黒と白の刻
大変長らくお待たせしました!
土煙がネクロによって掻き消されたのと同時にリゼ達は虎白が居ないことに気づくのが遅れ隙が生まれた。その隙をネクロは見逃すことなく攻撃を仕掛けてきたのである。
「はっ⁉︎しまっ……」
「チッ……虎白が居ないだと⁉︎」
「虎白は何処に……それよりもネクロは⁉︎」
「皆さん気を付けて下さい。えっ⁉︎」
リゼ、ディノ、ネクサス、ミーファは防御態勢に入るのが遅れてしまった。それによりネクロの攻撃をまともにくらってしまってリゼ達は重傷を負うことになった。
「虎白ばかりに気を取れる程、貴様等に余裕などないはずだぞ。俺から目を離した時点でその隙を見逃す訳が無いだろう。貴様等はもう動けないはずだ。これでトドメを刺してやる。クロスブレッ……!」
ネクロがリゼ達にトドメを刺そうとしたその時、何者かの攻撃によって邪魔されたのだ。
「危うく皆んなを殺めてしまう所だったじゃなか……ネクロ。」
「こ、虎白。貴様、自我を取り戻したというのか。だが、遅かったな。かなり消耗しているように見えるぞ。ギリギリで自我を保っているようだな。」
それは土煙が消えた後に虎白は姿を消しリゼ達に攻撃を仕掛ける用に言われていたが攻撃放つまでの数秒で自我を辛うじて取り戻し攻撃をネクロに放ったのだ。
「虎白……助かったぜ……」
「今のネクロの一撃で体が言うことを聞かないよ。」
「チッ……たかが普通の攻撃でこのダメージかよ。」
「ネクロ……それに……虎白……」
ネクサス、リゼ、ディノ、ミーファは瀕死に近い状態になりながら辛うじて話せるくらいだ。
「み、皆んなはそこで休んでて!これは僕とネクロの問題だ。ネ、ネクロ。闇の力にいつまで飲まれてるんだよ。コントロールするじゃ無かったのか。例え解放して力に飲まれるかもしれないと言う賭けだったかもしれないけど僕はやっと自我を保つ事ができたよ。」
虎白がネクロに問いただす。
「今更己の闇の力に飲まれた以上戻る事はない。コイツらは後で始末する。まずは虎白!お前からだ。ダークブレット」
ネクロは魔剣に力を込め虎白に攻撃に出たのである。
「ガルゥ……流石にまだ声はネクロ自身に届かないか。やむを得ない……白虎雷峰」
闇堕ちネクロと自我を取り戻し覚醒した虎白はそこら辺のやつらじゃ到底勝てるはずのない死闘を繰り広げていた。そんな中でリゼ達は一歩も動けずにただ見守る事しか出来なかったのであった。そして死闘の末、立っているのはネクロであった。それもそのはず、自我を取り戻す為にそうとう消耗した虎白と万全のネクロではハンデがあり過ぎたからだ。
「ガルゥ……流石に僕も限界か……ネクロ……僕は君と会えて良かった。ここで僕が消えれば君は二度と闇の力をコントロールはできない……」
「消耗していたとは言え一時は互角に闘えていた事に驚いたが、最早これまでだ。ここにいる貴様等ごと消し去ってやる。魔剣よ。我が力に答えよ。」
「アイツまじかよ……あの一撃を放たれたら此処にいる皆んなが消えてしまう……」
「チッ……クソが……」
「ネクロ……止めて……」
「ネクロ……コントロールするじゃ無かったの……此処で旅が終わるなんてやだよ……」
虎白はネクロに敗れ倒れ、ネクサス、ディノ、ミーファ、リゼ達は身動き取れず、ネクロが魔剣に力を込め始めている。
「これで終わりだ。ブラックノヴァ……」
上に掲げた剣を振りかざそうとした時ネクロの動きが止まったのだ。
「こんな所で皆んなとの旅を終わらせてたまるかよ。」
どこからか声が聞こえて来たのである。それも皆んなが聞き覚えのある声なのだ。
「ガルゥ……皆の声が届いた……んだね……」
虎白はそう呟やき気を失った。
「こ、此処で終わらせるんだ。クソ……体が動かない!?」
「そうはさせない。俺が未熟者だったから己の闇の力に飲まれた。でも、今は違う。皆んなの声が闇の中の俺に届いたんだ。だから、俺はこんな所で皆んなを失う訳にはいかないんだっ!!」
闇堕ちしたネクロの中で自我を取り戻し闇の力に対抗し始めていたからネクロの攻撃が止まったのである。そして自我を取り戻したネクロは次第に闇の力を自分の物にしようとし闇堕ちしたネクロが光り輝き始めたのだ。その光は虎白、リゼ、ネクサス、ディノ、ミーファ達を包み込んだのだ。
「とても懐かしく暖かい光な気がするよ。」
「チッ……お前はいつも遅いんだよ。全く。」
「はぁ……なんだか落ち着くよ〜。」
「なんだか心地よい光だぜ。」
「……ガルゥ……この光は……コントロール出来たんだね。ネクロ!」
リゼは懐かしさを感じて、ディノは一言呟き、呆れた顔で笑い、ミーファは緩い感じで、ネクサスは気持ち良さそうにして居て、気を失っていた虎白が目を覚まし暖かい光に包まれて居るネクロを見て喜んでいた。
そして光に包まれた皆んなの傷はすっかり癒えていたのである。
「皆んな!俺が闇の力に飲まれたのが原因で重症を負わせてしまい、あげくは殺めてしまう所だった。すまない。だけど、もう大丈夫だ、完全にコントロールしてやったぜ。」
ネクロはそう言いながらいたずら笑顔で微笑んだ。
〜To be continued〜
次回41話から6章開幕です!