表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

週間ランキング10位圏内

同居している男装女子が最近女の子らしくなってきたんだが好きな奴でもできたのか?

作者: 蹴神ミコト

現実恋愛の日間1位、週間3位ありがとうございます!



 同居している男装女子が最近可愛くなってきた。



 たまたま大学の合格発表の日、俺達はどちらも一人で合格したかを見に来ていた。お互いに合格して喜んでいたら意気投合して焼肉を食べに行き、趣味が一緒。出身も同じ海沿い。話が弾んでお互いに親友認定した俺達はルームシェアで住居を探した。



「俺は綾小路晴彦あやのこうじはるひこだ、よろしくな親友!」

「ボクは水無月古都みなづきこと!よろしくね親友!」



 古都。彼女の身長は俺より15cmほど低くて女の子にしてはかなり短めの黒い髪、ボーイッシュというよりは男装と呼ぶくらいガチガチに男物で固めた服を着ている中性的な女の子だった。

 初対面で親友と思えるくらい仲良くなっても、初対面の相手との同居なんて普通ならありえないだろう。なぜ俺は同居を決意したのか?



 レトロゲーの通信協力を常時できる環境に目が眩んだのだ。

 相手が女の子と分かっていて同居生活が色々大変なんじゃないかと一瞬頭をよぎったが抗えなかった…レトロゲーガチ勢仲間に出会えただけでも奇跡なのに20年以上前のローカル通信しかできないゲームもルームシェアならずっと遊び放題とか最高かよ!そう、俺と彼女はレトロゲームが大好きなのだ。異性と同居してでも遊び尽くしたいくらいに!

 一目見て可愛い子だと思ったが俺は決してこの同士を邪な目で見ないようにと決意をした。





 レトロゲー尽くしの共同生活はとても楽しい。大学、バイト、それ以外は全てレトロゲーム。そんな日々を俺たちは過ごした。過ごすうちにだんだんとお互いの事を知っていったが同居相手には一つ変わった趣味?があった。


 一緒に暮らす古都は男っぽい服装や言動を好むのだが…なぜか古都は男扱いされることを望んでいる。体と心の性別が違うのか?それとも男扱いされるのが好きなのか?深く踏み込んではいけないと思い、俺は何も聞かずに古都を男として扱ってきた。

 なんだっていいじゃないか古都が俺の親友なのは変わらないんだから。




 そんな古都が最近妙に可愛くなってきた。

 上手く言えない、本当に些細な事なんだが…物を渡してくるときにポイっと雑に渡してきたのが「ん」と控えめに突き出してくるというか…部屋の小物が可愛い系になってきたような気がしたり本当に些細な事なんだが可愛くなってきたように感じる。


 容姿だけじゃなく些細な事まで可愛くなってきた古都に、ある日言われた。



「ねえ晴彦、実はボクには秘密があるんだ。鈍い君は気づかないけど秘密があることは覚えていてね」



 秘密…最近可愛くなってきたことに関係があるんだろうか?



 もしかすると性同一性障害疑惑や男扱いされたがる事の話か?

 …いや、違うな。俺が鈍くて気づかない秘密だと古都は言った。俺が考えれば分かる程度の秘密のはずだ。もしや好きな奴でもできたとか?無いな、だったら俺との同居なんて破局の原因でしか無い。


 駄目だ全然わからん!とりあえず今まで通り接しよう。






 無理。今まで通りとか無理。


 何をトチ狂ったのか古都は部屋着をタンクトップにした。

 お世辞にも女の子らしい凹凸のある体とは言えないが線の細さはよくわかる、正直ドキドキするが顔に出すわけにもいかない。あくまでも男として扱ってやるのが親友ってもんだろう。



 そしたら次は手料理が家庭的になった。

 お互いに野郎飯って感じの料理を作っていたはずなのに古都は肉じゃがや味噌汁を初めとした母の味のレパートリーにありそうなメニューばかり作るようになった。

 とても美味しかったので素直に美味しいと伝えたら「毎日食べたい?」って聞かれたので毎日食べたいと言ったら食事は古都が全て作ると言い出した。さすがに申し訳ないので断ったらむくれてしまってそんな顔も可愛かったが女の子扱いして関係が崩れたら困る。


 レトロゲー生活を通してどんどん心を許しあってしまっていた俺はもう古都と離れることなんて考えられなかったので関係を拗らせたくなかったから頑張って古都を男として扱った。



 そんな古都の。女の子を意識させてくる生活を乗り切っていたのだがついに古都は風呂上りに上半身半裸で俺の前でくつろぎ始めた。



「は、晴彦!お風呂空いたから入ってきなよ!ボクは暑いからしばらく、このままでいいかなっ!」



 堂々としようとしているがぎこちなさすぎる。体が赤いのはともかく顔が赤いのは茹ったせいだけではないだろう。さすがにこれは話を聞くべきだ。

 これから使おうとしていた俺のバスタオルを古都にかけてやって裸を隠してから話かけた。



「古都、さすがにそれはやりすぎだ。どうしたんだ?何があった?」

「晴彦がいつまでたってもボクの秘密に気づいてくれないのが悪いんだろ!!」



 一応、俺が好きって可能性も考えたけど今回の半裸でその可能性消し飛んだのでマジでわからん。好きな人の前で風呂上りに堂々と半裸とかやらないだろうし普通。

 それにしても俺が気づかないことがここまで精神的に追い詰めることになるとは…



「古都にこんなことをさせるまで秘密に気づけなくてごめんな。でも俺は本当に秘密がなんなのか分からないんだごめん。どんな内容でも受け入れるから答えを教えてくれないか?」


「…ボクは女の子だ」

「おう。出会った時からそれは知ってる。それで秘密は?」

「…えっ」

「古都が男扱いされたがっていたから見て見ぬふりしてたけど女の子としての古都が関わる秘密なんだろ?秘密って?」


 赤くなったり神妙になったりした古都の顔が、固まったり引きつったりになった。


「う、うぁ…晴彦? ボクが女だって気づいてた??」

「どうやって古都みたいに可愛い子を女じゃないなんて思うんだ?無理だろ?それで秘密って?ここまで古都がヤケになって半裸にまでなった秘密ってなんだ?」



 大丈夫だ安心しろ。俺はどんな秘密でも受け止めてやる。古都のことを大切な親友だと思っているから。どんな秘密でも俺は古都から離れたりなんてしない。安心させるために言葉に詰まった古都にそんな言葉をたくさんかけてやった。



「…晴彦、ごめん…本当にごめんね…秘密ってのは、その…ボクは女の子でしたーって内容で…」

「うん、それは知っている。それで秘密って?」

「女の子って気づかれてないと思ったんだよ悪かったなぁぁぁああ!!」



 めっちゃキレられた。痛い痛い暴れるな、上に掛けてやったバスタオルが落ち、あーあ



 なんとかなだめて、どうして男だと思われるように今まで振舞っていたのか(全くできて無かったけど)聞き出した。



「ボク、中3の時にネトゲのオフ会で変質者に付きまとわれてなるべく男として振舞っていたんだ…ネット環境の無いレトロゲームにハマったのもそのころからで…」

「それでなんで男の俺と同居になるんだよ」


「レトロゲームにハマったら同士になかなか出会えなくて、でも通信プレイやり放題環境って選択肢が突然出てきて…欲望に負けました」

「古都…」

「そんな残念な子を見る目で見ないでぇええ!」



 いや古都の可愛さを男装程度で誤魔化せると思ってた時点で残念だし。男を警戒していたのに会った初日に同居を決めるのも残念だし。ずっと一緒に暮らしている俺が気づいて無いと思い込んでキレるのも残念だし…ん?



「そういや古都。どうしてそんな過去があって俺に自分は女の子だってアピールを始めたんだ?」

「……き、だから。好きな相手に女の子とすら気づかれてない生活が辛かったから…」

「まあ、実際には気を使って男扱いしていただけなんだけど…古都さぁ…」

「だからもう!残念な子を見る目で見るなぁああ!!」



 離れるとか考えられなかった相手に好きって言われたら、男ならちゃんと俺の気持ちも伝えないとな。



「あんまりにも残念で心配だから俺で良ければずっと隣で見守っていてもいいか?」

「もうちょっと、もうちょっと雰囲気のいい告白が欲しかったよ…」


 残念な子への残念な告白になってしまったけど、残念そうにOKもらえて良かったです。

残念な娘も可愛いよね


全6話の連載版です。

連載はとても苦手だけどできるようになりたいのでがんばりました。短編より甘さ重視にしたよ。

https://ncode.syosetu.com/n7310hi/

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] これは素晴らしい よくできてるわー
[良い点] 初々しくて、続きが気になります。秘密は、『好きなこと』だと思って読んでたので、その以前の秘密とは思って見なかったです。 [気になる点] 異性で同居の設定。レトロゲームだけで決められるかなぁ…
[一言] すごく良かったです!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ