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Chapter7 はじまりの終わり_2
視点:加賀遊規の夢→加賀遊規
広がっていく世界が、長いはずのこの先の未来が。
あったはず、あるはずなのに。
夢を見ていた。
幸福な夢。
現実はこんなにも壊れているのに、夢の世界では傷つくことなんてなくて、皆がいて。
もしも望みが一つ叶うのなら、この世界、夢の世界を現実と取りかえてしまいたい。
この幸福な日々。
この世界には全てがあった。
でも実は何もない。
その事に気付いた。
幸福な日々は終わったんだ。
だから、僕らは外に出なくてはならない。
夢を抜け出して。
だって……このまま此処にいたいけど、このまま此処にあることは罪悪だと思ってる。
こんな世界に、未来なんてないんだ。
幸福な日々は終わったんだ。
虚構で書かれた汚い、字。
妄想で塗られた汚い、絵。
もう少し、強かったら!
もう一度、あの場所に、あの娘を迎えに行って。呪いなんて一瞬で破って。
普通に、普通に暮らして。
あの娘を守れる力があれば。
木製机に何か硬いものが置かれた音。
【続く】




