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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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エピソード48 タラシ

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


みこちを改札まで見送る。


「じゃあね」


「またね」


軽く手を振って、


みこちは改札の向こうへ消えていった。


振り返ることもなく、


そのまま人混みに紛れていく。


俺はしばらくその場に立っていたが、


喫煙所へ向かった。


ポケットから煙草を取り出して、


一本吸う。


朝の空気は、


夜より少しだけ冷たい。


吸い終わった煙草を灰皿に押し付けて、


俺も家へ帰った。


竜宮城の話をした夜のことを、


みこちはきっと、


もう覚えていない。


 カラオケで結構寝たので、

家では仮眠程度で起きることができた。


今日は前々から

地元のツレに飲みに誘われている。


久しぶりに、

地元でゆっくり飲む。


集合時間に駅へ行く。


案の定、


まだ誰も来ていない。


これも、結構いつも通りだ。


10分くらいして

全員そろい、


そのまま居酒屋へ向かう。


席につき、


とりあえず乾杯。


一口飲んだところで、


話題はやっぱり俺になる。


「お前バンドやめちゃったんだな」


ツレが言う。


「友達がMステ出てるって言いたかったのに」


俺は笑う。


「言いたいだけかよ」


ツレも笑う。


「合コンとかで」


「合コンでかよ」


地元のツレは、


理由までは聞いてこない。


その距離感が、


ちょうどいい。


だから、


居心地がいい。


「それで今はホストやってる」


俺がそう言うと、


ツレがすぐ笑う。


「へー、向いてんじゃん?」


「昔から女の子扱うのうまかったじゃん」


別のやつが酒を飲みながら言う。


「たしかに」


「なんだかんだモテてたよな」


少し考えてから、


思い出したように笑う。


「モテ男とかチャラ男って呼ぶとさ」


「なんかカッコよすぎるじゃん」


「だから一番ダサい言い方考えて」


「タラシって呼んでたよな」


俺も思わず笑う。


「うわ、懐かしい」


「“お前は今日からタラシだ!!”って言われたわ」


ツレがグラスを掲げる。


「そうそう」


「今日からじゃなくて」


ニヤニヤしながら言う。


「今でもタラシだろ」


俺は肩をすくめる。


「タラシが仕事になっただけだよ」


一瞬、


みんなが笑う。


「たしかに」


「天職じゃん」


「やっと才能が社会で活きたな」


「うるさいわ」


俺は笑いながらグラスを持つ。


「でもさ」


別のツレが言う。


「ホストって実際どうなの?」


「楽しい?」


少し考える。


歌舞伎町のネオン。


リコピン。


らら。


めろ。


まお。


頭の中をいろんな顔がよぎる。


俺は少し笑う。


「楽しいよ」


「今のところは」


ツレが笑う。


「“今のところ”って言い方がリアルだな」


俺はグラスを揺らしながら答える。


「まあ、こうやって楽しく飲んでる間にもさ」


スマホを軽く持ち上げる。


「お客さんからラインいっぱい来るんだよ」


「返すの結構大変」


ツレが笑う。


「うわ、ホストっぽ」


俺は肩をすくめる。


「でもさ」


「不安にさせたくもないし」


少し間。


「そういうの大事なんだよ」


ツレがグラスを置く。


「なんか」


「思ってたよりちゃんと仕事してんな」


別のツレが笑う。


「タラシのプロだな」


「うるさいわ」


楽しいだけの夜は、


あっという間に終わった。


くだらない話をして、


笑って、


酒を飲んで。


地元のツレといる時間は、


どこか時間がゆっくり流れる。


でも、


明日になれば


またネオンの街に戻る。


俺が向かうのは、


歌舞伎町だ。

よんでいただきありがとうございます。

感想、評価、レビュー思ったままにお願いします。

いただいた方にはお返ししに行きます。

ブックマークしていただけるよう謹んでまいります。

今後とも長いおつきあいをよろしくお願いします。

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