プロローグ
百雲の塔最上階
そこで、世界を命運する戦いが行われていた
仲間が3人も死んだ。
だが、逃げることは許されない。
例え刺し違えてでも『奴』を封印する。
男は懐にある純白の短刀の存在を確認した。
そして、『奴』に斬りかかった。
「貴様は惜しい存在だな。なぜ同胞なのに劣等民を救おうなどと。」
「黙れ。お前がやろうとすることは絶対間違ってる。」
「劣等民を排除した世界のどこが不満なのだ。あれは使い物にならん。例えば、あの転がってる3人とかな。」
「弱いものはいらないというのはただ足元が見えないお前の考えだ。」
「やはり相容れぬ。昔からな。」
「ああ。それは同意見だ!」
剣と剣がぶつかり合う。
俺は下から潜り込み切り上げる。
『奴』はそれに対抗して剣を振り下ろす。
いつもそうだ。踏み込みが甘い。力だけで戦いやがって。その最期を受け入れろ。
大きい金属音の次に空気を切り裂く音が聞こえた。
『奴』の剣が空を舞う。
ここだ!
仰け反ってる『奴』に踏み込みながら純白の短刀で斬りかかる。
「ほう。それが貴様らの奥の手か。だが貴様も甘いな。」
詠唱に入った。だが、食らっても短刀を刺せば終わりだ。
「水源は下腹から現る…水流の噴水」
足場から高水圧が噴き上がる。
当たれば大きく体勢を崩す。
避けても一瞬の間が生まれる。
この間で『奴』は体勢を整える。
「残念だったな。貴様もこれで終わりだ。」
「ああ。終わりだ。お前のな!!」
劣等民と蔑み、足元を見ていない『奴』にとってふさわしい結末だ。
「天使は笑う、彼の命を護るために…天使の籠」
魔法により、光の籠が『奴』を閉じ込める。
「この劣等民がぁ!くそ、まさか劣等民ごときに。」
「そうやって馬鹿にしたのが仇となったな。去らばだ。兄上!」
「やめろぉぉぉぉぉぉ」
純白の短刀を突き刺す。
やがてその純白は漆黒へ変わる。
この漆黒は『奴』。白は優しく黒を受け入れた。
「これで…終わったね。」
彼女の覇気がない言葉が聞こえた。
「まだかな。これが残ってる。」
鍵穴がある黄金の扉を指さした。
「願いは決まったの?」
「ああ。君たちが劣等民と蔑まれないようにするために…世界を変えるよ。」
「でも、貴方にもそれは願いの対象となるのよ。」
「いいんだ。」
そう言い残し、扉を開ける。
「願いは──」