凍てつけ、深く遠くまで - その3
2017年07月20日(木)11時28分 =呪い屋=
呪い屋の店主、確か名前は津雲巡...だったけか。古代魔術の使い手、いや、それ以外にも魔術や魔具も使ってくるでしょうね。それに、この建物も自由に作り変えることができそうだね。だったら、最終奥義を使ってもいいだろうかな。
【霞城流 奥義 天衣無縫】
【▤▨❖☒▥▤☒】
天衣無縫は直接斬る技ではなく、刺したり薙いだりする技だ。そして私は今、彼に奥義を3つ知られている。そして、切断や突きは古代魔術で反射された場合致命傷となる可能性がある。その場合、更に奥義が割れてしまう可能性を考慮すると、ここでは斬撃の攻撃は使いにくい。であれば、打撃攻撃を主体とするまで!
【霞城流 白鯨】
【▤▨❖☒▥▤☒】
白鯨は峰で急所を狙う技だ。この戦法ならば、相性は悪くない。ただ、ずっと防御に徹しているのを見るに何か策を講じているのではないかと勘繰らざるを得ないけどね。
【霞城流 奥義 天衣無縫】
その刃が、彼の身体へと至ろうとした瞬間。彼が、にやりと笑った。
【▣▦⊡❖▧▢】
彼は切っ先から流れ出る衝撃波を掴んだ。掴まりながら彼は、後方へと吹き飛ばされる。また逃げる気なのか...?
流石に逃げられては困る。刀を抜いたまま彼の方向へ駆け出す。そして、
【霞城流 流星】
彼を下から上へ切り裂くように刀を振るったが、その瞬間を待ち望んでいたかのように彼は、
【❖▢◈◨◘▨⊡◇《反射しろ》】
魔術で衝撃波を私の方へ送り返してきた。私の流星と対消滅したが、私の刀が空を切ったのに変わりはない。一歩踏み込んで、再び彼へ切っ先を向けようとした途端、彼の姿が消えた?
右を見る、いたって普通の木目がついた壁だ。左を見る、同様にいたって普通の壁だ。前方を見る。特に何の変哲もない行き止まりだ。
この家の構造は変化し続ける。それは、一重にこの家そのものが生きているからだろう。つまり、この家に入り込んだ時点で化け物の胃袋の中と言うわけだ。この中では物理法則すらねじ曲げられる。最初の窓の一件でそれは理解している。であればどうするべきか、答えは一つだ。奴の行方が分からないのならば、炙り出すまで!
【霞城流 最終奥義 双別時【▣▦⊡❖▧▢】
奴は背後から私を魔術で掴んだ。流石に、壊されるのは嫌ったみたいね。であれば、それごと断ち切るまで!
【霞城流 奥義 神樂破城】
掴んできた魔術の掌を切り刻み、捕縛を解く。そして、彼に再び切っ先を向けようとして途端、彼が両手を挙げて降参した。
「なんのつもり、そんなことをして。」
「何のつもりって、降参だよ降参。」そう告げる彼の顔には曇りすら何もない顔だった。
「降参って、あんなに私の邪魔をして降参?ふざけないで頂戴、一体あなたの目的は何なの?」
そう言いながら私は、彼の首元に刃を突きつける。
「目的か、そうだな。時間稼ぎ、と言えば満足か?」
時間稼ぎ...、もしかして狭間君から聞いていたあの一般人が今あの化け物を連れているの...?
「もしかしてだけど、あの化け物を一般人に連れて行かせているの?」
「光ちゃんのことか?にしても化け物とは、あの子が一体何なのか君たちは知っているみたいですね。」
知ってるも何も、聖夜前災で殺し切れなかった人造人間。あれが、あの存在の正体のはず。でも、であれば、なぜあの化け物は一般人に連れていかれてるの?
「ええ、ある程度はね。でも、情報は少しでも欲しいわ。あなた、いっしょに警察署まで来てもらっていいかしら?」
「・・・ああ、わかった。出頭しよう。ただ、俺が言える範囲で言うが、それでいいな?」
「構わないわ。」
あれから何かが変わっているかもしれない。であれば、戦法もあの時から変える必要があるかもしれないな。
「それじゃあ、ここから出してくれるかしら?」
「・・・わかった。玄関までの道を開いてくれ。」
彼がそう言った瞬間、壁が退き、形を変え、私が斬り破った玄関へと続く道が生まれた。
「それじゃあ、しばらく眠っていてくれ。」
刀の表裏を入れ替える。
【霞城流 白鯨】
彼の首から顎にかけるあたりの部分を峰で折れない程度に強打する。すると、彼はぴくぴくとしてから気絶した。
私は、気絶した彼を担いで玄関への道を進む。
さて、ここから忙しくなるでしょうね。




