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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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エピソード34 ホストスタート

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


俺は錠のネックレスを首にかけた。


指には、

二本が交差したリング。


薬指じゃない。

人差し指。


ホストとしての指。


ららは、

鍵のネックレスをつける。


小さく笑う。


「これで完成ね」


完成。


その言葉が、少し重い。


鍵と錠。


ららが鏡に映る俺を見て言う。


「ちょっとホストっぽくなった」


「今さらかよ」


「うん、今さら」


笑う。


店を出て、

原宿の通りへ戻る。


人混みの中で、

ららは自然に俺の袖を掴む。


前みたいに腕に絡みつくわけじゃない。


でも、

離れない。


昼の原宿。


夜の新宿とは違う。


明るい場所で並ぶと、

少しだけ現実感が出る。


ご飯屋に入る。


向かい合って座る。


ららは、

俺のネックレスを指で触る。


「ちゃんとつけてる」


「外す理由ないだろ」


「外されたら泣く」


冗談みたいに言う。


でも半分は本気だ。


俺はフォークを置く。


「らら」


少しだけ真面目な声になる。


「今日同伴だからな」


ららは一瞬止まる。


「わかってるよ」


視線を下げる。


「ちゃんと客として行く」


その言葉は、

覚悟の宣言でもある。


依存ではなく、

選択。


俺は少し安心する。


ご飯を食べ終え、

店に着く。


「いらっしゃいませー」


身分証確認。

問題なし。

ここには大分トラウマがあるので安心した。


テーブルへ案内される。


ららは、

自然に座る。


初めて来た顔じゃない。


腹を括った顔だ。


「奏楽、なに飲みたいの?」


軽い声。


でも、目は真っ直ぐ。


「んー、じゃあ缶もの。

ピーチ味のもうかな」


様子見のつもりだった。


すると。


「じゃあそれ、ワンケース」


一瞬、理解が遅れる。


ワンケース?


「え?」


ららは平然としている。


「今日、ららの同伴でしょ」


「ちゃんとやろうよ」


缶ものは1セット2本。


ワンケースは、

24本。


金額が頭の中で計算される。


一気に、36,000円の売り上げ。

卓の空気が変わる。


ボーイが動く。


周りが少しざわつく。


ららは俺を見る。


「顔、固まってるよ」


笑う。


俺は少しだけ息を吐く。


「無理してないか?」


小さく聞く。


ららは首を横に振る。


「無理は名古屋に置いてきた」


その一言が、

重い。


ららは自分の意思で、

金を使っている。


俺は姿勢を正す。


これは。


甘やかしじゃない。


仕事だ。


「ありがとう」


小さく言う。


ららはグラスを持つ。


「同伴おつかれさま」


「奏楽のらら、

ちゃんと客になるから」


鍵のネックレスが、

小さく揺れた。


俺は思う。


今日が、

本当のスタートかもしれない。


よんでいただきありがとうございます。

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