表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終わりなき理想郷  作者: DDice
空高く、天を仰ぐ
26/68

一切合切を捨て置いて

2017年07月20日(木)10時43分 =萌葱(もえぎ)町警察署=


 警察署に戻ってきた俺と穂積(ほづみ)弐級職員は捕縛した奴らを霞城(かじょう)壱級職員に受け渡して、いったん休憩をしていた。

 そして、それから10分ほどして霞城(かじょう)壱級職員がバインダーにペラペラな紙一枚を挟んだものを持って俺たちのところに来た。

「それでどうです、彼らは何か言いましたか?」

「いいえ。全員しっかりと訓練を受けてるのでしょうね、有用な情報は一切吐かなかったわ。」そう言いながらバインダーを渡してくる。

 バインダーを受け取り何が書かれているかを確認する。そこには簡潔に、『鈴埜宮PMC所属、目的は不明だが暫定:聖夜前災(せいやぜんさい)の怪物を追っているものと断定。』と記されていた。

「まあ、大方予想通りではありましたね。」と言うと、

「ええ。でも、あの場で回収できなかったのは残念ね。」と少々残念がった声で言われる。

「あの時は一般人もいましたので、力を行使するのは危険かと判断しました。」

「ええ、わかっている。それに、不十分な準備でやりあえる相手だとは思っていないからね。でも、次は違う。」

 霞城(かじょう)壱級職員は覚悟の決まったような深みのある声で言った。

「あなたのおかげで居場所は分かったわけだし、後は私たちに任せてちょうだい。」

「ええ、あなたほどの人物に信用しないのは相手が(本物)の時ぐらいですよ。」それを聞いた霞城(かじょう)壱級職員は、

「ふふっ、あなたも言うようになったわね。まあ、報告を楽しみにしてちょうだい。」と言ってその場を去っていった。

 さて、これで今回の仕事は終わりかな。



奈穂(なほ)ちゃん、そろそろ行くの?」と、出入り口で香苗(かなえ)に捕まる。

「ええ。あの存在の居場所が分かったからね。」と言って、ポケットの中に仕舞っていた端末を取り出して香苗(かなえ)に見せる。そこには、(まじな)い屋に位置情報を示すピンが刺さっている映像が流れ続けている。

「ここ数十分の間この建物の中を移動はしているにしろそれ以上の動きは見せない。これはちょうどいいチャンスでしかないでしょ。」

「でもその中には巻き込まれた一般人もいるでしょ?それはどうするのよ。」と聞かれたので、

「それは、あなたにやってもらうことよ。」と答える。

「まったくもー。そうやって人使いが荒いんだから。でも、いつも通りの作戦で安心したわ。それで、どの方法で行く?」

「そうだな...、まあさほど遠くもないし歩きでいいだろう。車とかで行って警戒されても困るからね。」

「そうね。それじゃあちょっと待っててちょうだい。出発する前にちょっとだけ弟吸いしてくるから。」

 そういうと香苗(かなえ)は走って私が歩いてきた道を逆走していった。そして数秒後、馬鹿みたいな叫び声が廊下全体に反響する。まったく、これさえなければ言うことはないんだがなぁ。

 そうしみじみと彼女の奇行を感じていると、耳をふさいで狭間(はざま)君がやってくる。

「どうしたの、狭間(はざま)君。」と聞くと、

「あまりにもうるさいし、見るに堪えなかったので見捨てて逃げてきました。」と淡々と答える。それを聞いた私は、「確かにそうね。」と同意した。

 そして数分、やっと叫び声が枯れ始めたころ、

霞城(かじょう)壱級職員。俺もバックアップとして行っていいですか?」と狭間(はざま)君が聞いてくる。

「それはいいけど、どうして?」

(まじな)い屋は噂ですが、常に屋内の構造が変わるらしいんです。その場合、捕まえる前に逃げられる可能性もあるわけです。なので、外で待機してもし出てきてもすぐに捕まえれるようにしようかと。」

 (まじな)い屋、確かにあそこは公安の中でもマーキングされている場所。であれば、一考の余地があるわね。

「わかったわ。であれば外で香苗(かなえ)と一緒にバックアップをお願いするわ。」

「ありがとうございます。それと、来ましたよ。穂積(ほづみ)壱級職員と、死にかけの穂積(ほづみ)弐級職員ですね。」

 吸われまくったせいか、心ここにあらずというような伸二(しんじ)君が香苗(かなえ)に抱えられながら来た。

奈穂(なほ)ちゃん、伸二(しんじ)を連れて行っちゃだめ?」

「・・・好きにしろ。」そう言った瞬間、伸二(しんじ)の目が一瞬で光を失ったように見えたのは気のせいだと信じたい。すまない、伸二(しんじ)君。任務のための犠牲となってくれ。

 まあ、そんなこんなで4人というそこそこの人数となってしまったが、バックアップが万全となったと考えればいいだろうか。心配な要素はあるがさほど心配する必要もないだろう。あの時(聖夜前災)とは違う、技術も上達したし準備も十二分に万全だ。あの時(聖夜前災)の遺恨を、今回こそ晴らさせてもらおうじゃないか。

 そう意気込んで、一歩私は歩みを進めた。そして、私の後に続くように3人も歩みを始める。

 聖夜前災(せいやぜんさい)から引きずってきた呪いを、今度こそ、ここで、すべて断ち切ってやる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ