2.冒険準備
目の前が少しづつ明るくなって、ランタンが要らなく成って、ようやく一行は、地上に出た事を実感して安堵の溜め息をついた。
「やっと、外だ、」
どっと疲労が溢れてくる。
「さー町まで戻って、風呂でも浸かって、明日は、昼に猪亭に集合て言う事で、よろしく!」
グラムがそう言って、マサラに
「荷物を半分持つから、急いで帰るぞ!」
マサラは、ニッコリ微笑みながら。
「アイヨ!帰りに食材買い込んで、帰るよ、マーティー食ってくかい。」
そう言われて、
「おほぉ!独り身のジジイには嬉しいお誘いじゃて。」
「ディーも、一緒にど〜お。」
ディーは少し考えて、
「妹が待っているので、今日は帰ります。」
そう言うと、足早に町外れの家に帰って行った。
「全く、本当に妹か?嫁じゃないのか?」
グラムがそう言っていると、後頭部を鍋で殴られた。
「人の事は放っておいて、さっさと帰るわよ!」
そう言って、先を行くマサラの後を男2人が従って歩いた。
そうこうしながら、なんとか街に着いた。
「さあ、晩御飯の材料を買って帰るヨ!」
マサラは、意気揚々と市場通りに向かった。
「あら!マサラさん。お仕事は終わったの、」
そう、声を掛けて来たのは肉屋のおかみさんだった。
「ちょっとゴタゴタが有ってね、一旦帰って来た所だよ、そんでもって晩飯用の買い出しに来たのさ、」
「それじゃー今日は、牛肉とソーセージがお勧めだよ。リブロースなんかどうだい!ソーセージならこの冬物ハーブ入りの奴がお勧めさぁ。」
「そうだね、ジャー!リブロースを1キロにそのソーセージを2キロオクレ!」
「そんに買って、大丈夫かい?」
「大丈夫だよ!今日は、荷物持ちが居るから。」
そう言いながら、グラムの背中の荷物から収穫品を入れる麻袋を取り出し、肉を入れると、マーティーに渡すと、あと3軒店を回って帰宅した。
家に着くなり。
「荷物は机の上に置いて、二人とも、先に体洗ってきて。」
と言われて、渋々連れ立って、裏の水場に向かった、
家の裏にはもう一つの小屋が有り、その間に上の方から水が大きな樽に溜まって幾つかの管で分配されていた、
その横に大きな鍋が置いてあった、桶の水を鍋に移して、グラムが無詠唱で手のひらサイズの火の玉を作り、鍋の中に放り込んでお湯を沸かす。
「ちょっと熱いかな?少し水を足して、おいマーティーお湯が沸いたぞ」
そう言われて、
「こりゃ助かる、」
「ホリャ、髪用の洗剤とコーティング剤はここに有るぞ。」
「お前んところの洗髪剤は最高じゃから、有難く使わせてもらうぞ。」
そんな、会話をしながら2人で体を洗って、水気を取ったら、グラムの炎魔法で薪に火を付け、その後ろからマーティーが風魔法で温風にして当り髪や髭を乾かす。
そんな魔法の使い方も、今までこの世界ではやっていなかった様だが、自己流でやっていると、皆に好評を博した。
洗髪料は女性にとても好評だったので、商品化した事で、かなり儲けたが、忙しく成りすぎたので、他の兄弟に任せた。
「所で、そろそろ氷を作ってエールを冷やそうや!」
そう言われて、やおら詠唱を行い、桶一杯の氷を作って、その中に樽を入れて更に次の詠唱で表面に薄い氷を作って。
「ヨシッ!」
と、マーティーがガッツポーズを決めた。
「流石だ、バッチリだ、後は飯が出来るまで少し休もうか、」
二人は水溜樽の横に置いてある椅子に座り溜息をついた。
「イヤーしかし、今回は流石に冷や汗物じゃったわい」
「確かに、あんな奴があんな所に居る事態おかしいが、あの大きさで入り口からは入れない。て、事はやはりダンジョン化しているんじゃろうな。」
「そうなると、完成する前にコアを破壊せねば、坑夫が入れなくなる。」
「確かに、この街のドワーフには応えるな、」
グラムは髭を摩りながら、思案する。
「明日、組合長と町長に会って話しをする。」
「何を悠長な事を言っとるんじゃ、どうせ此処いらでAランク以上は他に当てでも有るのか?」
「そう言う訳では無いが、ヤハリ、レンジャーか何か一人入れんと又今回みたいに、いきなり遭遇戦に成りかねない」
「確かに、あの時は流石にびびったわい、しかし、誰ぞ当ては有るんかいい?」
「だからだ、Bランク以上で適当なのをギルドに探してもらわんと、危なっかしくって、やっとれんと、各組合長と町長に釘を刺しとかんと、気軽に依頼を出されても叶わんからな。」
と言いながら、立ち上がるグラムに、
「如何したんじゃ?」
とマーティーが声を掛けると。
「なーに、炒め物ならワシでも出来るから、マサラと交代して、体洗いに来させようかナと」
「オホ!優しいのぉ~」
「煩いワイ!彼奴も一緒に探索したんだ当然だ!」
と、顔を赤らめ頭を掻きながら歩いて行く。
翌日、朝から町長宅に行き、詳細を説明すると、慌てて鉱山組合と鍛冶組合と冒険者ギルドに召集が掛けられ、午前中には会議が始まった。
先ずは冒険者ギルドのその後の調査報告から始まった。
「ドラゴンの解体と搬出は済みました、又その際に吸収は始まりません寝した。」
と、ギルドマスターのバラウがほうこくして、そのまま報告は続いた。
「400ヤーズすすんだ処から坑道の雰囲気が変わりもう少し奥に行った所でコボルトと遭遇した、倒したが、そこでは吸収が始まった。」
その報告を受けて、町長が
「どうやら、確実にダンジョン化が始まっているようじゃが、そこで、皆に意見が聞きたい、このままダンジョン化を進めて、街おこしにするか、早急に深部探索を行いコアを破壊してダンジョン化を止めるか、何方が良いか、意見を出してくれ。」
町長のバーンズは一同を一瞥した。
筋骨逞しいドワーフの鍛冶組合長のデュヘブが
「鍛冶組合としては、ダンジョン化して希少鉱石が出れば嬉しいが、7対3位では分が悪い今の内に深層に潜って調査して判断せんと、何とも言えんわ。」
そう言いながら、グラムを見てくる。
「言っとくが、スカウターかレンジャーかおらんと、今の状態では、この間みたいなめに遭っては、危なくって潜れんわ!」
と言って腕を組んで、みんなの出方を待つ。
そこに、体のあちこちに傷跡のある、禿頭のドワーフのボルドーが。
その太い腕でテーブルを殴り、
「鉱山組合としては、現在月当たり鉄鉱石20ドン石炭40ドン採掘しているが、お先真っ暗な状態だ、ダンジョン化して、魔素が蓄積して、より良い鉱石が採掘出来るのなら、ダンジョン化も吝かでは無い、」
ボルドーが言い終わった後、短い沈黙の後、バラウが、
「では、町の統一見解としては、ダンジョン化は容認と言う事で問題無いですか。」
俺以外が全員頷いた、続けて。
「グラムよぉ、近場にいる奴を何人か斡旋するから、試してみてくれ、実際に潜るのはそれからでいいからよぉ。」
何かどっかの妖しい店の客引きみたいな事をこのオッサン言い始めたぞ。
まあ、ギルドマスターが斡旋するなら、確かだろうが。
潜る事は決定みたいだ。さて取り敢えず、時間稼ぎを行いましょうかネ!
「まあ、取敢えず、潜らされる事は決定みたいなので、その旨をメンバーに伝えて、準備に入らせるが、こちらの要望としては、支度金として前払いで200ゴル、あとはメンバーの兼、早めに頼む。言っておくが素人の御守りは御免じゃからな!!」
そう言って、立ち上がり、一人だけ先に退席した。
悠然と扉から出た後で、変な汗が出始めた、
心の中では、
“マサラにどお言おう、ヤッパリ素直に街からの依頼だから断れなかった、と言うしかないか、しかし、未踏のダンジョンに潜る為には、素材を掻き集めないといかんな、気掛りなのはギルドが斡旋してくる人員だ、“
などと考えながら、意を決して帰路に着く。
帰りに、ディーの所に寄って、簡単な概要を説明して、夜にワシの家に来る様に伝えたら、マーティーの所にも寄って同じ事を伝えて帰宅する。
自宅の玄関を静かに開けて、頭だけ入れて、周囲を窺いながら左を見たら、そこにマサラが立っていた。
「あんた、いったい何してんの。」
と強い口調で言われ、ギクリとしていると、続けて
「どうせ、依頼は受けなきゃならないんだから、しょうが無いじゃないか。」
そう言われて、シュンとしていると。
「細かい事は、皆が来てから聞くから、風呂沸かしたから、一つ風呂入っといで!」
そんな言葉に促され、取敢えず風呂に向かった。
夕方に、ディーと妹のアシルが来た、
「マサラさん、夕食の準備手伝います。」
と言って、二人で奥に行った。
そんな二人を見送って、座るとすぐにマーティーが入って来た。
「オウ!!もう揃っとんかい。」
と言いながら、座る。
奥から冷えたエールのジョッキを抱えてアシルが来た、
「マーティーさん御久しぶり、すぐに夕食出来るから、飲んで待ってて」
「おぅ、アシル、相変わらずかわいいノウ、」
そんなやり取りをしていると、マサラがシチューの鍋を持って来た。
「なにジジイが色気づいてんの、アシル食器持ってきて。」
その後、食事が行渡り、賑やかに食事を行い。、本題の話に入った。
先ずが、話し合いの結果を報告する。
「で、一応の準備期間と新メンバーの要求は通った、メンバーに関しては、ギルマスが先ず推薦するそうだ、後は前金で200ゴル払うそうだ。」
話終わった処で、マーティーが、
「なんじゃ、この寂れた街をダンジョンで盛り上げようってか、ろくでもないのう。あんな浅い所であんな奴が出てくる状態で、果たして制御出来るのかのう、」
淡々と髭を扱きながら溜息をつく、
そこにディーが
「確かに街の衰退は解かる、苦渋の決断だと思うし、今回は一応調査と言う事でいいんだよな。」
マサラが、
「どうせ、採れてもいないお宝の誘惑に負けたって感じだろうよ!それより、潜る事が決定なら、ディー!明日からしばらくあたしの護衛で素材集めだヨ。」
「後は、新メンバーの選定基準だが、俺的には、身軽でスニークのレベルの高い人材が良いと思うのだが、役割的には斥候がいいと思うんだが。」
と、言うと、一同が思い思いで考えて、先ずマサラが口を開いた。
「出来れば、エルフが欲しい処ね、回復魔法が使えて、魔法の種類と魔力量が多い方がいいと思うは、今のメンバーに回復や支援職が少なすぎると思うから、出来たら一人と言わず、戦士職も欲しい処ね。」
確かに、深く潜るのであれば、回復と支援魔法が使えて魔力総量の多いと言えばエルフだが、彼らは元々冒険者としての数が少ない上に、偏向的差別志向の傾向が有り、俺たちの様なドワーフを軽視している奴が多い、とは言え、ハーフフットでは斥候としては優秀でも、魔法の使える奴が少ない、それに、戦力としてウォーリアーも欲しい処だが、
そんな事を考えていると、マーティーが。
「戦士系ならガウルに声を掛けちゃどうじゃ。奴なら腕も確かでソロじゃ、確かに採っ付きにくい処は有るが悪い奴じゃないぞ、て言うか、可成りのコミュ障じゃがな。」
「確かに奴なら、バームのダンジョンをソロで40層まで潜れる実力も有るが、能力が皆目解からんからなぁ、とは言え、声を掛けてはみよう。」
そんな中アシルが。
「綺麗な女性がいいな、」
すかさず、マーティーが
「兄貴の嫁探しをしとるんじゃないぞ、」
みんなそろそろ煮詰まって来てるので、
「じゃあ取り敢えず、俺とマーティーで、バームには声を掛けてみる、後ギルドマスターと町長に報酬の増額の交渉と俺は武具の作成をやる、ディーはマサラと素材集めを頼む、その後マサラとマーティーでポーション関係の作成を頼む、追加メンバー候補が揃ったら試運転を兼ねて、この間の地点まで潜ってみる、で、問題ないかな?」
とグラムが言うと、みんな頷いて、取り敢えず話し合いは終わった。




