チート犬の珍道中
注意:微エ□なセンシティブ表現が一部にあります。苦手な方は回避をお願いします。
犬?視点の、架空の学校内珍道中。
オッス、オレは犬!
正確には時空と次元の精霊とか言うトンデモない存在に転生しちまった、元日本人のちょっと周囲からスケベと白い目で見られてた男だぜ!
前世の死因は……言わなくていいだろ?
つまんねえ死に方したと思ったら、なんか白くてフワモコでスマイルがトンデモなく可愛いサモエドにしか見えない姿に変わって、なんか見覚えの無い世界に生まれ変わってただけだからな!
そしてその見覚えの無い世界で次元やら時空やらの乱れを正すって役目があるみたいだが、そんな事態なんか滅多にありゃしないから暇なもんだ。
で、その暇な時間にオレの能力を使って、今は前世の元の地球に戻って、サモエド犬のふりしてそこらを練り歩こうってハラだな。
で、その舞台として選んだのが、前世で死んだはずの場所から見渡して目に入った学校だな。
今は夏の日中で、校舎の方から人がいっぱい動いている音がするから、平日で授業があるだろう。
入ろうとしても閉ざされている校門を前にしては、侵入できない?
いやいや、オレはただの犬じゃない。 転移してもヨシ、次元のトンネルを開けてくぐり抜けるもヨシだ。
それでチョチョイと侵入。
……ん? 今のオレは可愛いサモエド犬だぞ? 人間じゃないから、人間のルールに縛られないさ。 わんわん!
あ〜、暑い。 と言いたいけど、精霊だから気温の影響は無いんだよなぁ。
って事で、校舎に突入。
うほー、土(で汚れたままの)足で校舎は新鮮だ。
カッチャカッチャと爪の音を立てながら、あちこち歩き回ってやるぜ!
まずは地図か? 職員室の前を通って面倒な事になりたくは無いし、ただの教室を見て回ってもつまらないだろうから、何かがある移動教室をメインに見て回りたいからな。
あ、ここは高校か。
……よし、だいたい把握した。
んー、まずは……体育館か? 校舎を無視していきなりそこ行くんかとツッコミは知らん。
体育館から物音がしてるし、誰か居るみたいだからな。
…………なんて行ってみたけど、体育の授業じゃないな。
なんか体育館にある舞台の反対側の扉の1つから、音がしてる。
ここは……用具室!!
つー事はアレか? アレなのかっ!?
埃まみれの用具室で、ウヒヒでムホホな運動会ですかぁ?
さて中にコッソリ入って見ようかねえ!
…………なんて期待したけど、そんなものじゃなかった。
なんか体育の授業が終わった時に、誰かからイタズラ感覚で鍵をかけられ閉じ込められたから、出ようとしていただけだった。
つまらん。 空間を操作して、さっさと解錠。
ほーら、出てけ出てけ。 ああ、体操服の格好だったか。 早く着替えて教室へ戻れ戻れ。
用具室で起きていいのは、ムホホなトらゔルだけだぜ。 ウヒヒ。
それが済んだら、体育館裏へ。 なんかもう一つ物音があったんだよな。 なんて思いながら向かうとそこには、
「どうだ? アイツは慌ててたか?」
「はい。 出して出してと、叫んでました」
「だよな、わはははっ。 あと1時間位したら開けてやるか」
なんて体操服姿でクッソつまんねー会話してやがるのがいた。 こいつらか、用具室に閉じ込めたのは。 それはイジメって言うんだよバカが。
「さて、着替えて教室に戻るぞ」
「はい」
それはオレが許さねーわ。
バカどもが油断して正面を向いてない内に、と地図で確認したある場所へ繋がる穴を用意してっ、と。
『キャーーーーーーッ!?』
「うおっ!?」
繋いだ先は、女子更衣室だな。 バカどもには堂々と女子更衣室へ侵入した問題児になってもらう。
この学校で、もうニヤニヤしながら肩で風を切って歩けると思うなよ? ドスケベな問題行動を平気でする問題児として、白い目で見られ続けやがれ。
それで巻き込まれて、見られた女の子達? 巻き込んじゃってごめんなさいね。 としか言えねえ。
だって犬の姿を利用して、オレもどさくさに紛れて更衣室内を歩き回ったからな。
……お前の欲得尽くかい! って? それはまあ…………ウヘヘヘ。 あ、ゴメンナサイゴメンナサイ、モノ投げないで。 オレは可愛いワンちゃんなのよっ!
自分のやった事に満足して次の場所へ。
外に出ちまったし、ついでだからプールにも行こうかな。
今プールの方に行く行列を見たからな。
………………。
お? プールの入り口は登りやすくスロープか? 良いね良いね。
で、オレが入るのはもちろん、女子更衣室だよな〜。 ムホホホ。
おー、いいねいいね。 オレを見つけた女子が、相手が犬だからって無警戒に屈んで撫でてくれる。 その隙にオレは………ムホ〜〜〜!
尻尾が止まらねぇぇぇぇーーー!!
と有頂天になっていたオレに、災難が降りかかる。
「ここに犬が入って行くのを見たと報告が来た。 本当か?」
教師の登場。
あ、こりゃまずい。
ここはサッサと退散するぜっ!
なんとか抜け出せたオレは校舎に戻る。
……と、鼻にとても良い香りが漂ってきた。
これはなんだ?
なんて香りに釣られて発生源まで辿り着くと、そこは調理実習室。
あー、なるほど。 これは丁度調理実習中で、この香りからするとクリームシチューと親子丼か。
クリームシチューは中学でやった気がするが、同時に親子丼で作業量を増やして、難易度を上げる感じだろうか?
それか2つじゃないと腹ペコ学生どもの食欲を満たせないだろうってハラか?
まあ良いや。 良い香りだよなー。
いいなー。 食いたいなー。
ついついヨダレダラダラで尻尾ブンブンしちまうよ。
こっそり調理実習室に入って、つまみ食いするのも良いなー。 ジュルリ。
……ん? お前は犬だからタマネギ入ってそうな料理はダメ?
いやいや、犬と確かに言ったが、精霊とも言ったぞ?
本物の犬じゃないから、タマネギどころか犬には強すぎる人間の料理の味だって、問題無いんだ。
あー、食いたいなー。
なんて実習室の前でずっと動きを止めていたら。
がしっ。
ん?
「捕まえたぞ! こんな所まで入って来て。 さあ、出ていってもらおうか」
しまった!? 料理の香りにばかり気を取られて、警戒を怠ってた!!
オレの抵抗は虚しく、高校を追い出されてしまった。
まあどれだけ侵入を防ごうがオレには効果は無いのだが、それはそれで変な噂とか七不思議とかにされそうだから、今日の所は諦めて帰ることにした。




