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月下さんとの会話シーン中編です。
「1ヶ月後の6月16日で…お願いします。」
「分かりました。それではこの書類に再度お名前と年
齢、住所と電話番号、そしてお間違えのないように
慎重に予約日をお書きください。」
見てるこちら側までもが痛さを感じてしまいそうな傷だらけの手でペンを動かしている。目に入れないようにしていてもどうしても視線がそこに向いていく。数秒間の沈黙の後、お客様が書き終えたのを確認し口を開く。
「ありがとうございます。では確認いたしますね。お
名前は月下 香さん。年齢は――――――」
「全部間違いないです。だ、大丈夫です。」
「最後に薬の分量調整のために採血を行いますので、
ここから向かって右の突き当たりの採血室に進んで
ください。準備が出来次第またお呼びします。」
「分かりました…。ありがとうございます。」
あのお客様の容姿に驚きと疑問で頭の7割が埋めつくされていたなと思った。今日に至るまで何人もの似た人は見てきたが、あのレベルになると2年半というキャリアでは滅多に見ない。心配といえば心配だが、さほど気にしていないというのも事実。人の不幸にはあまり興味が沸かないので、薄情なやつだとたまに言われることもある。人の不幸は蜜の味とよく詠われるが私にはそういった趣味はもちあわせていない。苦手な人に対しても、変わらず感想は何一つ出てこない。そういう性格の私だが、他人の幸せを願うことは出来る。予約日まで幸せに過ごせますように。あまり感情を込めずに流れるように思う。
『受付番号5番の方、受付番号5番の方』
次のお客様がこちらに向かって歩いてくる。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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