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CENTER - センター -  作者: Louis=Alexander
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第一話「過去と今」

 命ある限り戦え。それは我が組織の長の指針だった。命ある限り戦地へ赴き、死ぬか、相手を倒すかをするまで戦うのだという。私は反対だった。命がなくなってしまったら、戦うこともできなくなってしまうのではないかと。戦うことも大切だが、自分が生きることの方が大事だ。


 長に対立した私は、そのまま組織を離れた。それで住む場所も、仕事も失ってしまった。このままでは生きることもままならないだろう。まずは宿を探そう。それから仕事を探しつつ、訓練は欠かさない。私には目的がある。なんとしてもヤツを見つけ出さなければならない。――――――絶対に。


◆◆


「ルイス、起きてよ。」

声がする。

「ルイス、聞こえないの。」

んー。聞こえてるんだけど、もう少し寝させてくれ。

「しょうがないなあ。私は学校に行ってるから、ルイスも早く来るんだよ。」

ああ。分かった先に学校に行っててくれ・・・って、うん?

思わず時計を見た。時刻は7時50分。ガバっと起きた。

「ち、遅刻だー。」

スタコラさっさと準備する俺。Tシャツ姿から急いで制服へと着替える。

「ルイスはいつも起きるの遅いよね。」

「俺は眠いの。てかお前、もう準備終わったんだ。」

「私はばっちりだよ。」

こう語るのは、俺の幼馴染の如月きさらぎ芽里奈めりな。中学三年生だ。

小さい頃から何かとお世話になっている。今こうして俺の家にいるのも、理由がある。

芽里奈が小学5年生のある日、こいつの両親は勤め先に行ったっきり、行方不明。

誰もいなくなってしまったため、仕方ないからと俺の家で同居してるってわけだ。

ちなみに俺の両親は両方とも海外で生活している。もちろん遊びでいるわけではなく、

仕事だ。そんなこんなで生活していてもう3年が経つ。

「元気でなによりだ。もう少し待ってくれ。」

そして急いで朝食の飯を食べる。やはり納豆は美味いな。

短時間で堪能した俺はバッグに教科書、筆箱、訓練用の剣、銃を入れる。

日本だから剣や銃所持はダメじゃないかって?確かに日本では銃所持が基本的に許可は

されていないが、これから行く学校、それも「STO第三戦闘専門学校」では話は別だ。


- - -


日本はかつて戦争をした国だが敗戦後、アメリカ主導による改革が進められた。

急な生活の変化で驚きつつも持ち直してきた。そう、ここ数十年は平和だったんだ。しかし2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震、俗にいう東日本大震災が発生した。大津波で付近の街はほぼ壊滅、大量の死傷者が出てしまった。街の様子はそれはひどいもんだったそうだ。だけど、全国からの支援と地元の人々の思いで、復興は進んでいった。

だが、2035年、今度は山形県山形市霞城セントラル上空に未確認飛行物体が出現。

これにより周辺の住民が大混乱。やがて地上へと着陸した物体の中から武装した人型のモンスターが出現した。その数100余り。各々のモンスターは剣を振りまわしたり、ビーム攻撃で、街を破壊していった。政府は緊急避難命令を通達。すぐさま、周辺の地域には立ち入りを規制。沖縄にある米軍基地の自衛隊が自国の防衛のため、暴れている敵の中心部へと向かった。山形市周辺の人々は軍事航空機で東京まで避難し、その他の地域に住む人々も県外の避難所へと向かったそうだ。そのとき、俺は山形市に住んでいて、何が起きたのかあまり理解できないまま、避難したわけだが。結果的に米軍の戦闘機と自衛隊の活躍により、1週間後に敵の全部隊を壊滅させた。未確認の武装したモンスター、街に大損害を与え、自衛隊が出動するまでになったこの騒動はテレビで連日のように放送された。といっても停電になったため、テレビも何も見れなかったから、それを知ったのは後の話だ。

数日後、これはヤバいんじゃないかという不安の国民の意思から、政府は「第一回緊急未確認生物防衛対策会議」を開いた。未確認生物が襲ってきたという異例の事態にほとんどの人が頭を抱えていた。

それぞれが苦悩する中、突然扉を開け、一人の人物が入ってきた。その人はサングラスをかけていた。そして発言をしたそうだ。「情報センターを作ってみたらどうか。」と。続々と情報センターについて語っていく。この場合の情報センターはとても新しい概念であるとともに、根底の施設に対するあり方を変えたといっても過言ではなかった。ここで扱う情報センターとは、情報を扱う専門機関ではなく、未確認の生物に対して様々な情報から検討し、実行する研究所であるとともに文化を発展させる意味あいも込めている独自性の強い組織のことだ。そのため一つでは競争となりえないということから複数のセンターを作ることとなった。「Sage Tactics On/Off情報センター」と「水島情報センター」だ。緊急性を要したため、「Sage Tactics On/Off情報センター」だけは早急に主に軍事目的で組織されることになった。賢い戦術で未知の敵をいかなるときでも倒すという意味がこめられている。のちに「水島情報センター」も作られることになる。そして謎の脅威に立ち向かうべく対策が練られていった。

その中でも重要視したのが、戦闘技術である。日本では武力は行使しないという絶対遵守の憲法・法律があった。だが、自国防衛のため、否応なく戦闘準備をしなければならなかった。そこで教育機関にも仰ぎ、トップレベルの戦闘技術者を育成する専門学校を即座に開校することとなり、俺はその学校の中でも三番目、「Sage Tactics On/Off情報センター付属第三戦闘専門学校」に学生として通っている。


- - -


食事を終えた俺は荷物を持って玄関へと出た。そこには芽里奈が待っていた。

「じゃあ、行こう。」

そういって俺は自転車へとまたがる。芽里奈も同様に後部座席へと乗る。

「ルイス、出発進行ー♪」

「へいへい」

ぎーこぎーごする俺のチャリ。おまけにこぎにくい。大分古くなってきたな。

そろそろ買い替えないと。


- - -


自転車で移動すること15分、学校に到着した。

俺はこの学校に入学した理由は至極単純、勇者にあこがれていたからだ。

今まで勇者といえば物語の中の存在だった。現実で戦うことなんて日本ではありえない

ことだし、それをする存在はいなかった。だが、此度の未確認武装部隊が現れたという

ニュース。俺は絶対にこの日本を守らなければ、と思っていた。

そして自分は強くなりたかった。心も身体も鍛えて日本を世界を救ってやる。

想いを胸に、俺はこの学校に入学した。隣にいる芽里奈も同じ気持ちだと思う。

そう、俺達若い世代が頑張らないでどうする。









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