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空の旅

 翌朝、辰巳たちは原っぱに集合していた。


「ほぉ、これが昨日ユノウ殿の申していた、ヘリコプターというものか。大陸に伝わる伝説の乗り物とのことだが、随分と面妖めんような姿をしておるな」


「大陸には空を飛ぶ秘術があるなんていう噂を聞いたことがあったが、もしかしてこれのことなのか?」


 初めて見るヘリコプターに興味津々な吉右衛門と仁に対し、奈々は明らかに不安そうな顔をしている。


「……ユノウさん、どうしても、空を飛んでいかないとダメなんですか?」


「昨日も言ったけど、これが一番早く安全に行ける方法なの」


 辰巳とユノウが急遽提案したヘリコプターでの移動は、当然ながらすんなりとは受け入れられなかった。


 特に難色を示したのは奈々で、頑なに馬車での移動を主張して譲らなかったが、結局は圧倒的なスピード差や、飛ぶことによる襲撃リスクの回避などを説明され、しぶしぶヘリコプターでの移動を受け入れた。


 ちなみに、奈々は高所恐怖症である。


「はぁ……」


 奈々は大きなため息を吐くと、諦めたようにヘリコプターへ乗り込んだ。


「ほら、そこの二人も早く乗ってください。他はみんな乗ったんですから」


 ユノウは吉右衛門と仁が乗り込むのを見た後、忘れ物などがないかしっかりと確認してから乗り込んだ。


「チェック完了、出していいよ」


「オーケー」


 ヘリコプターは扉を閉めてエンジンを始動、小田原へ向けて河越を飛び立った。




「これは愉快だ。まるで鳥になったようだな」


 吉右衛門は子供のように窓にかじりついている。


「奈々ちゃん、大丈夫だからさ、ちょっと外見てみない?」


「見ません」


 奈々はユノウの腕をしっかりと掴み、外の風景が視界に入ってこないように顔を下に向けている。


「方向はこっちで合ってるかい?」


 ヘリコプターは辰巳に進路の確認をした。


「ちょっと待って。えっと、あの村みたいなところがたぶん所沢……だよね?」


 辰巳は地図と方位磁針をチェックしたうえで、夏に確認した。


「はい、所沢です」


 地理不案内の辰巳を補佐するため、夏はコックピットに乗り込んでいた。


 本来ならば奈々が担うべき役割なのだが、当人が頑なに拒んだので、夏が代わりを務めていたのだ。


「ありがとう。うん、こっちで大丈夫」


「オーケー」


 ヘリコプターはそのまま相模湾へと飛び、そこから海岸線沿いに小田原へと向かった。

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