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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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エピソード42 ツレ感

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


入ってきたのは、

有村架純に似た、かわいい顔の女の子だった。


ただ服装が少しダサい。


全身黒。


なのに統一感はない。


魔術師みたいなサルエルパンツに、

バンドTシャツみたいなもの。


ちょっとガキくさい。


「あ、奏楽いた」


開口一番それだった。


「そりゃいるだろ」


「なんか写真と違う、詐欺だ」


「うるさいよ、魔術師」


「は?魔術師?」


「のろったろか?」


なんだこいつ。


全然ホストと客っぽくならない。


というか、


地元のツレみたいな距離感だ。


「はやく席案内してよ」


「あーごめん、魔法で動かなかった」


「かけてないわ」


調子狂わされる。


普通、新規ってもっと緊張してる。


俺が空気作るはずなのに、


完全に逆だ。


でも、


嫌じゃない。


むしろ、


ちょっと楽しい。


「で?」


椅子に座りながら言う。


「危なそうな奏楽さん、どんな人なの?」


…始まった。


「全然危なくないから!」


「会計ぼったくらないでね」


「するわけないだろ」


「あ、でもガチで五万以内に収めてほしい」


「わかった、五万びたびたで」


「いや、余ったら余っただけ嬉しいから」


「俺はびたびたで嬉しいから」


「まじなにこいつ。指名間違えたかも」


「合ってるよ。俺以外お前の相手できないから」


「誰でもできるから。私ちょろいから」


「たしかに。掲示板でちょっと話しただけで五万持って来たな」


「やば、私カモすぎ」


俺は思わず笑った。


普通、初回の客はもっと様子を見る。


値段を聞く。


店を見渡す。


でもこいつは違う。


もう最初から、

全部さらけ出している。


だから逆に、

こっちも取り繕う気がなくなる。


なんだこの空気。


「そういえば名前は?」


グラスを置きながら聞く。


「まお」


あっさり。


「本名?」


「まお」


「ほんとかよ」


「ほんとだよ」


嘘っぽいくらい迷いがない。


「へえ」


「じゃあ今日から俺の姫、まおね」


「は?」


すぐに返ってくる。


「姫とかやめて、きもい」


「ホストだから言うだろ」


「やめて、普通に名前で呼んで」


「まお」


「それでいい」


なんだこいつ。


初回なのに、


距離が近すぎる。


でも。


こういう空気の方が、


俺は楽だ。


よんでいただきありがとうございます。

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