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ナギ  作者: karon
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雪景色の中で。


雪が降り出した。ナギはごつごつした岩場をそろそろと歩く。

 雪が降り始めると、海には天候のよい日に、膝まで浸かる以上のことができなくなる。

 それ以上深い場所に行けば命にかかわるからだ。

 海の水は川の水より何故か生暖かい。海で海藻や、貝を拾う。少年たちが目の細かい網で、小魚をすくっている。

 篭に海藻を摘んでいたが、いくら暖かいとはいえ雪の中、だんだん足の感覚がなくなってきた。

 海から離れた場所で、焚き火をしていた。

 そこに乾いた布がおいてある。

 ナギはずっしりと思い海藻入りの篭を片手に焚き火に急いだ。

 今、スナドリヒトの里はにぎやかだ。何故なら客人が大勢いるから。

 今スナドリヒトの里には数名の旅人が冬を越すために滞在していた。

 ナギと同じように額に刻まれた旅人の証を持っているもの、またはまったく違う形であるがそれが旅人の証だと言われる模様を身につけたもの。それはまったく別の土地での旅人の証だと言う。

 サザとミギワはおびえて、あてがわれた建物から出てこない。

 そして、土の女衆は、入れ替わり立ち代り、スナドリヒトの里に立ち寄るようになった。

 彼らはたくさんのものを持ってきた。

 知らない土地の石や、見たこともない毛皮。そして種。

 そんなものと今ここの土地の食料を交換している。

 彼らは春になるまでここにいるらしい。

 山ひとつ超えた場所にある。向こう側の海辺の村はとてつもなく冬場は強い風が吹くため、過ごしにくいのだそうだ。

 ナギは数えるほどしか、その村に行ったことがない。

 海を使うとずいぶんと遠回りになるが、山の道のほうが近いからだ。

 船を操るものはめったにその村に行くことはない。

 たぶん。春になったら、山を越えてやってきて、船乗りたちが残したものを、向こう側のものと取替えに来るのだろう。

 と言って、あちらとこちらのものにさして変わり映えがあるわけではない。

 しいて言えば魚の種類が違うが、こちらでも取れないわけではない。

 あちらの、海藻を干して固めたものは多少取引がある程度だ。

 あちらの唯一と言っていいそれは香りがいいのが身上だった。

 ナギはそれを聞いただけだ、そんなものがナギの口に入るはずもない。

 すっかり一変した世界をナギは眺めていた。

 黒に緑のコケの映えた岩が白く染まりところどころに黒や緑が覗いている。

 無論それは騎士に近い場所だけで、海に近い場所は同じように黒くとがった岩だ。

 濡れた足を枯れ草を束ねたものでぬぐう。

 布なんて贅沢なものは今は用意してもらえない。

 ナギ以外のスナドリヒトの少年は、冬でも海に潜ることがある。きわめて短時間であるし、命の危険もある。

 めったにはしないが。ナギにはそれは許されていない。

 スナドリヒトと船乗りの差だ。


 このくそ暑いのに、書いているのは冬の風景です。なんか実感がわかない。

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