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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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33/65

エピソード32 代わり

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


チェックインを済ませる。


部屋に入ると、

ららはすぐにキャリーを開いた。


迷いがない。


服を出し、

化粧品を並べ、

部屋を“自分の空間”にしていく。


俺は立ったまま。


「あれ……俺、明日出勤なんだけど」


「今日泊まるの?」


「うん」


振り向かずに言う。


「明日同伴ね」


……知らない間に決まっている。


「あ、そうなの……」


「出勤用の服持ってきてないんだけど」


「買ってあげる」


即答。


「同伴で原宿いこ」


金で、解決。


軽い。


でも、その軽さが怖い。


「らら、シャワー浴びてくるね」


振り向いた瞬間、

青と黒の花柄。


綺麗すぎて、

一瞬視線が止まる。


ばれないように、


「はいよ」


とだけ言う。


でも、背後から抱きつかれた。


「今見たでしょ」


耳元で笑う。


「ばれてるよ」


からかうような声。


「一緒に入る?」


「らら、洗体うまいよ?」


冗談半分、

本気半分。


俺は一瞬、迷う。


メロは断った。


線を引いた。


でも、ららは――


断らなかった。


湯気の中。


触れ方が、慣れている。


優しい。


でも、

どこか“仕事”の延長みたいだ。


頭を洗われながら、

思う。


これは、

俺に向けられているものか。


それとも、

誰にでもできるものか。


風呂を出る。


「そこ座って」


椅子に座ると、

化粧水、

乳液、

クリーム、

ヘアオイル。


丁寧に、

丁寧に。


ドライヤーまでかけられる。


まるで、

飼い慣らされているみたいだ。


配信者にも、

こうしていたのか。


考えたくないのに、

頭をよぎる。


ららは、

俺の前に立つ。


「奏楽、きれいになったね」


笑う。


その笑顔は、

どこまで本物だ。


俺は今、


救っているのか。


それとも、

代わりになっているだけか。


同じベッドに入る。


前回も、

一緒に寝たはずなのに。


今日は、

空気が違う。


静かすぎる。


ららは、

俺のほうを向いている。


暗闇でもわかる。


視線。


息遣い。


距離。


完全に、

“女の顔”だった。


待っている。


何かを。


俺が動くのを。


手を伸ばせば、

すぐ触れられる距離。


でも、触れない。


ららが、

小さく笑う。


「奏楽、やさしいよね」


その言葉は、

誘いなのか、

試しなのか。


俺は天井を見る。


明日は出勤。


同伴。


仕事。


でも今この部屋にあるのは、

仕事じゃない。


依存と、

期待と、

孤独。


ららが、

そっと俺の腕を掴む。


「ねえ」


小さな声。


強くない。


でも、

逃がさない声。


俺はゆっくり振り向く。


「らら」


その名前を呼ぶ。


俺がつけた名前。


その瞬間、

ららの目が揺れた。


――ここで選ぶ。


抱くか。


抱かないか。


俺は、深く息を吸った。

よんでいただきありがとうございます。

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