第2話
今回はチル兄さんの投稿キャラが登場します♪(但し名前だけ)
「フィ、フィールドボス・・・・・・」
ベルが呟く声がやけに大きく聞こえた。
「まさかフィールドボスが出てくるとはな。こいつはレベルアップのチャンスだぜ!」
強がってはみたものの額を流れる汗は隠せない。
俺は汗を拭うと剣を握る手に力を籠める。
「WSを喚ぶぞ!!」
WSは俺達プレイヤーの武器に宿った魂がプレイヤーのジョブと同じ姿で現れる約10メートル程のロボットだ。
例えば俺の場合は軽装の剣士で機体名はフェンサー、俺はレイズと呼んでいる。
召喚するとプレイヤーはWSのコクピットに移動する。
コクピットと言ってもレバーも無ければフットペダルも無い。
シートに座ると同時にWSとプレイヤーがリンクされプレイヤーの意識とWSが一つとなる。
早い話、WSがプレイヤーの身体になるという訳だ。
「う、うん!」
「初めてのWS戦だよ!」
「行くぜ!」
「「「 スピリットコール!サモン・WS!!」」」
俺達は自身のメインウェポンを掲げ武器に宿った魂を召喚する。
剣が忍刀が銃が輝き、俺達の身体を包み込み一際激しく輝く。
次の瞬間、俺は鋼の巨人と一つになっていた。
「うっわ〜♪すっごーい!本当にロボットになっちゃったー!」
手足を動かして楽しそうに言うリズヴェントを尻目に俺とベルはゴブリンのボスから目を放さない。
「ベル油断するなよ?」
「うん!」
WSとなった俺は腰に下がっている鞘から剣を引き抜くとゴブリンのボスに向けて構える。
「フェンサー・レイズ、行くぞ!」
「ニンジャブレード・ハンゾウ、参る!」
「ガンナー・リオ、いっくよー!」
俺達は武器を構えるとゴブリンのボスに向かって走り出すのだった。
「俺が前に出る!ハンゾウは中距離で、リオは後方で援護を頼む!」
「オッケーおにい!」
「援護は任せてよ!」
俺は二人にそう指示を出すとゴブリンのボスとの間合いを更に詰める。
ゴブリンのボスの武器は巨大な棍棒だ。
振り回す。降り下ろす。
それくらいしか攻撃方法は無いだろうし間合いさえ詰めればどうにかなると俺は思っていた。しかし、それは甘い考えだったと思い知らされるのはその直ぐ後だった。
『ゴギャアアアアアアッ!』
ゴブリンのボスは雄叫びを上げると何と手に持った棍棒を俺に向かって投げつけてきた。
「なっ!?」
加速していた俺はその棍棒を剣で凪ぎ払うが、目の前には既にゴブリンのボスが迫っていた。
「おにい!」
ハンゾウが叫び、腰に装備した短刀(メイン武器の忍刀ではない。WSを召喚するとアバターが装備していたサブ武器もWSサイズで装備されるのだ)を引き抜くとゴブリンのボス目掛けて投げるがゴブリンのボスはそれを避け俺に掴み掛かってくる。
「甘いよ。ギガントゴブリン」
リオが呟きながら拳銃から弾丸を発射する。
響いた爆音は一つ。しかし、放たれた弾丸はゴブリンのボスに3つの弾痕を作った。
『ゲガァァァァァッ!?』
苦悶の声を上げるゴブリンのボスの隙をつき俺は一太刀浴びせると距離を取る。
「リオ、ギガントゴブリンってのは?」
「コイツの名前だよ。WSのアイセンサーを起動させてコイツを見るとHPと一緒に出てるよ」
リオの言葉に俺はレイズのアイセンサーを起動してゴブリンのボスを見ると確かにゴブリンのボスのHPと名前が出ていた。
【ギガントゴブリン】25000/30000
「おー。便利便利」
ハンゾウが感嘆の声を上げる。
「リオ、良く知ってたな?」
「ん〜偶然だよ?色々と試してみてたら偶々アイセンサーが起動してね?そしたらHPと名前が出てたんだよ。多分WSでの戦闘はアイセンサーを起動してからというのが基本なんじゃないかな?」
成る程。リオの言う事にも一理ある。
しまったな。これはあの人に詳しく聞いとくべきだったな。
「おにい、おねえ知ってると思う?」
「キョウ姉なら知ってるだろ。俺も今詳しく聞いとくべきだったと思ってたとこだ」
キョウ姉はベルがWSOを俺に進めるきっかけになった人で、俺とベルの2つ上の幼馴染みでもある。
・・・・・・まあ、俺にとっちゃあ幼馴染みと言う以上に大切な人だ。
「しかし、あの銃撃はなんだ?一発の銃声しか聞こえんかったが?」
俺はリオに聞きながら未だに苦悶の声を上げるゴブリンのボス・・・・・・ギガントゴブリンに対し油断無く構えた。
「あぁ、あれね?速射っていう銃技の一つだよ。スキルレベルが上がると一発の銃声で全弾撃つことが出来るんだよ♪」
リオの声が楽しそうに弾んでいる。
リズヴェントの事だからアホのような、にへらとした顔をしているのだろう。
「さて、そろそろ攻撃するとしようか」
「うん!」
「ういうい♪」
俺の言葉にハンゾウとリオが頷き、俺達の攻撃が開始された。
戦いは俺達がWS戦が初めてだったのもあって熾烈と言っていい程だった。
ギガントゴブリンは俺達の攻撃を受けきると怒りに染まる瞳で睨み付け、俺達を凪ぎ払う。
俺が隙を狙って剣を振るえばリオとハンゾウが援護に走る。
ギガントゴブリンの大木のような腕が振るわれれば俺が弾き飛ばされフォローに回っていたリオを巻き込み大地に溝を作る。
ハンゾウが忍刀を振るい切り裂けばギガントゴブリンの体から緑色の血が溢れ出す。
そんな攻防を繰り返している内に俺達のHPもギガントゴブリンのHPも危うい所まで来ていた。
【ギガントゴブリン】200/30000
【フェンサー・レイズ】250/10000
【ニンジャブレード・ハンゾウ】5010/10000
【ガンナー・リオ】2320/10000
特に前衛の俺のHPがヤバい!
後一撃でも受ければ俺だけ死に戻りだ!
だが、奴も後一撃で倒せる。
こうなりゃ奴の攻撃が早いか俺の攻撃が早いかのスピード勝負だ!
「俺が行く!」
「おにい!」
「あ」
何か気になる返事が聞こえたが、俺は気にせずギガントゴブリンに向かって走り出す。
その瞬間。
『ゴガァァァ・・・・・・』
ギガントゴブリンは断末魔の声を残し消滅した。
「・・・・・・はい?」
「えっと(汗)」
「・・・・・・ごめん。撃っちゃった(汗)」
いや、リオの判断は間違ってはいないだろう。
後一撃で倒せる。しかし、前衛も後一撃で死に戻りなのだ。
なら、遠距離で仕止めるのが道理だ。
分かってはいるんだ。分かってはいるんだが、この身を包むこのやり場の無い怒りはどうすれば良いんだろう?
俺はギガントゴブリンが消滅した場所を見て只ぼけーっと立ち続けるのであった。
お気付きでしょうが、タイトルが微妙に変わっています。
今までのが仮、これが正式タイトルと思ってください。
以前の活報で第2話にレフェルさん・GAUさん・チル兄さん・秋雨さんの投稿キャラが出ると言いましたが、話数を作者が勘違いしました。
正確には第3話に出ます。
申し訳ありません。
上記の作者様方は今少しお待ち下さい。