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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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エピソード46 危ない

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


 合流してカラオケに入った。


歌いたいわけではない。


お酒ももう飲めないというので、

とりあえずカラオケにした。


この子の名前は、みこち。


「大丈夫か?」


「店出たときそんな酔ってなかったじゃん」


みこちはソファに倒れ込みながら言う。


「私は後から回るタイプなのだ」


「危なすぎるだろ」


「家帰ればいいのに」


みこちは首を振る。


「タクシーで帰るにはもったいない距離に住んでるの」


「だからいつも始発までうろうろしてる」


少し笑いながら続ける。


「気づいたらだいたいホテルいる」


「ほら、危ないじゃんか」


思わず言う。


みこちはじっと俺を見る。


「奏楽は連れてかないんだね」


少し間。


「初回枕とかは好きじゃないな、俺は」


みこちはすぐ返す。


「初回じゃなきゃいいんだー」


「覚えとこー」


「そういう意味じゃない」


俺はため息をついた。


みこちはリモコンをいじりながら、

ふとこっちを見る。


「奏楽はさー」


少し間。


「なんでホストしてんの?」


急に核心を突かれる。


カラオケのモニターには、

誰も入れていない曲の映像だけが流れている。


ネオンみたいな光が

部屋の中をゆっくり回っている。


「なんでだろうな」


少し考える。


「金かな」


正直に言う。


みこちはすぐ笑う。


「うそだ」


「そういう顔してない」


本当ではあるんだけどな。


「じゃあなんだと思う?」


みこちは天井を見ながら言う。


「逃げてきたんでしょ」


ドキッとする。


「だいたい男が夜職やる理由ってそれじゃん」


言い方は軽い。


でも核心に触れている。


「…まあ、近いかもな」


俺は苦笑いする。


みこちはこっちを見る。


「前なにしてたの?」


「バンド」


「え、まじ?」


「なんかっぽいと思った」


「なんだよそれ」


みこちは笑う。


「なんかさ」


「奏楽って」


「ホストの顔と、違う顔あるよね」


少し沈黙。


カラオケの映像が

海の映像に変わる。


「その顔でホストしてるの」


「ちょっと危ないよ」


危ない。


またその言葉だ。


掲示板の子も言っていた。


「危ないってなんだよ」


「なんか」


みこちは笑う。


「ハマる人はハマりそう」


少しだけ間があく。


俺は笑う。


「いいことじゃないの?」


みこちはすぐ返す。


「ホストとしてはね」


「でもさ」


テーブルに肘をつきながら言う。


「そういう男って」


「客もハマるけど」


「自分もどっかでハマるんだよ」


鋭い。


思わず黙る。


「奏楽ってさ」


「そのタイプっぽい」


カラオケの画面が

派手なMVに変わる。


音は流れてない。


部屋は静かだ。


「大丈夫?」


みこちは笑う。


「この街」


「飲み込まれる人、結構いるから」

よんでいただきありがとうございます。

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