第一話 旅立ち①
冒険と魔法の世界ワース、この世界の端っこにある小さな港町に住んでいる少年。彼こそがこの物語の主人公、ライムである。
「おいライム!次はこの酒樽を店の裏に置いてきてくれ」
「はい店長!」
酒場の主人から頼まれた仕事をせっせとこなす彼は先月13になったばかりである。
「店長!運び終わりました!」
「おう、あんがとさん。...今回は途中で樽を爆発させなかったな」
「...すいません」
「あ、いや責めるつもりじゃなかったんだ、真面目にお前が1ダース以内にミスをしなくなって成長したなと...」
「...」
そんな会話をしながら店を開く準備を進めて夕方に差し掛かる頃、海の方から鐘の音が響いてきた。
「帰ってきた!」
窓越しに海を見ると、大きな漁船から姿を現した男たちがこちらに向かって手を振っているのがわかった。
「よし!取り掛かるぞ!ライム、」
「はい!」
陸に上がった男たちは、命懸けで獲ってきた大量の魚のほとんどを工事へ運び、一部をライム逹のいる酒場へと運んだ。
「ご、ご注文を繰り返します!イーストサーモンのグリルが1点、デビル貝の唐揚げが1点、サニーマグロのステーキが1点、黒ビールが2点、青ビールが1点。以上でよろしかったでしょうか、」
「うい、おっけおっけ、」
仕事を終えた男たちはライム達の酒場で酒を飲み、食事をし、共に漁での栄誉を讃えていた。
「オーダー!サーモン、デビル、マグロ、黒、青2個、お願いしまーす!」
「はいよ!後これ、3番卓に持ってって」
「は、はい!」
「お、お待たせしました!」
「ん、後ビール追加ね〜」
「あはい!何色でしょうか!」
「えっと...とりあえず黒2と...あと赤3で」
「はい!ご注文繰り返します黒ビールが...」
「おーい!こっち注文頼む!」
「は、はいただいま」
「あ、あとこの皿下げてもらえる」
「あ、あとはい!」
「戻りました!」
「ライム、悪いが料理が溜まってる、4番卓にこれを、2番と5番にこれ、こっちがチーズ抜きな」
「...はい!」
「あっああ、おま、お待たせしました、...えと...エビです...」
「ライム!正式名称!」
「はっ、ビーストシュリンプの...えっと...」
「どうした?」
「あの、えと」
「おーい、こっち注文頼む、」
「は、はいただい」
「おいこれチーズ入ってねーぞー」
「はえす、すいません!」
「あー多分これと間違えてんな、俺チーズ食えねぇつったのに入ってるからよぉ」
「あ、すっ...大変申し訳ありません!すぐお取り換えを!」
───バリン!
...
......
店中の人が音のした方を見ると、固まったまま動かないライムと、無惨にも床に散らばったガーリックビーストシュリンプのアーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノチーズ添えがそこにあった。