第一話 伝説の始まり
初投稿。
ここは川のそばにある小さな村だ。
日も暮れ始め、心地よい風が吹いている。
「じいちゃん、僕倉庫から薪とってくるよ!」
「ああ、ありがとう。気を付けるんだぞ」
家の裏手にある倉庫へと向かう少年の名はトール。
生まれて7年、とても優しい祖父母に大切に育てられている。
「じいちゃん、薪取ってきたよ!」
「ありがとう。ケガはないか?」
「当たり前だよもう。7歳になったんだから!」
「そうかそうか、さすがだなトール」
じいちゃんと呼ばれているのはこの村の村長・ロベルト。
祖母は病気でベッドからほとんど動けないため、日頃から孫のトールがロベルトの手伝いをしている。
そんな日常だったが、外が何やら騒がしい。
「ねえ、あれ見て!!!」
「すっげえ!」「デカいなあ」
村人たちは興奮したように騒いでいる。
トールとロベルトも騒ぎに釣られて外に出て空を見上げる。
「すっげえ!! じいちゃん、あれは何!?」
「あれは飛行船だよ。国の紋章は無いからどこかの冒険家の船だろう」
「冒険家!? 『勇者の冒険』に出てくるあの冒険家のこと?」
「そうだよ。あれだけ大きいのは名のある冒険家かもなあ」
「ほんと? 冒険の話聞きたいなあ」
飛行船からは停泊申請のサインが出ている。
どうやらこの村に停泊するようだ。
日が完全に落ちた夜の村長宅。
村の大人たちと冒険家たちは宴会をしていた。
「ってことは、兄ちゃんたちは≪証を持つものマーカー≫冒険家なのか!?」
「ああ、まあそうなるな。」
「めちゃくちゃすげえじゃねえか! なんたってあの大迷宮を制覇したんだろ? これは100年ぶりの勇者復活か!?」
「ははっ。そんな大げさな。まだ2つだけだよ。」
この世界には7つの大迷宮と無数の迷宮が存在する。
その中でも大迷宮を制覇したパーティにはそれぞれの手の甲に≪証≫と呼ばれる印が刻まれる。
その証が刻まれた人は≪証を持つものマーカー≫と呼ばれ、信用と尊敬を集めるステータスとなる。
バタンと扉の音がする。
物心ついたころから冒険家に興味津々なトールが宴会場に入ってきてしまったようだ。
「あっ、おい。待て! 子供はもう部屋で寝てろ!」
「やだねーだ。ねえ、じいちゃん、いいでしょ? 少しだけ!」
「うーむ、じゃあ少しだけだぞ」
「やったあ!!」
村人のソニックは呆れながら言う。
「村長……トールに甘すぎですよ……」
「す、すまんな」
トールは冒険家のほうへ近づいていく。
「ねえねえ、僕にも冒険の話聞かせてよ!!」
「そうだなあ。君、名前は?」
「僕はトール! よろしく!」
「そうか。トール、俺はカイルだ。よろしくな!」
新・勇者の伝説はここから始まった。
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