萩野コウジ編 序章1
読みやすさを考慮して、編集しました。
週一くらいで更新できればなと思います。
春夏秋冬、365日、毎日毎日変わらない日常。
そんな毎日に虫酸がはしる。
高校最後の年。
それがなんだって言うんだ?
確かに、今年で高校生活は最後かもしれない。
しかし、卒業すればまた、進学するにせよ、就職するにせよ、その先に待つのは、何も変わりばえの無い平凡な日々だ。
それが一番なんだよ、と大人は言う。
俺にはそれが理解できなかった。
いや、理解しようとも思わない。そんなのは、妥協が産んだ産物であると俺は言い捨てれる自信があった。
毎日毎日、面白みの無い日常を過すだけなんて、そんな人生はごめんだった。
気付くと学校には、もう何週間も行っていない。
別に学校がいやとかじゃない。ただ、刺激の無い今の生活にうんざりだった。
昼下がり、俺はいく宛も無く、やる事も無く、ぶらぶらと街を彷徨っていた。
家にももう、数日は帰っていない。
街路樹の脇に置かれていたベンチに座り、ぼうっと、遠くを眺めていた。
突然目の前を誰かが横切る。
セーラー服を着ているその少女は、下を向きトボトボと歩いていた。
時計を見ると、時間はまだ、ニ時に差し掛かったあたりで、下校の時間と言う訳では無い。
特にそれ以上は気にする事も無く、俺はベンチに横になる。
ん?
落し物か。
どうやらそれは手帳のようで…学生手帳か………。
「はぁ~」
溜息を吐き手帳を拾いに行く。
「サイフとかなら最高だったのにな……」
ペラペラと拾った手帳をめくって見る。
林童恵奈、地元の中学の三年生だそうだ。
「こんなもん持ってても仕方無いよな……」
投げ捨てる素振りだけして、そのままポケットの中に入れる。
「まぁ、何かの縁だろうしな。しょうがないよな」
ベンチから立ち上がると、先程の林童恵奈のあとを追う。
こんな時間に歩いている中学生なんて、すぐに見つける事が出来る。
案の定、歩いて行った方へ少し駆けて行くと、すぐに見つける事が出来た。
「おーい、そこのキミッ!」
しかし、彼女の反応は無く、歩む足を止める気配は無い。
はぁ~。
溜息を吐き出し、頭を掻くと彼女の前に仁王立で立ち塞がってみる。
しかし、それも無視して先へと進む。
「おい、ちょっとまて」
勢いで彼女の腕を引っ張る。
しかし、彼女は、それすらも無視して先へと進もうとする。
「だから、俺の話しを聞けって」
そこで、ようやく彼女は反応を見せた。
「なに? そんな風に引っ張られたら、先に進めないんだけど」
「いや、だから、話しを聞けって、お前、林童だろ?」
「だったら何? 追っかけ? ストーカー? 異常性癖者?」
初対面の奴にそこまで言われる筋合いは無いと、その場で、とっとと帰っても良かったが、それだと、ここまで来た意味がなくなる。
俺は、ポケットから、彼女の生徒手帳を取り出し、差し出しす。
「ほら、落し物、一応大事なもんだろ?」
それを確認すると、彼女は、差し出した手帳を、奪うように取る。
「……、…見た?」
へ?
「中見たかって聞いてんのッ‼」
まぁ、見たって言えばみたが、てか、なんで、そんなに険しい表情なんだ。緊急事態発生。
回答しだいじゃバッドエンドまっしぐらだな。
俺は、回答を考える。
見ました、と丁重に謝る。
手帳を放置して逃げる。
ななめ四十五度から手刀をかまし、記憶を消す。
いやいや、最後のは無しだな。
真ん中のもただのチキンだな。
となりゃ、やっぱし、謝るしかないか。
「あ、あー……、見ちまったんだ、悪い」
手を上げて、頭を下げる。
彼女は、一瞬鋭い眼光を向けたが、すぐに溜息を吐き、軽く手を振った。
「……、一応礼は言っておくよ」
「うんで、なんにも、思わないんだ?」
「なにがだよ?」
「こんな時間に、中学生が歩いてる事にだよぉ」
林童は、口に人差し指を当てながら、上目遣いに俺を見る。
「あー、俺そういう趣味無いから」
「そうじゃなくてッ! なんで中学生が、こんな時間にぶらぶらしてるのぉーとかッ」
「あー、俺も似たような人間だしさ、他人の事を、とやかく言う権利なんてないだろ?」
言うと、林童はむすっと顔を曇らせた。
その後は、適当な話しをしていた。
こんな、特に意味のない
会話は、久しぶりだ。
人と会話をする機会なんてなかったからな。
実際のところ、 林童に、興味が湧いて来た。
多分、彼女も訳有りなんだろう、俺に俺なりの理由があるように、こいつにも、何かしらの理由があるあるんだよな。
そう思うと、無性にこいつの事が気になってしまう。
あくまで、年配者としての心配だが。
そんな事を、心の中でつぶやいていると、俺は、無意識のうちに、林童の頭を、撫でていた。
しかし、林童は、何も言わない。歩みの足を休める気はないらしい。
周りからは、若いカップルにでも見られているんだろうか。
「てか、この手は何?」
「いや、特にこれと言って意味はないんだが、なんとなくかな…」
林童は、ふーんと言うと、また、前を向く。
どうやら、まんざらでもない様子だ。
「やばっ」
突然、林童が声を上げた。
目線の先には、警官が一人たっていた。
マジかよ。見つかったら、補導だよな。
俺は、まだ逃げ道はいくらでもある。義務教育を終えている、十七歳は、昼間に歩いていたとしても、二十歳以下にふさわしく無いものを、携帯所持していない限りは、大抵は職質だけで済むだろうさ。
ただ、俺の隣りのこいつは違う。
一応、義務教育である、中学生なんだ。
見つかれば、親への連絡は免れないだろう。
まぁ、もっとも、見つかればの話しであり、見つからなければどうと言う事はないのだが。
……。
なんて、思った矢先に、林童は、一目山に駆け出しやがった。
そんなもん、見つけてくださいと言っているようなもんだ。
当然、自分の姿を見るや駆け出す、少女を警官が見逃すハズもなく。
一瞬の間に、少女を追う警官の図が出来上がった。
俺の横を、すみません、通りまーす。
とか言って、駆け抜けて行く、警官を俺はただ、見送ることしかできなかった。
林童は、警官に追われ、走り去った。
「はぁー、大丈夫か、あいつ?」
心配だが、俺が行っても、なんの役にもたたないだろう。
だから、俺は、ただ、ここで、あいつを待つことしかできなかった。
返って来る保障なんてないのに。
力及ばずの汚い文字配列や、変な言い回しが、多いかもですが、今後、読んでくれたら幸いです。