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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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エピソード41 責任取って

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


「なるほど……」


指が止まる。


「え、何その反応」


「俺がそのどっちかだったらどうする?」


冗談めかして送った。


返事はすぐ来た。


「え、さすがにないよね」


一瞬、胸がチクっとする。


でも続きがあった。


「……あれ、でもたしかにどっちもバンド経験者だ」


ほう。


調べてる。


掲示板も、SNSも、たぶん見てる。


少し踏み込む。


「どっちのがより会いたいんだい?」


既読。


数秒止まる。


タイピング表示。


「んー」


「北斗さんは安心感ありそう」


「奏楽はなんか、危なそう」


「おい!危なそうってなんだよ!俺だけ呼び捨てだし!」


間。


「え?本人???」


画面越しにパニックが伝わる。


やってしまった。


勢い。


でも、もう引けない。


「そうだよ、俺が奏楽。責任取って店来なさい」


半分冗談。


半分本気。


既読。


沈黙。


……やらかしたか?


タイピング。


止まる。


また表示。


「い、い、いきます」


思わず声が出る。


「まじ?」


「釣りじゃないよね?」


「釣りで店名まで出さない(笑)」


少し落ち着いたのか、


「匿名で好き勝手しゃべってたの恥ずかしすぎる」


「奏楽って危なそうとか言っちゃったし」


「危なそうってどういう意味?」


「真面目そうなのに闇ありそう」


鋭い。


匿名なのに、妙に核心を突いてくる。


「当たってるかもな」


本音が少し漏れる。


「初回で行けばいいの?」


営業トークが喉まで出かかる。


でも、止める。


今日学んだ。


甘さは戦略にしろ。


「無理に来なくていいよ」


一拍。


「でも来るなら、俺指名で来いよ」


逃げ道は残す。


既読。


すぐ返る。


「いく」


短い。


迷いがない。


「いつ?」


「今週金曜なら」


金曜。


悪くない。


「待ってる」


少しして、


「奏楽が掲示板にいるの、なんか嬉しい」


胸が、静かに熱くなる。


音楽の話から始まって。


匿名から正体。


そして来店。


歌舞伎町はネオンの街。


でも人が動くのは、

ネオンじゃない。


接点。


物語。


共通の記憶。


スマホを置く。


静かな部屋。


でも水面下で、確実に流れが変わり始めている。


‐‐‐‐‐----


あっという間に金曜日が来た。


待つ時間は長いのに、

来るときは一瞬だ。


朝から、少しだけ落ち着かない。


ヘアメはいつもより丁寧に頼んだ。


指輪をはめる。


錠のネックレスをつける。


今日来る子は、

音楽の話でつながった子だ。


掲示板。


匿名。


「危なそう」


あの一言が、妙に頭に残っている。


危なそう、か。


今日来る子は、


“物語”から来る。


ホストとしてじゃない。


俺として。


それが一番怖い。


出勤。


掃除。


フロアが整う。


麗が横に来る。


「今日なんか気合い入ってますね」


「ちょっとな」


「新規っすか?」


「うん、掲示板経由」


麗がニヤっとする。


「それ、強いっすよ」


「自分で来るって言ってる子は伸びます」


でも同時に、


掲示板に書かれている俺の過去も、

今日その子は知っている。


バンド脱退。


ホスト転身。


炎上未満の噂。


全部ひっくるめて来る。


逃げられない。


オープン。


時間が過ぎる。


まだ来ない。


焦るな。


焦ると空気に出る。


入口を見る。


扉が開く。


一瞬だけ、


ライブのSEが流れる前の感覚に似ていた。


さあ。


ここからだ。

よんでいただきありがとうございます。

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ブックマークしていただけるよう謹んでまいります。

今後とも長いおつきあいをよろしくお願いします。

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