[ランキングタグを使って小説を書いてみた]ドロフォー・クエスト
本文とランキングタグを合わせて一つの作品となっております。
世界観はドラ○エ、ストーリーはムダ○モ、登場するゲームはUN○をパク……アレンジしております。
最後まで読んでもらえると嬉しいです。
*人間と魔物たちの 長年にわたる争いは 人間側の勝利で 幕を閉じた。
*道拓く者たち と呼ばれる 8人の英雄が 激闘の末に 魔王を討ったとき 人々は平和が この世にもたらされたと 信じたのであった。
*その時の熱狂も 5年もすれば ひとまず落ち着きを見せ 大規模な争いにより 疲弊しきっていた街も 段々と活気を 取り戻しつつある。
*そして 今日は 2つの大国の トップに座する人物 モンドール国王と バトライア国王の 2人による会談が 開かれていた……
「いやー、これほど街の中がやかましいのは久々だな」
国王会談を受けて人々がごった返すモンドール。その街道の脇に建つ道具屋。道にせり出したカウンターに腰を据えた僕がボソリとつぶやくと、1人の女性が人混みをかき分けてこちらの方にやってくる。
「すみません、千里眼の草はありませんか?」
聞かれるのはこれで4回目ぐらいになるな。僕はさも残念そうにかぶりを振って、話しかけてきた女性に言葉を返す。
「ごめんなさい。千里眼の草は現在品切れになってます」
「そうですか……残念です。せっかく勇者様がこの街に来ているのに、この人混みじゃあよく見えないもので」
がっくりと肩を落とす女性を見ると申し訳ない気持ちになるが、無いものを売ることはできないし仕方ないや。
飲むことで遠くまで見渡せるようになる薬草『千里眼の草』は、こうなることを見越していた人達がこぞって買いに来たため、昨日の時点で売り切れてしまっていた。
落胆してトボトボと来た道を引き返していった女性を見送り、懐中時計を取り出して時間を確認していると、不意に街道の方から大歓声が聞こえてくる。
人混みのせいでよく見えないけれど、時間的にも国王様が凱旋をしているんだろうな。そしておそらく勇者様もその凱旋に付き添っているのだ。
「やっぱりすごい人気だよな、勇者様は……」
歓声の源がどんどんこちらに近づいてくるに従って、自然とそんな言葉が口から漏れてしまった。
今回の会談において、2人の国王様の護衛を務めているのが、道拓く者たちのリーダーにして魔王討伐を成し遂げた人物。
「セロさまー!」
「こっち向いてーー!」
街道に群がっている人の多くは、国王様よりもむしろ勇者様のほうに惹かれているようだった。
王としての威厳は大丈夫なのかな……と思わなくもないが、どうやらその勇者様を従えているということで自らの権力をアピールしているみたいだ。
民衆からの人気を集めるのも国を治めるために必要なスキルの一つだよな、と、自分の中で納得する。
ちょうど今、国王様が店の前を通っているっぽい。国王様が乗っている馬車の屋根だけが、なんとか視界の端に映っている。
事前に公表されていたスケジュールによると、バトライア国王様はこの街で1泊していくらしい。今日はこのまま街一番の高級宿屋に向かうのだろう。
国の王が泊まる部屋ってどんな感じなんだろう、あの馬車は一体いくらぐらいするんだろう……などと考えていたが、その馬車の屋根が先ほどから全く動いていないことに気づいた。
「こちらが……の……です、……国王様、……」
なにかアクシデントでもあったのか、群衆からもどよめきが上がる。そしてこの店の前に集まっていた人たちがいきなり二手に分かれていった。
屋根だけしか見えていなかった馬車の側面や車輪が見え、護衛を務めている勇者様の横顔が目に入り、そしてきらびやかな衣装に身を包んだバトライア国王様がこちらに歩いてきている。
え? まさか国王様ともあろう人がこんな平凡な道具屋に用でもあるの?
ハハハ、冗談はやめてほしいですよ。カウンター越しにジロジロ見つめられても困りますって。冷やかしなら帰ってください……
「君がポプラくんかね?」
「えっ!?」
初対面のバトライア国王様に本名をピンポイントで当てられたぞ!?
「あ、あの、いらっしゃいません! 千里眼の草は売り切れております!」
何を買いに来たんだ! もし用意できなかったらモンドール国王様のメンツを潰すことにも繋がりかねないか!?
接客マニュアルの中に『王様が来店した場合』の項目はあったっけ!?
「君がポプラくんかと聞いている」
「はい! そうです!」
威圧感やばい。冷や汗やばい。笑顔で営業中? 笑顔ってなんだっけ?
今にもフリーズしそうな思考の中で、バトライア国王様の声が聞こえてきた。
「ふむ、やはりか。道拓く者が1人、トネリコは不在かね?」
「え、ええ。父はここしばらくダンジョンに潜っていまして」
「ほう、さすがは道拓く者。老いてなおその身を戦いにやつすとは素晴らしき心構えだ」
バトライア国王様の口から父さんの名前が出てきたことで、意識が現実へと引き戻される。
そういえば僕の父さんって道拓く者たちの1人だったっけ……あまりにも身近な存在すぎてしばしば忘れがちだけど。
なんにせよ、自慢の父さんを褒められて嬉しくないわけがない。ましてやその相手が大国の国王ともなれば、浮かれるなというほうが難しいだろう。
そんな僕の心境を知ってか、バトライア国王様は更に言葉を続けてくる。
「君に話がある。後で私の泊まる宿屋に来るように」
「えぇっ!?」
バトライア国王様から直々の名指し!?
いきなり話しかけられた時と同じ、いやそれ以上の衝撃が僕の体を貫く。
なんて返すのが正解なんだ、そもそもどういう用事なんだ。
「詳しいことはそこの兵士アルベルトにでも聞いてくれ。では」
「あ、あの!?」
引き止める間もなく、バトライア国王様は馬車の中に乗り込んで再び凱旋を始めてしまった。
未だに状況がつかめずボケッとしている僕に向かって、アルベルトと思われる兵士が話しかけてくる。
「うちの王様が泊まるのは、ホテル・モンドール。場所は……まあモンドール国民なら知ってるよな。日が沈む頃に来てくれ」
「は、はい。もう緊張してきた……胃薬草飲んでおこう」
早めに店を閉めるか、母さんに店番を譲るかと考えていると、まだ話が終わっていないのか兵士が気さくに会話を続けた。
「しかし、ちょっと盗み聞きしちまったが、オマエ道拓く者トネリコの息子なんだってな。やっぱりあの勇者様とも仲がいいのか?」
「僕は勇者様とは数回しか話したことないですけど。むしろ父さんのほうが一緒に旅している分、勇者様とは親密だと思いますよ」
「それもそうか、まあ、それで十分なのかな」
「何がですか?」
「なんでもないさ。国王様の伝言を忘れるなよ。あと、アモーレの水を貰おうか」
そういった兵士はボトルに入った天然水を購入すると、先に宿へと向かった国王様を追いかけるように来た道を戻っていった。