黒いサンタ
「テルくん買い物して帰ろうねー」
「うん!お菓子買ってー」
「いいよー」
街にはサンタクロースが様々な看板を持って宣伝をしている
この中には黒いサンタクロースなんて一人もいない
「テルくんサンタさんいっぱいだねー」
「うんー!」
「テルくんはどんなものお願いしたのー?」
「だから!教えないの!」
テルくんが怒って走って行ってしまった
「え、テルくーん
待ってよー」
ほー、ほー、ほー、ほー、
テルくんは角を曲がってしまった
私も追いかけ角を曲がった
あれ?いないどこだ?
「テルくーん、テルーくーん」
声をかけても返事がない
ほー、ほー、ほー、ほー
なんの鳴き声なの?気味が悪い
「痛い、ちょっと冷えたかな」
妊娠中のお腹を擦った
テルくん、お願い戻ってきて
心の中でそう思うと
肩をポンポンっと叩かれた振り向くとテルくんだった
「テルくーん、心配しちゃった
ママお腹痛くなってきたから早く帰ろ?」
「うん、ごめんねサンタさんに呼ばれたけど戻ってきた」
テルくんの手が真っ黒に汚れている
「どうしたの手?」
「サンタさんの手が汚れてるんだもん」
「黒いサンタさん?」
テルくんは頷いた
辺りを見渡しても誰もいない
「ねぇ、テルくん知らない人にはついてっちゃダメだよ
怖いよ、ママ心配したでしょ?」
「ごめんねママ
でもサンタさん僕を連れてこうとしてるよ」