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歌舞伎町が僕を食べる。  作者: 夜坂ネオン


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エピソード28 少しだけホスト

歌舞伎町、昨今なにかと世間を賑わせている街。


そんな場所で実際に経験したこと聞いたこと考えたこと


そんなことを織り交ぜたノンフィクション風ファンタジーです。


 リコピンの席に戻ろうと立ち上がる。


「またちょっと待っててね」


そう言った瞬間。


腕を掴まれた。


「待って。

行きすぎじゃない?」


目が笑っていない。


「全然いてくれないじゃん」


……あれ?


メロって、こういうタイプか?


ガチ恋じゃないと言いながら、

プリクラ晒されたら即切り。


友達ノリでバーにいた時とは、

少し違う。


これは――

軽い嫉妬。


一旦、判断する。


ここでリコピンに戻るか、

メロに長くつくか。


一瞬迷って、言った。


「わかった、ごめん。

もうちょっといる」


メロはすぐ笑った。


手を離す。


横で春さんが、

一瞬こちらを見て、

口を尖らせた。


――判断、間違えたか?


卓被りは、

これから何度もある。


なのに、

まだ対処を決めていなかった。


とりあえず

“同じ時間つく”。


それしか考えていなかった。


……いや、待て。


リコピンはテキーラ入れてる。


本来、

売上の立っている卓を

優先すべきじゃないか?


覚悟を決める。


「なあメロ」


少し真顔で言う。


「もう少しいてほしいなら、

缶ものもらっていい?」


「俺と春さんにも」


賭けだ。


これで空気が悪くなれば、

俺の負け。


メロは一瞬止まって、

すぐ笑った。


「そうだよね」


「わがまま言ってごめん」


「好きなの飲んでいいよ」


――よかった。


素直だ。


「ありがとう。

俺も長く居れて嬉しいけどさ」


「遊びでやってないから」


少しだけ本音。


メロはうなずく。


「アフターもしてくれるんだから、

ちゃんと店にも使わなきゃだった」


「前の担当が適当すぎて忘れてたや」


春さんが笑う。


「担当、奏楽に変えて正解かもね」


「奏楽、売れるぞ〜」


冗談かもしれない。


でも、

胸の奥が少し熱くなる。


メロに長めについてから、

リコピンの席へ戻る。


「遅くなってごめん」


「遅いよ!!」


ほっぺを膨らませる。


「あー、今日は被っててさ」


正直に言ってみる。


「そうだと思ったよー!」


「先に言ってよね!」


「ヘルプ待つのと被り待つのは違うんだから!」


そんなに違うか?


と思ったが、

言わない。


「ごめんごめん」


「許して」


「リコピンいい子だから許しちゃう!」


「自分で言うなよ」


笑い合う。


空気は戻った。


営業は無事終了。


メロは先にバーへ。


帰り支度をしていると、

春さんが声をかけてきた。


「奏楽、今日頑張ってたな」


「あの判断、悪くなかったよ」


ほっとする。


「ありがとうございます」


「一個聞いていいですか?」


「なに?」


「春さん、4、5卓被る時ありますよね」


「どうやって回ってるんですか?」


春さんは笑った。


「あー俺?」


「怒られても気にしない!」


「今日上がりそうなとこ優先!」


「直感!」


……すごい。


「まだ僕は真似できませんね(笑)」


「だろ(笑)」


「参考ならなくてすまんな!」


春さんは天性だ。


空気を読むんじゃない。


空気を作る人間。


俺は違う。


俺は、

考えて積み上げるタイプ。


麗みたいな人に、

ちゃんと聞こう。


今日は、

初めて少しだけホストだった。

よんでいただきありがとうございます。

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ブックマークしていただけるよう謹んでまいります。

今後とも長いおつきあいをよろしくお願いします。

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