表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/9

序章2

文字量少ないかもです。

先に謝まります。


しばらく、林童が戻って来るかも、などと言う期待をして待っていたが、結局、あいつは、戻っては来なかった。


「まぁ、しょうがないわな」


さっき、時計を見たら、既に四時を回っていた。


もう、太陽は地平線の少し上の辺りで、月とのバトンタッチが、秒読み段階である事を告げている。


鱗雲が、夕日に照らされ、時折、北風が吹き付け、先程に比べ、えらく寒くなったような気がする。


この時期は、日が落ちると、一気に寒くなる。早いうちに、寝床を確定させた方がよさそうだな。


なんて、思いながら、街路樹のある歩道をせっせと歩き始める。



「よう、萩野、こんな所で合うなんて思わなかったよ」

「誰だ?」


目の前には、陽気そうな人間がたっている。


正直、こいつは俺の一番の友人だ。俺が、今の生活をしているのも、半ばこいつの影響もある。


俺の目の前で、にこやかな笑みを作るこいつは、俺が、通っていた高校の同級生だった。


いつも、二人で行動していたのに、こいつは、家庭の事情で、学校を辞めてしまった。多分、その時だろう、俺の高校生活が、かったるいものになったのは……。


「またまたぁ、僕だよ、浅川だよ」

「いや、知ってるよ」

「分かってんなら、いちいち聞くなよ、人がせっかく偶然の再開をよろこんでるって時にッ‼」


うがーと、騒ぐ浅川を見て思い出す。

そうだった、こんな他愛のない会話。こいつの、こう言う反応を見るのが楽しかったんだ。


「聞いてるのかよッ?」

「あぁ。ところで、今は何やってんだ?」


こいつが、学校を辞めたのは春先だった。突然の事だった。


本当に、突然の事だったんだ。

前日まで、いつもと何にも変わらなかった。


本当に、いつも通りだった。

呑気な話しをして、また明日と言って別れた。

しかし、次の日、浅川は学校に来なかった。


「一応、仕事しながらボチボチってかな、今は、アパート借りて、なんとかやってるよ。 お前の方こそ、学校どうよ、しっかりやってるか?」

「あ…、あー、まぁまぁ…かな」


適当に誤魔化しておく、取り合えず、今は、近況を話している間ではない。

寝床を確保しなければならないんだ。


「まぁまぁって、…まぁ、良いけどさ、それより、この後、なんか予定ある? 暇だったら、ちょっと、遊んでこうぜ」

「全然暇だ」

「オッケー、じゃあ決まりな、どこ行く? ゲーセン? カラオケ? それとも、飯いくか?」

「…そんな金は無い」

「冗談だって、家この辺なんだよ、寄ってかないか」

「もち却下、怖すぎんぜ」

「ちげーよ、こんなところじゃ長話も出来ないだろ?」


まぁ、それもそうだな。

日は落ちて、辺りは紫に染まっている。

冷たい風も吹き付け、どこでも良いから風のこない場所に行きたい気分になる。


「わかった、うんじゃ行くか」

「それじゃ、ついて来てよ」


浅川は、陽気に歩き出す。

先程、林童が走り去った場所を越えると、ボロボロの安アパートが見える。


「これなのか?」

「すごいボロっしょ、でもまぁ、住んでみれば、風呂もあるし、困ることはほとんどないんだよね~」


かかかっと笑いながら、浅川は、ボロアパートの階段を登って行く。

俺は、その後に続く。


「おわッ‼」


突然、浅川が飛ぶ。

どうやら、何かがタックルを決めたらしい。

そのまま、地上3メートルの位置から、落ちて行った。


「成仏しろよ」


合掌を作り、黙祷しておく。

しかし、数秒も経たないうちに、けたたましい足音を撒き散らしながら、浅川は、飛び立った位置へと舞い戻った。


「何だってんだよッ‼ 少し間違ったら、死んでてもおかしくなかったよ⁈」


俺に対してじゃない、先程華麗なタックルを決めた者へ対する言葉だ。


俺は、その言葉の先に視線をおくる。

そこには、見覚えのある姿があった。


「林童」


昼間の少女がそこには立っていた。


感想とか、よかったら御願いします。

それを見ると、やる気になれます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ