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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン
ホスト前期

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エピソード67 褒めてくれても大丈夫

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


 次の日の夜、

るなからLINEで「仲直りできました」と連絡があった。


その短い一文を見た瞬間、

少しだけ肩の力が抜けた。


昨日、家に帰ってから、

少しお節介すぎたかなとも思っていたからだ。


ちゃんと仲直りできたなら、

それだけで少し報われた気がした。


「よかったね」


そう返してから、少しだけ迷って、もう一文打つ。


「報告してくれてありがとうね」


すぐに既読がついた。


「約束したので」


その返しが、

るならしかった。


律儀なのか、素直なのか、

たぶんその両方なんだと思う。


「じゃあ当たり前か」


そう返すと、またすぐに通知が鳴る。


「褒めてくれても大丈夫です」


思わず少し笑った。


「変な言葉だな」


画面を見ながら、

少しだけ考える。


ここで「いつ店来る?」と送るのは簡単だった。


昨日あれだけ話して、

連絡先も交換して、

向こうから報告まで来ている。


流れとしては、たぶん間違っていない。


むしろ、そういう時にちゃんと畳みかけるのが上手いやつのやり方なんだろうと思う。


でも、るなはたぶんそういう押し方をすると少し引く。


昨日の会話の温度も、

金額を聞いてきた時の顔も、

無理はできないと正直に言った言い方も、

なんとなく頭に残っていた。


ああいう子には、

こっちから焦って引っ張るより、

来るなら来るで、

自分のタイミングで来させたほうがいい。


そういうことが、

前より少しだけわかるようになっていた。


誰が押したほうがいいのか、

誰には待ったほうがいいのか。


どこまで言えば営業で、

どこから言うと重いのか。


相手の性格とか、財布とか、

その日の気分とか、そういうものを見ながら距離を決める。


前はそんなこと、

考えなくてもよかった。


でも今は、考えるのが当たり前になってきている。


なってきた、というより、なってきてしまった、のほうが近いのかもしれない。


「じゃあ、えらいね」


少しだけ軽く返して、

俺はスマホを伏せた。


褒めてくれても大丈夫です、

なんて変な言い方をするるなを、

少し可愛いと思っている自分がいる。


その一方で、ここで変に欲を出さないほうがいいと、

冷静に線を引いている自分もいた。


そうやって相手に合わせた正解みたいなものを探すのが、

だんだんうまくなっていく。


それはこの仕事に慣れてきたということなんだろうけど、

同時に、自分の気持ちまで少しずつ仕事のやり方に寄っていくみたいで、

たまにだけ嫌になる。


歌舞伎町では、優しさも、

間の取り方も、待つことさえ、

全部営業に見える時がある。


その中で、自分がどこまで本気で、

どこから計算なのか、

たまにわからなくなる夜があった。


この街に染まるって、派手なことじゃなくて、

こういう小さな間の取り方から始まるのかもしれなかった。

よんでいただきありがとうございます。

感想、評価、レビュー思ったままにお願いします。

いただいた方にはお返ししに行きます。

ブックマークしていただけるよう謹んでまいります。

今後とも長いおつきあいをよろしくお願いします。

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