俺が風呂に入ったならばっ!②
えっと…ここはどこだ。目を開けるのも気だるい。なんだか後頭部にやわらかい感触がするぞ。
「うぅ…ん?」
うむ、心地いい手触りだ。これは…人の足だな。うん、太ももかな?…え?
「ん、人の…足?」
「あの…自分の足なんすけど…」
「うぉ!ごめん!」
寝ていた体制から一瞬で直立する。この反応速度…武術の才がこんなところで役立つとは思わなかったぜ…
「あの…大丈夫っすか?」
「ん…なにがあったんだっけ?」
「まあ…立ってないで座ってくださいっす。」
「お、おう。サンキュー。」
では失礼して…
「いやなんで自分の膝の上に座ってるんですか!?」
「おぉ!びっくりだ!なんで俺はお前の膝の上に座ってるんだ!?」
「こっちが聞いてるっす!」
なんでこんなところに手頃な椅子があるんだと思ったところだった。いい肌触りなんだがな。
「いや申し訳ない。どこに座ってもおんなじやおんなじやと思うて…」
「あの、何言ってるんすか?」
「で、なんだっけ。確かさっき風呂に入ってた気がするんだが…それで……そうだ!君の裸を見たんだった!」
「わ、わすれてくださいっす!自分の貧相な体なんて見ても面白くもないっす!」
「なにを言ってるんだ?良いからだしてるじゃあないか!俺は君のその小振りな胸がちょうどいいと宣言したい!高らかに叫びたいのだ!」
「なに恥ずかしい言ってるんすか!ぶん殴るっすよ!!」
「まてまて、そんな拳を握りしめるな。俺は喧嘩をしたいわけじゃないんだ。分かるだろ?」
「なんでそんなすっと落ち着けるんすか!?自分はお兄さんのこと嫌いになりそうっす!」
「そうか、俺は好きだ。俺はいまとても楽しいぞ?」
「い、意味分からないっす!!」
赤面しながら叫ぶ。そういえば自己紹介がまだだったな。
「そうだ、俺の名前は高梨駿河だ、よろしく頼む。」
「えー…自分はよろしくしたくないんすけど…まあいいっす…自分の名前はシエルっす。」
「シエルか…いい名前だな!ていうか、今さらだがなんで俺を介抱してくれてたんだ?」
「それは、自分のせいで駿河さんが気を失ったからっす。あまり気を使いたくないっすけど…大丈夫っすか?」
「あぁ!大丈夫だ!シエルが俺を膝枕してくれてたからな!」
「そうっすけど!わざわざ言葉にしないでくださいっす!恥ずかしいんすから!」
「なのに膝枕してくれたのか?優しいやつじゃないか!良い太ももしてたし…」
「そ、そんなことないっすけど…てゆーかなんで自分の足を揉んでたんすか!やっぱり意識があったんすね!?許せないっす!」
「まあまあ、落ち着けって。最高の触り心地だったぞ。」
「もう自分は部屋に戻るっす!」
「そうか?風呂に入る途中だったんじゃないのか?まあシエルはいい匂いがするから大丈夫か。」
「なに自分の匂いを嗅いでんすか!殺すっすよ!」
「お、受けてたつぜ。こいこい。」
「もう!自分は戻るっすよ!」
「おう、じゃあな。」
さてと、俺も部屋に戻るとするか。面白いやつに会えたな。可愛かったし…また会えるといいもんだ。ていうかこの世界の人は大概可愛い子が多いな。いやもちろんティアとかクロエはそのなかでもトップレベルだと思うが。
「ただいま~っと…」
「ん、おかえり。」
「お、起きてたのかティア。」
寝ぼけ眼を擦りながらティアが迎えに来てくれた。寝癖が軽くついてる。
「ティア、俺はもう寝るけどどうする?」
「ん…ティアも寝る。」
「よしよし…じゃあ布団に入ろうな。」
「ん…」
ダブルベッド、しっかり見るとかなりでかいな…。これは下手すればティアがあと2人は入りそうだ。
「よいしょっと…じゃあ、寝ようぜ。ティア」
「ん…あるじ」
「なんだ?」
そんなにじーっと俺を見つめて…照れるじゃないか。
「あるじ…他の女と……会ってきてる…」
「………」
なに!?なんでわかったのこの子!?見てたっ!?
「あるじ…すぐ女の人と会ってくる…」
「いや、それは違うんだ…待ってくれ。」
ティアと話してるといつも謝ってる気がするなぁ………
「あるじ…ティア、いらないこ?」
「それはない、絶対。」
何言ってるんだこの子は、そんなわけがないだろう。
「あるじ……ティアのこと好き?」
「お、おぅ、もちろんだ、俺はティアのこと好きだぞ?」
「ん……そう……ティアも…好き。」
なんだこの可愛い生き物?いつもの顔が赤く染まってるぞ?よし…抱き締めよう。
「ほら…寝ようぜティア、今日は疲れた。」
「ん…おやすみ…あるじ」
今日はほんとすごい日だったな…でも、俺のいた世界ではあり得ないことばっかりで楽しかったな。これからずっと俺はこの世界で生きていくのかな。それもまた良いのかな。
シエル!またヒロインみたいな子が出ましたね!というか今回は駿河さん暴れましたね。いや個人的に私としてはこういう感じのキャラでいてほしかったり!!