推死活
2026年、日本の人々は、特定の人物やキャラクターなどを応援・支援する活動(推し活)が流行していた。
この物語は、推し活を楽しんでいた女子大学生の身に起きたことである。
私の名前は共田 幸子。
4月から大学生になり、一人暮らしをすることになった。
始めの方はウキウキしていたが、次第にその感覚は無くなり、1人の寂しい時間が増えていった。
そんな時に出会ったのが、このトライアングル・ディスティニーだ。
女性向けのソーシャルゲームで、3人のそれぞれ異なる能力(火・水・雷)を持った男性達から迫られるという王道の乙女ゲーである。
私はこの内の1人、水の能力を持つナギトに惹かれていった。
ナギトは無口でクールなtheブルーキャラといった性格だったが、彼が時より見せる笑顔に私は恋とは異なる特別な感情を抱いた。
彼と付き合ってデートをしてみたいとかではないのだ。
彼に幸せになって欲しい。
彼の成長を側で見ていきたい。
そう、私は推しを見つけたのであった。
それからというもの、私はこのソシャゲにのめり込んでいった。
ナギトの新キャラが出れば必ず入手し、季節限定イベントが開催されれば、時間を余すところなく使っていた。
そんな日々を過ごしていると、また新しい季節限定イベントが始まった。
内容は3陣営に分かれての陣地取り合戦であった。
特段変わった事はないイベントかに思われたが、公式のお知らせには、とんでもないことが書いてあったのだ。
※最上位者はあなたの推しに会えます
私はこの文言を見た瞬間、雷に打たれた衝撃を受けた。
推しに会えます
この一文だけで、私を狂わすには充分だった。
私はそれまで欠かさず出席していた大学の講義を欠席し、全ての時間をこのイベントに注ぎ込んだ。
仲の良い友人から心配の連絡が来たりもしたが、体調がなかなか良くならないと嘘をついた。
寝る時間も削り、常にランキング順位を気にする生活を続けた。
そうして持てる全ての力をぶつけた結果、私はランキング1位を獲得した。
「やったー!!!」
ランキング順位を確認した私は部屋で1人そう叫んだ。
推しに会える。私はナギトに会えるんだ。
こんなにワクワクすることがあるだろうか。
いつ会えるんだろう、何を着て行こう、どんな話をしよう。
考え出すとキリがない。
思いを馳せていた私だったが、睡眠時間を削りすぎたせいか、あるいは1位を取れた安心感からか、強烈な眠気に襲われる。
私は泥のように眠り沈んでいった。
薄れゆく意識の中で、うっすらと
「おめでとうございます。」
そう聞こえたような気がしたが、瞼はゆっくりと視界を遮っていった。
私は周囲の音で目を覚ます。
目を開けるとそこには見慣れた光景が広がっていた。
「ウソでしょ。」私はそう呟き、周囲を見渡す。
そこはなんと、トライアングル・ディスティニーの世界だったのだ。
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