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魔王ちゃまだって怒りはする

何とかして勝ちを得たい悪役の『魔王ちゃま』は主人公の『勇者様』と友達になることにした!


九尾、九尾…九尾!!


頭の中で何回九尾と唱えただろうか。何回怒りを放っただろうか。

あれから三日が経った。荒れた土地は八つ当たりのせいでより荒れ果てている。しかも水分不足で今にも死にそうな状況だ。倒れて力も出ない。それでも怒りは収まらなかった。


「九尾…!!」


声を振り絞った時、上から口元に水がジャバジャバと落ちてきた。


「…っ勇者!」


勇者が空になったコップを持ってたっていた。


魔王(おまえ)さ、怒ってんだろ?」

「当たり前だろ…!」

「でも、怒ってるのは九尾に対してなのか?」

「…?」

「狼男や吸血鬼、化け猫たちを守れなかった自分に対して怒ってんじゃねぇのかよ!!」


確かにそうかもしれない。言われて初めて気づいた。


「来いよ魔王。一つ助け出せる可能性がある!」


助け出せる可能性。確実では無さそうだから、期待なんてしてはいけない。だが、それでも喜ばざるを得なかった。

勇者について行くと、歩きながら勇者は口を開いた。


「『物の怪伝話』、あの話が実在するならば、もう一つ実在すべきものがある。『地獄物語』だ。」

「確かに、あの二つは“二大伝話”として有名だが、だからといって実在するとは限らないだろ」

「悪魔。」

「…?」

「九尾の中に、悪魔って奴がいたな。地獄物語第二章では主人公が悪魔に出会う様子が描写されている。」

「まさかあいつは地獄物語の世界の人間ってことか…!?」

「というより、この世界には二種類の世界が混ざってるってことだ。『物の怪伝話』と『地獄物語』。」


この世界自体が伝話の世界と同じということか…


「まさか………つまりどういうことだってばよ」

「『地獄物語』は第十章まであるはずだ。ただし、第七章で途切れている。これは作者が途中で伝話を書けないような体になってしまったかららしいが…」

「確か地獄に行った真相が分からずじまいだったんだよな?」

「そうだ。だから本人に聞きに行く。」

「ほ…本人って、お前知り合いなのかよ!」

「着いてくりゃわかる。」



「え、私!?」


歩いて来て、着いた場所はお供Bの家だった。不思議そうに見つめるBに勇者はいった。


「ああ、お前の妹に話を聞きたくてな。」

「…い…いいわよ。今度までに連絡しておくわね?」

「ありがとう。」


そう言い終わると、Bは勢いよく扉を閉めた。


「妹が作者なのか!?」

「ああ。そうだ。そうすりゃ話が聞ける!」


今回の勝負 不戦



まだ、終わりではなかった。何もかも。

赤黒い血の上に人が二人…

倒れるBの妹と、Bの姿が影でうつった。


「何で…あんたばっかり…!!」

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