわかった。彼らは自分たちを、そのポリクラブとやらと同列に見ているのだ。心外だ。自分は、他人を侵害したりなんて、絶対にするもんか。


「アルマーニュが発展したのはドワーフたちのおかげなんだがね。だから議会はドワーフに自治領を与えたっていうのに。犬だって恩は忘れないもんだぜ」


 マックスの口調から、ポリクラブを快く思っていないことは明らかだった。


 と、そこでドニはファニアがじっと、こちらを見つめているのに気づいた。顔色を窺っているようだったが、やがてほっとしたような表情になる。


「二人とも、ポリクラブ反対派なのね。よかった、賛成派だったらどうしようかと思ってた」とファニアは見直したというようにマックスを見た。

「おいおい」とマックスは苦笑する。「俺は博愛主義者なんだ。銃を向けてくる相手以外には、寛容に接するようにしてる。可愛い女の子だったら種族にかかわりなく、お近づきになりたいぐらいさ」


 マックスの軽口にいつもなら冷たい態度で応じるファニアだったが、このときばかりは少し口元を緩めて笑った。


「じゃあ、ドワーフ自治領に期待しておくことね。美人のドワーフもいっぱいいるわよ、きっと」

「そりゃあ、楽しみだ」


 マックスはことあるごとに女性好きであるかのように振舞っていたが、しかし彼がファニアを口説こうとしたことはない。おかしな話だ、とドニは思う。目の前に美少女がいるというのに、まったく反応しないとは。単に好みの問題だろうか。


「それよりどうする。列車が使えないとなると、徒歩でドワーフ自治領に向かうのか」とドニは言った。

「いつ再開されるかわからん列車を待つより、徒歩で行ったほうがいいかもしれんな」

 そう言うマックスに「嫌よ、そんなの。野営中に刺客に襲われるかもしれないじゃない」とファニアが口を出した。


 もっともな意見だった。では街に留まっていればいいか、というと、そうではない。スタスオーグでは街中でも攻撃を受けたのだから。


「フムン……おっ、いい考えが浮かんだぞ」

「どんな」

「ファニアがだな、駅長に色仕掛けを食らわせてだな……わかった、俺が悪かった」

「見直して損した」振り上げた手を下ろして、ファニアはため息をついた。「ドニはどう? なにかいい考えはない?」

「そのポリクラブとやらをどうにかするのが、一番早いんじゃあないか」

「ぶっ殺せって?」とマックス。

「そうは言わないけど、せめて説得とかさ」

「説得ときたか。お願いだから大人しくしててください、このクッキーの詰め合わせをあげるから、とでも言いに行くか。いまならおまけにお茶もつけますよ、ってな。いいな、それ」

「なに馬鹿なこと言ってるの。あんな連中にそんなの通用するわけないじゃない」

「そうだなあ、クッキーより酒のほうがいいかな」


 ファニアはマックスをじと目で睨む。


「冗談だって。あいつらにくれてやるのは、鉛弾がいいとこだ。他に手段はないし、とりあえずポリクラブの情報を仕入れようぜ。ここの駅長に会おう。邪魔なやつらを片付ければ、列車代くらいはまけてくれるだろうさ」

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