表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/64

エピソード37 コントロール

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


足が重い。


シャンパンの余韻が、

まだフロアに残っている。


「ただいま」


リコピンは、

グラスをくるくる回しながら言った。


「やっぱエース来てるんだ」


軽い声。


でも、

目は笑ってない。


エース。


ららはエースなのか。


今の俺に、

“エース”なんて言葉は

早すぎる気がする。


まだ一か月半。


卓三つでいっぱいいっぱい。


回し方も、

マイクも、

完璧じゃない。


エースって、

育てた先にいる存在じゃないのか?


でも。


10〜30のシャンパンを、

あのタイミングで入れる。


呼び出しコール。


あれは確実に、

“主役”の動きだった。


「エースとかじゃないよ」


少し笑って流す。


「たまたまタイミング」


リコピンは鼻で笑う。


「へー」


「タイミングで10万超えするんだ」


刺さる。


「怒ってる?」


「怒ってないよー?」


語尾が上がる。


一番怖いタイプだ。


「ねえ」


リコピンが前のめりになる。


「私がシャンパン入れたら、どうなるの?」


試し。


完全に。


ここで

“入れてよ”は三流。


“いらない”は嘘。


答えは一つ。


「嬉しいに決まってる」


「でもさ」


一拍。


「競争させたいわけじゃない」


リコピンは少し黙る。


「ふーん」


「じゃあ私は何?」


きた。


肩書きを求める質問。


エース?


二番手?


遊び?


「リコピンは」


言葉を選ぶ。


「毎回来るっていう、いちばん強いことしてる人」


時間。


継続。


それは金より重い。


リコピンの表情が少し緩む。


「毎出勤は最強?」


「最強」


少し笑った。


空気が戻る。


でも。


今日のシャンパンで

バランスは崩れた。


ららは金で引き寄せる。


リコピンは時間で縛る。


アイバンは空気で広げる。


三方向。


まだ器は足りない。


でも。


逃げるより、

抱えるほうを選ぶ。


リコピンが小さく言う。


「じゃあさ」


「私もそのうち、呼び出そっかな」


笑っている。


でも目は本気だ。


この街は、


金が愛に見える。


愛が金に変わる。


茉奈の卓へ向かう。


ここは大丈夫なはずだ。


茉奈は、

まだ熱を持っていない。


アイバンはチーム戦。


感情より空気。


そう思っていた。


「ただいま」


「おかえりー」


茉奈はにこっと笑う。


「シャンパンよかったじゃん!」


よかった。


想定内。


だが次の一言。


「でもあのマイクはちょっと腹立つよねー、麻衣」


空気が変わる。


麻衣がストローをくるくる回しながら言う。


「たしかに」


「ガチ恋だったらぴきってるわ」


軽い。


でも核心。


俺は椅子に座る。


笑う。


茉奈が俺を見る。


「奏楽さー」


「ちゃんとコントロールできるタイプ?」


試験だ。


「なにを?」


あえて聞き返す。


「女の子」


直球。


麗が横でニヤついている。


助ける気ゼロだ。


「コントロールする気はないよ」


一拍。


「でも放置もしない」


曖昧じゃない言い方を選ぶ。


麻衣が笑う。


「なんかちょっと大人になった?」


茉奈はじっと見てくる。


「さっきのシャンパンの子、強いね」


強い。


正しい表現。


「うん」


「強い」


認める。


否定しない。


ここで否定すると

嘘になる。


茉奈が頷く。


「でもさ」


「強い子がいると、他の子どうするの?」


また核心。


アイバンはバランス。


一人が抜けると崩れる。


俺はグラスを作りながら言う。


「全員違う役割でいいんじゃない?」


「役割?」


麻衣が聞く。


「時間くれる人」


「空気作ってくれる人」


「一撃入れてくれる人」


「どれも必要」


茉奈が少し笑う。


「うわ、ちゃんとホストっぽい」


褒めか皮肉か分からない。


でも悪くない。


この卓は大丈夫。


でも“無関心”じゃない。


静かに評価されている。

よんでいただきありがとうございます。

感想、評価、レビュー思ったままにお願いします

ブックマークしていただけるよう謹んでまいります。

今後とも長いおつきあいをよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ