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魔王の恋人  作者: つきG
4/9

【4】天使のボヤキ

作中に「馬鹿」という言葉を使いましたが、小説だと結構文面から破壊力あるなあ、とちょっと反省。

とはいっても置き換えができず、モヤられましたらごめんなさい。

主にアウロラが話し、アスタリオスが現実的な補足をする。

神様に会って今回の話を決めてきた、というアウロラの体験談は二人の心の天秤を傾けてくれたようだ。

さらにランベール夫妻は、夫婦の片方の命の終わりが近いという状況にもいたく同情してくれた。

仲の良い夫婦なのだろう。見送る立場のアスタリオスの辛さをよく理解してくれた。

だが、まだ見ぬ生まれてくるはずの娘の伴侶が27も年上というシチュエーションには難色を示した。


「逃亡生活になるんですよね・・・・」どうしてやったらいいものか、とドリアン=ランベールが唸る。

「結婚後も会えるのでしょうか?」とリモーネ夫人が不安そうに尋ねる。


もう娘を生むのは決定事項になったようだ。

さて、夫妻に与えられるギフトなど交渉に入ろうとしたとき、


「あ」


時間切れである。

魔王のセンサーが光の御子がこちらに向かって移動を始めたことを感知した。


「手紙書きます」


バタバタと立ち上がり、屋敷を後にする。

ランベール領だけを特定されないよう、隣接する領など、国境付近をウロウロしながら逃げる。


「しつこい」


どうも光の御子のセンサーがアウロラにまとわりついてとれないようだ。

ふと、アウロラが目を閉じて、うつむいた。

黙って10秒も経っただろうか、目をぱっと開けて「オッケー」と微笑んだ。


「大丈夫なの?」

「神様に頼んだ」


楽しそうに言う。


「助けてーって。そしたらオッケーって返ってきた。」


さいですか。この世ってどうなってんの?有難いのだけど、いままで苦労して色々やってきたのがバカみたいに思えるのはわたしだけ?

パンパンと自身を手ではたく動作をすると、ケロリとした顔で言う。


「うん、もう大丈夫。何か食べて帰る?」


                     *


光の御子、ことルミナス王子は焦れていた。

とんでもない魔力量を感知したのだ。


(魔王?)


1体倒せば、周辺の魔物の害は激減する。

ぜひとも駆逐しておきたい案件にもかかわらず、馬に乗って一直線に向かおうとする彼の背中に待ったがかかる。


「退位するから、あとヨロシク」


突然の現国王の爆弾発言に、王宮は上を下への大騒ぎである。


「成人した息子が二人もいるし、王太子にも子供がいるんだから、もう退位する!」


決心の固い父親をなんとか説き伏せ、希望の半年後から1年後に伸ばしてもらった。

まあ、国王の急逝での即位なんてこんなものではないから、楽な方かもしれないが、ルミナスもそれに合わせて臣下に降る予定でいたし、にもかかわらず王子時代より仕事は増えるし、散々である。

・・・・・魔王討伐どころではない。


(まあ、おとなしくしてるようだし?)


本来の業務が後回しになるとか、元天使としてストレスのかかる日々が始まった。


(こんなときアイツがいたら。)


忙しい時に限って、やらなくてもいいことを一生懸命やった挙句、ドヤ顔で報告に来る奴が出る。しかも本気でやってほしくない仕事だったりするとゲンナリするが、当人はなぜ評価されないのか、不満気だ。


(ああ、やったらいけないこともわからないのか。)


馬鹿って自分の馬鹿さ加減に永遠に気付かないから馬鹿っていうんだよな・・・・。

その点、アスタリオスはデキブツだった。

ほんの出来心で自分の身代わりをさせてみれば、予想以上の成果を上げてくる。

さすがに無茶だろうとは思ったが、最低でも生きて帰ってくればいいと思って、やらせてみた案件をヒイハア言いながらも


「終わりました・・・・。」


と片付けてきたときはコイツと出会えたことを神に感謝したものだ。

いないものは仕方ないが、失ったもののなかで、アスタリオスだけは思い返すと惜しいことをしたと悔恨の念にさいなまれる。



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