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魔王に討たれた聖女、転生したら魔王の手下の闇精霊でした~それでも私、魔王討伐を諦めません!~  作者: 夜月海歌


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4/8

理解できない価値観


「そろそろ休憩しましょうか」

「もうですか?まだ全然できない……」

「焦らなくていいのよ。ちょっとずつやっていきましょう」

「ありがとうございます……」


 あれから数時間練習しても、一向に上手くならなかった。できるのは雲みたいにぼんやりとしたものばかり。このまま上達しなかったら殺されるのかな……。


 ……私はまだ、魔族の空間に慣れない。人間が住む地域よりも魔力の密度が高くて、吐きそうになる。闇精霊は魔力に耐性があるのだから、きっとこの症状は心理的ストレスによるものだろう。


 魔力といっても、大気中には天系魔力と冥系魔力の2種類がある。光精霊は天系魔力を、闇精霊は冥系魔力を吸う。だから、私が今吸ってるのは冥系魔力だ。人間や光精霊にとってはあまり良いものではない。


 いつか、この魔力に慣れてしまう日が来るのだろうか。この忌々しい魔力を何とも思わなくなる日が――。


 そんなことを考えていると、不意にリリアさんの声がした。


「あら、ルシエル」


 リリアさんが話しかけた先を見ると、そこには少し小柄な闇精霊がいた。


「リリア、久しぶり。そちらの方は新人さん?」

「カルミアよ。今日召喚されたの」

「よろしくお願いします」


 そう言うと、ルシエルさんは微笑んだ。


「よろしく」


 柔らくて優しそうな声。でも、どこか冷たい。


 次の瞬間、鋭い棘が私に向かって飛んできた。

 黒い魔力のこもった棘。


 私は咄嗟に横にそれた。戦闘経験があるから、そんなに難しいことではなかった。……でも、本当に生まれたばかりの闇精霊だったら、あんな素早い攻撃を避け切れるわけがない。


「そんなに怖がらないでよ。冗談だし」


 冗談であの攻撃? なんなの、この人……。


「ルシエル。この前もやめなさいと言ったでしょう」

「良いじゃん、死なないし。それにこれぐらい避けれなきゃ実践なんて無理でしょ?」


 わかんない。なんで。それは攻撃する理由になるの? 死ななくても痛いよね? どうしてそんなことができるの。……やっぱり理解できない。分かり合えない。


「カルミア、ごめんなさいね。ルシエルはいっつも言うことを聞かなくて……」

「……大丈夫です」


 リリアさんは優しい。気が利いて悪いところなんてひとつも見当たらない。……でも、だからこそ裏があるのではと私は疑ってしまう。


「この子、素質はあるね。どうして避けれたの?」

「え、えっと……」


 聖女だったなんて言えるわけが無いなんて言おう……。


「その目、人間みたい」

「え……」


 私は、苦笑いしかできなかった。ルシエルさんには、私がどのように映っているのだろう。もっと振る舞いを気をつけないとね。


「ルシエル、いい加減にしなさいよ」

「えー、だって面白いじゃん。僕は刺激がほしいの!」


 ルシエルさんは退屈そうに足元を見つめていた。


 面白い、そんな理由で。そう、闇精霊はいつもそうだった。戦闘中も笑ってて、こちらが苦しむのを楽しんでいた。自分が死ぬ時さえまでも。


 私には理解できない。理解したくない。


「あんまりやるとご主人様が怒るわよ?」

「……別にいいよ。忠誠心なんてないし」


 そう答えるルシエルさんは、少しだけ目を伏せているように見えた。

 

このキャラめっちゃ大好きなんです

ルシエル良くないですか!?


次回は3月9日更新です!

ストック溜まったら毎日更新にしようと思います


面白かったらブックマークお願いしますっ!!

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