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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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36/68

エピソード35 約束

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


ららと飲んでいると、

ボーイが来た。


「リコピンさん、A3にいらっしゃいました」


……忘れてた。


リコピンが

“毎出勤”していること。


「ちょっと行ってくるね」


ららはあっさり言う。


「はーい、がんばってー」


ごねない。


その余裕が逆に怖い。


A3へ向かう。


「リコピン、おはよー」


「おはよー!」


椅子から身を乗り出してくる。


「毎回来てえらい?」


「ねえ、えらい?」


今日は甘えベースか。


褒め待ちだ。


「えらいよ」


「いつもありがとうな」


リコピンは胸を張る。


「ふふん」


「毎回楽しいからいいよ〜♪」


軽い。


でも、

ちゃんと俺を見ている。


ネックレス。


指輪。


視線が一瞬落ちた。


「あれ?」


「アクセ増えてない?」


心臓が一瞬跳ねる。


「似合う?」


平然を装う。


「うん、かっこいい」


少し間。


「今日、なんか雰囲気違うね」


察してる。


でも踏み込まない。


リコピンは、

意外と空気が読める。


「今日も飲む?」


「飲む!」


「でも今日は潰さないよ!」


元気にグラスを持つ。


明るい。


ららは覚悟のワンケース。


リコピンは継続の毎出勤。


タイプが違う。


どちらも、

俺を見ている。


俺は今、

同時に二つの温度の中にいる。


甘えと、

投資。


どちらをどう扱うかで、

未来が変わる。


「今日さ」


リコピンが急に言う。


「最後までいれる?」


「最後まで?」


「どういうこと?」


俺が聞くと、

リコピンはストローをくるくる回しながら言った。


「今日、営業終わるまで」


「ちゃんと私の席、最後までいてくれる?」


軽い声。


でも目は、

少しだけ真面目。


甘え半分。


確認半分。


「今日はさ、ちょっとだけ独り占めしたい気分」


冗談みたいに言う。


でも、

冗談じゃない。


俺は一瞬考える。


ららはワンケース。


同伴。


覚悟。


リコピンは毎出勤。


積み上げ。


継続。


タイプが違う。


どっちが大事とかじゃない。


どっちも大事だ。


でも、


「今日は被ってる」


正直に言う。


リコピンの表情が

一瞬止まる。


「やっぱり」


小さく笑う。


「なんかそんな気がしてた」


怒らない。


拗ねない。


でも少しだけ、

肩が落ちる。


「でもさ」


俺は続ける。


「最後までってのは、

時間の話じゃなくてさ」


「ちゃんと覚えてるかどうかだろ?」


リコピンが顔を上げる。


「今日も来てくれたこと、

ちゃんと覚えてる」


「それは変わらない」


一拍。


「ただ、今日は同伴もある」


「ちゃんと仕事もする」


逃げない。


濁さない。


リコピンは数秒黙ってから、


「……そっか」


ストローを噛む。


「じゃあさ」


「最後の一杯は、絶対私の席でね」


条件を出す。


かわいい。


「約束な」


俺はうなずく。


「約束」


リコピンはにやっと笑う。


「よし」


「じゃあ今日は潰れない!」


空気は戻った。


でも、


確実に、


“試され始めている”。


ららは覚悟で金を使う。


リコピンは継続で時間を使う。


どっちが重いかじゃない。


どっちも重い。


俺は、


初めて


“優先順位”を作らなきゃいけない夜にいる。

よんでいただきありがとうございます。

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ブックマークしていただけるよう謹んでまいります。

今後とも長いおつきあいをよろしくお願いします。

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