-自重しろって言うけどさせてくれないの間違いでは?学園入学編Ⅳ-
1日目の学園内はあと少し…あと少しなんだ…!
「さて、移動を開始するぞ」
1クラス単位で移動する…訓練場に着いて、客席へ…
外の広い訓練場…というか試合会場ともとれる場所。
全員が着席し、5分後に教師と思われる二人が入ってくる…
背中には翼が…黒と白…
「〈炎〉!」
「〈水〉!」
初級魔法を打ち合って互いに消しあう。
一応使う術は初級までと決めてあったんだろうな…
打ち合い手数が増え、その場から動かずに対処していく…
元から自身に≪魔力の盾≫が張られているのでケガの心配はないのだろう…
軌道は必ず反れている。
「初級クラスでも、この手数となればそれなりの脅威になる…初歩は大事だぞ」
「魔法でやれるので強いのは範囲魔法だろ?」
「魔力の確保、詠唱の有無、まずそういうのは時間が掛かる…初歩のあの手数の方が有利な事も多い…
確かに使えることに利点はあるが、範囲魔法を喜々として使う奴は………いらっしゃるが普通いない」
「「「居るんだ」」」
全員で呆れたように居ることを確認した。
範囲魔法は上級スキルの更に上、特級スキル…簡単に使える物ではない。
魔力消費量も桁違いだ。
「普通無理だ…神柱様が範囲魔法を多用することは聞いたことがあるが…まず規格外と覚えておけ」
教師が思い出したのは神柱様…
ウィザードの頂点だ。
それは流石に真似できるものではない…
ウィザード系の授業風景…初めての授業は魔法を見ること。
打ち合いはそこそこに終わり、魔法で出来る応用…
土魔法による建築補助や風魔法による救助…
戦闘だけではない。
魔法の技術は生活に役立つことを教えている…
それだけでも目を輝かせる生徒は居た…後は適正だ。
ウィザード系を見終わった後はシギル系…
今回はシールドクラスの防御を見る…ソードクラスの重さのある攻撃に盾一つで耐えていたりするが
ソードクラスの見せ場ともいえる、ノックバックが時々出ている。
硬さと重さ。
見ている男子生徒の殆どがどちら側のクラスにも惹かれている…豪快なスタイルは確かに華がある…
剣での攻防は休まず30分ほど続いた…剣で魅せる。それも騎士だ。
次の授業はストライダークラス…
速さ、手数の多さのファイター同士の殴り合い。
変則的にファイターがダガーを持って互いに防ぎながらの素早い攻防戦も見れる…
重さでなく手数で魅せる…そして躱すのも一流だ…
速さが売りのクラスであり、その戦いは俺達から見て右の壁から天井、左の壁までへと一瞬に行われる…
とにかく早い…目で追えない生徒は口をポカンと開けていた。
同じストライダークラスのボウ…
ロングレンジの弓を使い外の広い演習場で打っていく…
遠くの的はほぼ見えないような遠さだが、上がると色のついた煙が上がる…的に粉が付いていて、当たったことがわかるたびに見えない長さを打ち抜いている精密さに驚きを皆隠せなかった。
そしてストライダーとウィザードの複合と言われる銃。ガンクラス…
詠唱や魔法を直接打ち出すのが苦手だが魔法適正が高い者がなる場合が多い…
それは先ほどみたウィザード系の打ち合いに匹敵し、さらにファイター同士の攻防で見た素早さを兼ね備えている…
「魔法媒体…?」
「基本はな…だが自分で詠唱できるものは詠唱省略可や距離を補うのに使う場合も多い…
このクラスは研究者が多いところでもある…
弾丸に魔方式を込める場合もあり、その魔法構築を研究する者とかな。」
流石に魔法媒体の武器全体を知っておらず、興味を持つ。
指向性の武器であればロッドやオーブなどは見た事あるが…
魔法式…か…自分で覚えたいと感じた。
最後にクレリック系…
これは生徒全員、地獄を見た。
まず素の状態で走らされる…全速力で。
疲労したとこからキュアクラスが片っ端から疲労回復させてくる…
それはもう永遠に。休めない。
更にそこにバッファーが素早さのバフや身軽さなどを乗せてきて、生徒は全力で空へ跳べと命令され…
そして今までにない跳躍。
それはもう天井に当たり落ちてくるまでが一連の動作といわんばかりにぶち当たる生徒が続出。
そして回復させられる。
痛みを伴う内容にほぼ全員泣いた。
ついでに俺は回復一度も無しで先生に怒られた…本気でやれ。と
「本気でやって、いいんで?」
「もちろん!そしてケガしてキュアのありがたさをわかりなさい!」
上から目線だなぁ…と思いつつ………
「先生、本気でやって、本当にいいんで?」
唯一自分のLvを知っている担任に本当にいいのか聞く…
担任が近づいてきて小声で…
「お前が本気でやるとどうなる?」
「……まず天井に穴が開きます」
「ングッ…流石に…な…」
「でもこの人納得させるのは…」
「んー…」
二人で悩む…どうやって納得させようか。
「早くしなさい!!」
仁王立ちでイライラしているキュア教官…これは小さくともケガするまで引かないか…
「……どんなケガでも治す自信があるんですよね?」
「もちろんです!」
「じゃぁ今から腕切るんで治してください」
「ええ、それぐらいもちろっ…は!?」
俺はそのまま空間収納からロングソードを出す…
そのロングソードを右手でもち、上に掲げ、左腕を前に伸ばす…
「ちょ、ちょちょちょ!?」
「「キャーッ!?」」
キュア教官が大慌てするなかロングソードの重さをそのまま利用し振り下ろし…
「ッ…?」
「はぁッ…ハァッ…はぁ…あー…暴走しない、OK?」
「?キュアのありがたさ知るために普通では?」
「「「「「普通じゃない!!」」」」」
俺のロングソードを止めたのは神柱、リアティエルと神柱、ネザゼル…
リアティエルは俺を後ろから抱きかかえるように、ネザゼルはロングソードを片手で掴んでいた。
「な、なんでそんな…普通に…そんなことする…の…」
キュア教官が震えながらヘナヘナと座り込んだ。
泣きそうになってる。
「?いえ、母がキュアなので、ありがたさ知るために父が腕をスパンとやって回復させていましたから…」
「「「どんな両親だそりゃ!?」」」
教師たちが大声で否定する中、神柱二人は空笑いしている。
「ひとまず、規格外なキュアの元で育っていた、ということだろう…
ありがたさはよくわかっているだろ。」
「そうね、これ以上この子にケガしろーなんて言ったらダメよ、やりすぎそうだから」
「「「ハイッ!!」」」
神柱二人は教師たちに言い聞かせる…
「貴方も、自虐はやめなさい…『力セーブするのはいいけど、ほどほどに周りに合わせなさい』」
「わかりました…お手数おかけしました」
耳打ちされる…とりあえず謝って元の授業へと戻る。
「さて、皆はこれで職種を見たわけだ…最も、細かい職種はまだある…」
「希少性が高いけど、≪守護者≫なんて職種は最も希少価値が高く、そして優遇されるわね…」
「帝都や戦地などで絶対的な種族防御を持った者は神柱と同じ扱いにもされるほど希少…」
「それしか使えない、という欠点はあれど、とてもためになる…
ただ、Lvが学校卒業基準ぐらいまで上がらないとわからないから、それまで頑張っていきましょう…
ま、途中で気づく場合の方が多いけどね?」
この説明は神柱が説明した。
頑張ること…でも力が発現しなくても落ち込むなという内容…
「では教室に戻ってクラスで自分の目標を語ってもらおう」
教室に戻るために歩き出す…目標を語る…か…
『ダメ』
教室に着いて来ようとした神柱二人を俺はジッと見て、流石に…と思い、を刺しておいた。
口パクで言ったらピタっと止まったので大丈夫だろう…
先が思いやられる…………。